%ef%bc%91

英雄たちが愛した歴史的スパイクVOL.14 『70年代から80年代前半の神に愛された実使用のスパイク編』

神が履いていたスパイクに憧れ、似たようなモデルを収集し始めた頃、まさかご本人が実際に履いた物に触れることなど考えもしませんでした。驚愕のマラドーナグッズコレクターの方とお知り合いになれたことで、それが現実となった時、嬉しさとともにそのモデルのレアさも驚きでした。 7月10日に開催されるスペシャルなイベント「神を見る夜 vol.0 『70年代のマラドーナ』」に参加できないことが非常に残念ですが、70年代の神のスパイクについて多少でも参考になればと思い寄稿いたします。

Icon 29634314 1815368455432881 1085668874 o 小西博昭 | 2018/07/06
神は1976年にプロデビューしましたが、その頃はアディダスのスパイクを履いていました(図1右、アディダスを履いていたその他の時期についてはいずれ書きたいと思います)。しかし、その後すぐにプーマスパイクを使用し始めたようです。
左は海外オークションに出品された77年神実使用スパイクですが、右写真のスパイクとはシュータンマークが違うようです。 
Thumb efbc92 図1 プロデビュー当時の神(右)。背番号16、黄色ラインのアディダス・スパイク。この頃ならではの珍しさです。左は実使用(らしい)モデル。   

82年W杯以前の海外プロ選手(特に南米)たちが履いていたプーマスパイクはかなりバラエティーに富んでいたようで、マニア泣かせの時代です。
写真は81年のアルゼンチン代表ですが、11人中8人がプーマスパイクです。シュータンの種類が驚くほどバラバラで、もしかしたら個人の特注品かもしれません。 

Thumb efbc93 図2 81年のアルゼンチン代表。アルディレス選手(右から2番目)、ディアス選手(右から4番目)、ベルトーニ選手(右から5番目)以外はプーマのスパイクですが、モデル名はさっぱりわかりません。   

この試合(対ブラジル)の神のスパイクは、シュータンの中央に白いラインが入っている固定式モデルです(図3左上と右)。神をマークしているのはソクラテス選手で、トッパーのスパイクです(右)。

左中はおそらく同じスパイクですが、2003年にアルゼンチンで開催されたマラドーナ博物館でも展示されています。左下も博物館展示品で取替え式ですが、当時のキングかバイスバイラーキングではないかと思われます。いずれもつま先は2枚革であることがわかります。
  

Thumb efbc94

図3 図2と同じ試合の神(左上、右)。この時のモデルと同じ物らしきスパイクが博物館に展示されました(左中)。左下も博物館展示品のボカ時代に使用したと思われるスパイク。   

マラドーナグッズコレクター・永井さん所有の神実使用スパイク(その1)がバイスバイラーキングです(図4下)。

77年当時24000円の超高級品(モデル番号は490)で、広告(上)ではバイスバイラー・スーパーとなっていますが、おそらく間違いだと思います。ソールはまだ1色のモデルしかなかった時代です。 

Thumb efbc95 図4 バイスバイラーキング(上は当時のイレブン中の見開き2ページの広告)。下は永井さん所有の神実使用バイスバイラーキング。内張りのモデル番号もきれいに残っていました(左下)。   

神がプーマスパイクを使い始めた77、8年頃は、黒いシュータンのモデルばかりだったようです。しかし、79年頃に高級モデルのシュータンパターンが大きく変わります。
 

神は早速、その年に日本で行われたワールドユース大会でこれらのモデルを使い始めたようですが、この時の使用スパイクも個人的にナゾ多きモデルです。 

大会中に固定式(図5左上)と取替え式(左下)の2種類のスパイクをお使いだったと思いますが、パッと見はその頃の日本のカタログにも載っていた右の2モデルに似ています。

ただ、固定式のソールはシーザーメノッティとスタッド数が異なり、普通のタイプで、つま先は2枚革のような気もします。取替え式はメノッティスターだったかもしれませんが、大会中2試合(アルジェリア戦、ウルグアイ戦)しか履いておらず、アッパーの細かい部分までわかる写真は見つかりませんでした。

Thumb efbc96
図5 79年ワールドユース時の神。12本スタッドの固定式(左上)、赤黒ソール取替え式(左下)の2種類を使用していました(このユニフォームは永井さんが所有されていたと思います)。右はその頃の日本で発売されていたモデル。  

79~80年頃、プーマスパイクの白シュータンは2種類存在し、これまでご紹介してきたノーマルタイプ(図6下の左と右)と図5右や図6下中のT字型タイプがありました。

ノーマルタイプはこれまでいくつか入手したことはありますが、T字型については、この頃しか生産されなかったようで、とてもレアだと思います。

さらに、日本のカタログに載っている物(図5右)と、神の使用品(図6左上)や、海外のカタログの物(右上)ではプーママークの位置が違い(矢印)、今のパラメヒコと同じ感じです。
 
Thumb e694b9e8a882e794a87e69c88 


図6 82年W杯前、記者に囲まれる神(左上)。初戦のベルギー戦で使ったスパイクと同じT字型シュータンモデルを履いています(挿入写真はノーマル白シュータン)。海外サッカー雑誌中のプーマスパイク(シーザーメノッティ)の広告(右上)。80年頃の国内のプーマスパイク広告(下)。同じモデル(メノッティスター)でも白シュータンの形、取替え式ソールの色の異なる2種類のタイプが同時に販売されていました。国内外でシュータンプーママークの位置が異なります(矢印)。   

2016年、私が神スパイク本を書いていた頃、WEBサッカーキングさんがメキシコ大会30年後の神特集記事を連載され、永井さんがお持ちの神実使用グッズが紹介されていました。

当然、ユニフォーム紹介がメインで、スパイクについてはあまり触れられておらず、いつかじっくり拝見したいと思っていました。
サッカーキングさんのご厚意で、永井さんと会うことができ、念願のスパイクを拝見するどころか、自由に触ることまで快く許していただきました(図4下(その1)、図7右(その2))。 

WEB記事で見ただけでもかなり珍品と思っていましたが、特に(その2)のモデルはスペシャル度満載でした。一見ノーマルのメノッティスターですが、シュータンはT字型で、多分国内では珍しいタイプです(初めて実物を見ました)。

側面のモデル名はケーニッヒ(KINGのドイツ語)と表示され、おそらく西ドイツ製だと思いますが、T字型シュータンに「MADE IN WEST GERMANY」の表示はなく、側面の表記の上に西ドイツ国旗らしき小さなタグがついています(中央挿入写真)。

中敷きの柄も見たことがないパターンですし、この頃のキングはつま先2枚革モデルだったはずですが、通常モデルとは違う部分が満載です。
 

実使用の証として、かかとのプーママークに「10」と書かれてあり、かかとは踏みつけたのか、少し曲がっていたりします。
実使用品など恐れ多くて所有するなんてとんでもないですが、プーマスパイクフェチからすると、T字型シュータンは非常にレアと思われますので、同じ型のスパイクはぜひ見つけたいところですが、特注品だったら無理ですね。  

Thumb efbc98図7 巻頭写真の永井さんのスパイクの別角度写真(右)。随所にスペシャルが満載です。スパイクを囲んで2時間ぐらい神談義をさせていただきました。左はもしかしたらこの時のスパイクかもと想像している82年W杯前ぐらいの写真。   

T字型シュータンについては不明な点が多く、今も調査中です。何人かのアルゼンチン代表選手は82年W杯でお使いでしたが、それ以降見なくなりました。

神は初戦のベルギー戦でT字型シュータンの固定式を、ケンペス選手は取替え式を履いていました(図8)。神はそれ以降の試合でこのスパイクを使うことはなく、最後の(退場になった)ブラジル戦は固定式でしたが、ノーマル白シュータンでした(図8左下挿入写真)。
 

Thumb efbc99
図8 82年W杯の神(左)とケンペス選手(右)。同じ固定式でも違うモデルを履いたのは何か意味があったのでしょうか。   


次回は後回しになった往年の定番スパイク、コパムンディアルの歴史について書きたいと思います。 (写真は当時のサッカーマガジン、イレブン及びゲッティイメージズなどより引用)  


◆キングギアから主催イベントのお知らせ。

神を見る夜 vol.0 『70年代のマラドーナ』

■日時・場所:2018年7月10日(火曜日)19時30~21時
      ワロスロード・カフェ(上野)


■出 演:金子達仁(スポーツライター)永井孝英(世界一のマラドーナコレクター)

■主 催:KING GEAR 【http://king-gear.com

■料 金: 参加費 5,000円(検討中)チャージ 300円 + ご飲食代(飲み物を含めて2オーダー以上お願いします)

■内 容:世界一のマラドーナのコレクターである永井さん。紹介動画=https://www.youtube.com/watch?v=fhQHmeGNhqY 

世界中で、彼しか持っていないマラドーナが実際に着用したユニフォームやスパイクを見たり、時にはさわりながら、その時代のマラドーナにまつわるトークライブを開催します。

記念すべきvol.0のテーマは70年代のマラドーナにフォーカスします。

金子達仁×永井孝英トークライブ『70年代のマラドーナ』

■ご予約:ご予約は Facebook イベントページの参加ボタンを押していただくか、Facebookメッセージ・E-mail・お電話にてお受け致します。

https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131101/13214543/


著者 小西博昭の作品はバナーをクリック!  

Thumb article 210 108148 image1 176 176

神に愛された西独製サッカースパイク』
80年代に数々の伝説を生んだサッカー界のスーパースターを足元から考察した論考。