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英雄たちが愛した歴史的スパイクVOL.1~ビンテージスパイクの存在意義~

この度、マラドーナ(神)のスパイクに関する本を出したおかげで、キングギアでも昔のスパイクについて記事を書かせていただけることにな りました。私はマラドーナがアルゼンチンのエースからサッカーの神になる1980年代中頃にサッカーに熱中し始め、今も年の割にはサッ カーには熱い方だと思います。しかし、神が現役時代の頃のスパイクに関してしか詳しくはなく、内容はごく限られた情報であることをご容 赦下さい。さて、初めてですので、まずはこのサイトをご覧の方々であればきっとご存知の、プーマ「パラメヒコ」(図1右)に触れたいと思いま す。

Icon 29634314 1815368455432881 1085668874 o 小西博昭 | 2018/03/28
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図1 右がプーマ「パラメヒコ」、左はアディダス「コパムンディアル」

(スパイクブログ始めました。https://maradonaboots.com/
キングギアが始まった頃、発起人の金子さん、戸塚さんの記事も多く、昔の名選手のスパイクや、30年以上作られ続け、未だ一般プレーヤー にも人気のあるパラメヒコやコパムンディアルについても多くの情報がありました。

正直、神のスパイク話題も多かったので、ちょうどその頃に 本の原稿を書いていた私は、その記事を見て意味もなくあせっていた覚えがあります。 

図2に2009年のサッカーマガジンの情報を記しましたが、Jリーガー使用スパイクランキングでパラメヒコは2位でしたが、現在はとうとう生産中止の噂もあります(後発のパラメヒコライトは既に廃盤)

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図2 週刊サッカーマガジン2009.9.29号p34 

どの種類のスパイクでも早かれ遅かれ製造中止になる可能性はあり、一般の方で、ずっと同じモデルを履き続けてプレーしたい方は数足買い だめする必要があるでしょう。また、今までの思い出として最後に新品を持っておくと、後にきっと買っておいてよかったと思うはずです。 

私の場合、一番サッカーに熱中していたのは大学時代で、当時はお金もありませんでしたので、型落ちの安売りスパイクばかり履いていまし た。

しかし、憧れはやはり神が使っていたタイプで、それは例外なく西ドイツ製プーマの高級モデルでした。 

大学サッカー部生活の最後にはそれを何とか購入してプレーし、この上ない自己満足に浸ったわけですが、引退後にはどこかにいってしまい ました。もちろん、思い出として同じモデルをもう一足買っておこうという考えもありませんでした。 

約30年後に当時のモデルを再度手に入れたいと思った昨今、いろいろ探し回って手に入れた1つが図3の左です。 

右は少し昔のパラメヒコでシュータンのデザインや字体が図1の物と異なっています。 (パラメヒコの変遷やカラーについては yuta_collecter さんのインスタがおすすめです)

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図3 左が西ドイツ製プーマスパイクの一例、右は少し昔のパラメヒコ

正直、どちらも見た目はほとんど変わりませんし、サッカーがマイナースポーツだった80年代の日本では、よほどサッカーがお好きだった方でないと、2つの違いはわからないと思います。 

「WEST GERMANY」という文字もどちらにも入っていますから、昔のパラメヒコは西ドイツ製と誤解する若い方もおられるかもしれません。 

80年代は工業製品全般の品質が飛躍的に向上しましたが、映像や画像はまだアナログの時代で、文字もメディアに残すよりも紙媒体が主流 でした。サッカースパイクの情報もカタログがあれば充分と思われますが、そのカタログも昔は年に数回刷新されてかさばるため、デジタル化 される前に廃棄されてしまい、残っている物が非常に少ないようです(図4)。 

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図4 手前はプーマジャパン所蔵の貴重な昔のプーマスパイク及びシューズカタログ。奥はキングカズ選手使用の歴代モデル。一番右のスパイクは播戸選手特注のつま先ステッチを多くしたパラメヒコ。いずれもプーマジャパンのご好意により撮影。

当時のカタログ写真は主にアッパーとソールの2パターンが写っているのみで、現在のようにPC上でカーソルを動かして全方向から見ることな どできません。

ですから、実物が残っていることは当時のスパイクの細かい情報を得るには非常に重要であると言えます。 そんな古臭いスパイクの情報など必要なのかという疑問はあるとは思います。

サッカー選手にとってスパイクは自分が選べる唯一の道具であり、名選手のプレーはいつまでも鮮明に記憶(記録)されていますが、名選手に選ばれた当時の使用スパイク(特にアナログ時代の)について も、メーカーはもちろんのこと、詳細も知ることができるようにしておくべきだと思います。もちろん神の使用スパイクは未来永劫保存されるは ずですが、それだけが残っていても一般の人は簡単に見ることも触れることもできません。

結局、見てもメーカーと色を把握できるぐらいでしょう。また、名選手はスパイクが支給されますから、よほど思い入れのある物しか手元に残さないと思われます。

そこで、私は現存している神使用スパイクに近いモデルを探してみようと思い立ち、今にいたります。幸いプーマ以外にも今となっては珍しいスパイクもいくつか手にすること ができ、続けさせてもらえる限り、できるだけ細かくそれらをご紹介していければと思います。

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図5 プーマジャパン所蔵の貴重な昔のプーマスパイク。

図4のスパイクよりも、こちらの方が私にとっては興味津々でした。

次回は「約30年ぶりに手にした西ドイツ製プーマスパイクについて」お届けします。 


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神に愛された西独製サッカースパイク』
80年代に数々の伝説を生んだサッカー界のスーパースターを足元から考察した論考。