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元体育会ソッカー部な国会議員!元榮太一郎(参議院議員&弁護士ドットコム株式会社 代表取締役会長)のJリーグを世界一のリーグへ 「第3回:仲山考材(株)代表取締役&楽天大学 学長 仲山進也 Vol.4」

1993年当時のJリーグと同時期にスタートしたイングランドのプレミアリーグの市場価値は1対1であった。しかし、現在ではかなりの差をつけられている。「どうすればJリーグがプレミアリーグに追いつくほど盛り上がるのか?サッカーに携わる方々の待遇がより良くなるのか?」そんな課題に対して、元体育会ソッカー部の元榮太一郎が動いた。サッカー関係者から話を聞き、実行に移していく新企画。第3弾は仲山考材株式会社代表取締役&楽天大学学長の仲山進也氏との対談である。進行役はKING GEARの発起人である金子達仁が務めた。

Icon 16466945 810048175800857 1247399717 n 菊池 康平 | 2020/02/15
Vol.3はこちらから

仲山:微力ながら僕がやりたいなと思っているのは、サッカーから学べることを仕事や人生に活かして幸せになれる人を増やしたいなと。

ちょうど今、菊原志郎さんと一緒にそういう本をつくっているところなんです。(実際、『サッカーとビジネスのプロが明かす育成の本質 才能が開花する環境のつくり方』が2019年11月に発売された。)
  

育成からトップに上がれる選手が一年に一人とか二人じゃないですか。そうすると、「プロになれないくらいなら、うちの子にサッカーなんてやらせなければよかった」と考えるような保護者がいることが一番悲しいという話を志郎さんから聞いていて。   

僕はふつうに部活でボールを蹴っていたレベルですけど、サッカーで学べたことって、抽象度を上げてビジネスに置き換えるとめちゃくちゃ役に立つな、と実感しながら働いています。   

例えば、三木谷さんから「良いサービスとは何か」を教えてもらったことがあって、良いサービスと悪いサービスの違いは、品質が良いとか悪いとかではなくて「お客さんの期待値を超えるか超えないか」だと。

これをサッカーに置き換えたら、フェイントのことなんですよね。相手のディフェンスがお客さんで、その人の期待値がどこにあるのかを読み取って、それを良い意味で裏切ってあげると、サッカーでは抜けることになるし、ビジネスではお客さんが喜んでくれることになります。   

サッカーで「右に行くと見せかけて、左に行く」みたいな感覚を、お客さんに喜んでもらうにはどう置き換えればよいかと考えてチューニングがうまくできると、めちゃくちゃ仕事ができる人になると思うんです。   

そういう視点がないことで、サッカーを引退した人が「ビジネスのことなんてわからない」と思い込んでアルバイトとかしちゃうのはもったいない。   

だから、昔でいう「法学部に行くとつぶしが利く」という常識みたいな感じで、「子どもにサッカーをやらせておくと仕事ができる人間になる」という世の中の常識をつくりたいです。   

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元榮:個人スポーツをやっている人には申し訳ないですが、感覚的にはチームスポーツをやっている人たちの方が、会社でも活躍しやすい印象ですね。もちろん人にもよりますが。 

仲山:同じ集団スポーツでも、どういう価値観で見るかによって変わると思います。三木谷さんがサッカーと野球を両方やり始めた頃に、全社の朝会で「楽天のビジネスは、野球よりはサッカーに似ている」と言ったことがあるんです。   

元榮:野球だとピッチャーに依存しますけど、サッカーだと全員ですもんね。   

仲山:固定のポジションがあって、表と裏で攻守のターンが分かれていて、監督の指示を聞いて動く、というのが野球の特徴だとしたら、サッカーは攻めも守りも流動的で、自分たちで状況をみながら考えて、動いて、フォローし合いますよね。   

「変化が常態」であるところがベンチャーである自分たちのビジネスとリンクすると。僕はそこを具体的に言語化する係だなと思っているんです。   

元榮:いいですね。だから三木谷さんも重宝するんですね。   

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仲山:わからないです。そんなに三木谷さんと話す機会はないので(笑)。   

元榮:ちなみに、仲山さんがJのクラブの社長になって、何でもやって良いということになった場合に、こんな新しいことをやってみたいなど、何かありますか?   

――そこにかぶせて、どこでやりますか?フリーハンドが与えられるとしたら、どのチームでやるのが一番効果的ですか?そして何をやりますか?   

仲山:そうですね。現状を知っているから簡単には言えないですが、ぼくが楽天でやってきたことは、コミュニティを中心にしたアプローチです。

今のEコマースの見られ方って、みなさんアマゾンと楽天を比べるじゃないですか。アマゾンの方が買いやすいとか、色々と言われますが、そもそも似て非なるものなんです。
  

アマゾンは巨大な一店舗です。本屋さんが大きくなって、ほかの事業者にも「軒先を貸してあげるから売っていいよ」となったイメージ。楽天は最初からショッピングモールなので、4万9千店舗の集合体なんです。   

なので、4万9千種類の異なる魅力を持ったお店がある状態を理想として20年間やってきました。そのためには、フランチャイズチェーンみたいに本部が指示するのではなく、出店者さんそれぞれが「お客さんはどうやったら喜んでくれるのか」を自分で考えて動けるようになってもらうことが重要です。それをエンパワーメントと呼んでいます。   

そのために、出店者の横のつながりをつくって、お互い「どうやっているの?」とコミュニケーションをとって、刺激やノウハウの交換をしあって成長していく。「アイツが頑張っているから自分も!」みたいな切磋琢磨できる環境をつくってきたんです。   

僕がもしJクラブをやるとしたら、同じような世界観を付け加えるだろうと思います。ちなみに三木谷さんがFCバルセロナと提携をするときに、「楽天のエンパワーメントという世界観とバルサの大事にしている「クラブを超えた存在(mes que un club)」という世界観に通じるところがあったからバルサと一緒にやりたいと思えた、と言っていました。   

トップと育成の価値基準が違うのが原因で、育成から年に一人しかトップに上がらない、上がっても監督の考え方と合わないので試合で使われない、みたいなことはもったいないので、バルサみたいな世界観の統一されたコミュニティを醸成できるかが大事だと思います。

簡単ではないけれど時間をかければできる気がしますし、長い目で見ると、その方が目先の勝利を追うだけのスタイルよりもうまくいきやすいのではと思います。   

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元榮:それは育成の中から本当にプロになれるのは一握りではなくて、もっと違う形の育成があるんじゃないかということですか?

仲山:スタメンの半分以上は育成から上がった生え抜きで、みたいなことを理想論としてではなく、実現するためにどうするかをクラブ全体で対話できれば。   

トップチームや育成だけではなくて、そういう大事な世界観や価値基準を語り合える関係をクラブ全体や街全体とかにつくれたら、コミュニティとして上手くいったと言えると思います。   

――日本につくれそうな街ってありますか?   

仲山:どこですかね?都市部のほうが難易度は高いかもしれません。   

元榮:ちなみに、Jは全体としてお金が足りないのではないかと思うんですけれど、世界のリーグに匹敵するようなクラブ、リーグになっていくんですかね?   

楽天も上場した時に495億円を調達して、バンバンM&Aを進めていって、今の楽天証券とか楽天カードも含めて、金融部門も拡充したじゃないですか。   

やはり最初の495億円があって、他の企業が資金をもっていないネットの黎明期に潤沢なお金を持ってスタートできたというのが、今の楽天の成長を支えているような気がするんですね。   

でも、Jリーグの各クラブにはドン!と払えるお金がないので、今のままだと各クラブは10年後、20年後も同じことをやっているんじゃないかなって感じがしてしまうくらい、僕は危機感を感じています。   

――長者になれないわらしべ持ちみたいな感じですね。   

仲山:逆に言うと、大きな本質的な成長のビジョンがなくて、毎年、「足元の数字が出来ていませんよね」と怒られないことを目標にやっているようだと、ひとつも積み上がっていくものがないという感じですかね。そして、スタッフも人数が少なくて忙しい。

――ブラックですもんね。   

仲山:だから、ある意味で現場に罪はないなというのをすごく思います。   

Vol.5へつづく


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「複業」で成功する 元榮太一郎/著 https://www.shinchosha.co.jp/book/610838/     

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サッカーとビジネスのプロが明かす育成の本質 才能が開花する環境のつくり方 菊原志郎/著 仲山進也/著 http://www.tokuma.jp/bookinfo/9784198649241