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11人に満たない人数から2023年に全国大会出場を目指す!~伊藤壇監督の挑戦スタート~

アジア22カ国でプレーしてきた伊藤壇氏がクラーク記念国際高校サッカー部の監督に就任した。「なぜ監督という進路を選んだのか?」「どんなチーム作りを描いているのか?」現状の様子も含めて話を聞いた。

Icon 16466945 810048175800857 1247399717 n 菊池 康平 | 2020/06/08
――監督への就任直後にコロナの影響を受けて自粛期間に入ってしまったと思いますが、現状の様子を教えてください。   

伊藤:サッカー部は出来たばかりの為、部員は現時点で数名です。コロナの影響で、練習も出来ていないので、まだ選手たちにも会えていない状況です。   

指導する場を頂き嬉しいですが、1年目は凄く大事だと考えています。現役の時も色々な国でプレーする際に第一印象は物凄く大事だったからです。   

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写真提供:コンサドーレ

――監督という道に進んだ理由は?   

伊藤:引退してから何がしたいかを考えた時に、自身のこれまでの経験を活かせる監督がしたかったんです。クラーク高校に決めた理由はゼロからサッカー部を立ち上げるということからです。   

自身がアジアにゼロから飛び込んで22カ国でプレーしたように、全くゼロの状態から一緒にチームを作り上げていけることに魅力を感じました。   

――歩んできた道のりとリンクしていたんですね?   

伊藤:いいチームに巡り合えたと今の段階では思っています。自分のやってきたことと高校の目指していることが一緒でした。登山家で世界的にも活躍されている三浦雄一郎さんが校長ということも大きかったです。   

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写真提供:コンサドーレ

――契約形態はどうなっているのですか?   

伊藤:私は北海道コンサドーレ札幌のアカデミーを運営するコンサドーレ北海道スポーツクラブと契約して、コンサドーレからの出向(指導者派遣)でクラーク高校の監督という形です。   

コンサドーレは私にとって地元のチームですし、アジア戦略にも力を入れているので、方向性が一緒だったんです。       

――縁があったんですね。監督としての目標を教えてください。  

伊藤:選手の時も小さな目標から大きな目標まで立ててきました。2023年に北海道開催のインターハイがあるので、その全国大会に出るのが大きな目標です。その為には小さな目標からクリアしていかねばなりません。   

数名で部活はスタートしますが、大所帯の強豪校などでチャンスを求めている選手などを受け入れて、年内には11名集めたいです。   

今年の目標は11名集めて試合をして1回勝つことです。   

来年はポジションごとに核となる選手に入学してもらい、来年以降は全道大会に出場、3年後に全国大会出場という目標です。   

――壇さんも高校サッカー育ちですよね?   

伊藤:高校サッカー育ちで国立競技場を目指していました。全国大会には行けたけれど、国立には行けなかったので、今度は監督として国立競技場に行きたいです。   

――選手から監督となりどんな心境の変化がありますか?   

伊藤:今までは選手だったので、自分のプランに沿って自由に動けていました。10カ国に行くと決めて色々な国に足を運んだりしていました。   

今回は監督として、自分が採用した選手もこれから出てくると思います。そういう選手に対して責任があるので、今までのように「あっちこっち行きます」とは出来ない。最低のラインとして2023年に全国大会に選手を連れていくことに専念します。     

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写真提供:伊藤壇 

――スタートからいきなりコロナの影響で活動が出来ていない状況ですよね。   

伊藤:はい、自宅待機ですね。本来は4月15日のオリエンテーションで選手と会って、練習がスタートする予定でした。   

そういう意味では、一歩すら踏み出せていない全くゼロからのスタートです。現役の時も逆境から這い上がっていくのが自分のスタイルでしたので大丈夫です。

スクールウォーズじゃないですが、初戦は0-10でも0-20で負けてもいいから、試合をしたという歴史を積み重ねていきたい。いっぱい失敗してもいいから、2023年に向けてここから這い上がっていきたいです。   

――地元の学校やクラブと一緒に歴史を作っていけることは素晴らしいですね。   

伊藤:今まではコンサドーレとあまり接点がなかったんです。Jリーグではベガルタ仙台でのみのプレーでしたから。地元の方も驚いてくれたし、嬉しいです。

――他の指導者との交流はありますか?   

伊藤:就任してから、知り合いの中学や高校に挨拶へ行きました。

「指導者は選手と違って難しいよ。3年で全国大会に行くなんて甘くないよ」と言われましたが、そのことは重々承知ですし、プライベートを削ってまで指導者として戦っていく覚悟は出来ています。

――現役時代の終盤からチャレンジャスというサッカースクールをされていましたよね?   

伊藤:現在も変わらず継続しています。チャレンジャスは、未就学児~中学生のエリートクラス(チャレンジャスプラチナ)まであります。       

今後は未就学児から育てて、中学を卒業したらクラークへ紹介することもできると思います。高校を卒業してからは自分のアジアなどのコネクションを活かし、プロになるサポートも出来ると考えています。これで育成のピラミッドが形成されました。   

時間的にもチャレンジャスは基本的には夜に稼働しているので、クラークでの指導の後に小学生や中学生を教えることが出来る。並行して繋がりを持って出来ているので嬉しいことです。   

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写真提供:伊藤壇

――どんなサッカーがしたいですか?   

伊藤:ミスを恐れず2列目からどんどん出ていく躍動感のあるサッカーをさせたい。選手の特徴やキャラクターを出せるサッカーにしたいです。   

私は高校サッカーで鍛えられたからここまで長くサッカーができたと思っています。良き伝統もあるし悪しき伝統もあります。理不尽な上下関係とかはもちろんやらないし、今と昔の良い所をミックスしていきたいです。   

――どんな選手に入ってもらいたいですか?   

伊藤:足が凄く速い選手など、何か特徴のある選手を集めたい。それは海外に行って学びました。海外では特徴がないと生き残れないんです。

平均点オール3の選手よりも技術1でもヘディングが5の選手の方が良い。一人一人の個性と長所をどんどん伸ばしたいです。
  

――そういう特徴のある選手の方がプロで採用されやすいですよね。   

伊藤:一芸に秀でている選手の方が売り込みやすいし、チームも獲得しやすいと思います。     

――コンサドーレのアカデミーとの連携はいかがですか?   

伊藤:年に何回かは、コンサドーレアカデミーとも試合が出来ると思っています。   

アカデミーに入れなかった選手の選択肢の一つとしてクラークが入ってきたら嬉しい。クラークで3年頑張ってコンサドーレのトップに入れたら、1回道を外れたけれど強い逞しい選手になりますよね。

――大事にしたいことは?   

伊藤:高校サッカー部を色々見ていると強い高校は挨拶がしっかりしています。サッカー以前に挨拶やしっかり話せることなどを徹底していきます。   

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写真提供:伊藤壇

――ブルネイリーグでプレーされていた時は、リーグがだいぶ延期してましたよね?   

伊藤:毎月、「来月からスタートだ」といわれ1年たっても再開されませんでした。そこでモルジブで3ヶ月間レンタルでプレーして、再開が決まった際にブルネイに戻りました。

それに比べたら今の状況はしょうがないかなと思います。イレギュラーなことや見通しが付かないことには慣れているので、問題ありません。   

ロケットスタートが出来るように、今のこの時間にしっかり準備していくことが大事だと思います。   

目標を宣言して自分を追い込むことを選手の時もしていました。今回も2023年に全国大会に出ると言ってしまったから、もう不安は全くなくて、やるしかないという気持ちです。   

ゼロからアジアでプレーしてきたように今回もゼロから入部してくれた生徒と一緒に熱いチームを作っていきますので、ぜひ我々の挑戦に目を向けて頂けたら嬉しいです。

表紙写真提供:コンサドーレ