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本田千尋の『フロム・トレーニングセンター』vol.3 “ヒップホップ・フットボーラー”に拓けた新たな世界。ジェローム・ボアテングが履く『ナイキ・ティエンポ』

金子塾卒業生にして、現在はドイツに拠点を置くスポーツライター本田千尋のちょっと変化球な新企画。ブンデスリーガのスターはどんな音楽で気持ちを高め、どんなクルマで移動時間に鋭気を養い、そしてどんなスパイクで闘っているのか。トレーニング・センターからのダイレクト・レポートをお伝えします。  

Icon img honda600 本田 千尋 | 2016/12/15
スパイク画像/清水知良

ジェローム・ボアテングが放物線を描く。



肉食獣のような体躯が繰り出すロングボール。今では“バイエルンのボス”となったドイツ代表の代名詞だ。

ブンデスリーガ、ドイツカップ、欧州チャンピオンズリーグ(CL)、W杯…栄光を味わい尽くしたボアテングに去年、新たな世界が拓いた。  

初夏のニューヨーク。米音楽業界の重鎮、ジェイ・Zが主宰するエンターテイメント・カンパニー“ロック・ネイション”に参画。CLやW杯を闘うボアテングに胸を熱くしたジェイ・Zは、褐色のセンターバックの知名度を、さらに国際的に広めようと企んだ。

ブルックリンのスポーツ・バー“40/40クラブ”に招かれたボアテングは、憧れのジェイ・Zと対面。そしてロサンゼルスに構える主宰者の別荘に移動して、“ヒップホップ・フットボーラー“は、夢のような1日を過ごした。  



若い頃からラップを好む28歳を乗せて、ミュンヘンの街を駆けるメルセデスのGクラス。ラジエーターグリルには“JB”のオリジナル・ロゴを刻む。車内ではニューヨークの物語を謳うジェイ・Zの壮大なラップが響いている。
 

今シーズンは筋肉系の怪我に悩む。11月23日のCLロストフ戦では、負傷により58分にピッチを退いた。要を失ったバイエルンは2-3で伏兵に痛恨の敗戦。

凍てつくロシアの大地で、ナイキの『ティエンポ』を履いた。深いネイビーとグリーンは、ボアテングの無念の表情を映している。

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