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ギアで遊び倒していきます。【金子達仁×戸塚啓VOL.3】

KING GEARスペシャル対談Vol.3(最終回)

| 2016/05/23
金子達仁 スポーツライター(KING GEAR発起人)
戸塚啓     スポーツライター   

GEARで遊び倒す。


 発起人の金子達仁は「カー・オブ・ザ・イヤー」の選考委員を務めた経験から、その年NO.1スパイクを表彰する「ギア・オブ・ザ・イヤー」を構想。KING GEARの今後については、ユーザーレビュー機能、プロによる各スパイクの評価を将来的に付与し、さらには2016年度中の『ギア・オブ・ザ・イヤー』開催を明言した。最終回となった今回は両氏のKING GEARに懸ける思いを中心にお送りする。(以下、敬称略) 

◆日本の“ギア市場”をより豊かに  



戸塚:たとえばサッカーのスパイクで新商品が発売される。となると、最初に履かせるのはメッシやクリスティアーノ・ロナウドで、それはつまりヨーロッパなわけだよね。で、メッシやロナウドが履いてるスパイクが日本で買えるかというと、かならずしもそうではない。それはつまり、市場の目がこっちに向いていないってことだよね。日本人に買わせなくても関係ない、ってハナシじゃない。それだとつまらない。

金子:その通り。

戸塚:彼らの目をこっちに向けさせたい。これは聞いた話なんだけど、あるメーカーのサッカースパイクを世界同時発売した時、時差の関係で、たまたま日本の契約選手が世界の選手よりも先に履いてしまったと。そうしたら「えらい怒られた」って言ってましたね。

金子:その程度にしか見られてない。

戸塚:怒られちゃ悔しいですよね。べつに日本の選手が先に履いたからってそれがどうした、って話になるような市場の魅力、成熟度が必要。でも世界には子供たちがスパイクを履かずにサッカーをしている国なんていくらでもあるわけで、そういう意味じゃ、日本の市場の価値っていうのはすごいはずなんだよ。

金子:サッカーの実力で言うと、当然ヨーロッパが中心になるのは仕方ないんだけども。

戸塚:2015年の9月、10月に中東とか東南アジアに行ったとき、現地のサッカーショップを探して回ってみて感じたのは、どこに行ってもスパイクはアディダスとナイキしかない。スポーツウェアに関していえば、いまはアンダーアーマーがすごい。逆に言うとアシックスとかアスリートでこんなにたくさん履いているのに、アシックスのスパイクを中東や東南アジアで買うのは割と困難ってことだよね。

金子:買えるようにしたいね。

戸塚:そうそう。市場として非常に偏ってるんだよね。でも日本にはこれだけスパイクが揃ってるんだから、スパイクによってこれだけ違いがあって、これだけ良いところがあるっていうのをちゃんと一覧できるものがあってもいいと思うんだよね。

金子:ドイツはアディダスとプーマの国で、しょうがない部分はあると思う。他の国のメーカーがなかなか入っていけないじゃない。でも日本ってアシックスとミズノがあるのに、アディダスもプーマもニューバランスもアンダーアーマーも、みんな片っ端から履くわけじゃない。偏見なく。だから「本当に何がいいのか」っていうのをやれる国だと思うんだ。

戸塚:あと日本人の繊細な感覚がどのスパイクを選ぶのかっていうのは、世界の指針になると思うんだよね。

金子:世界に訴えたい。

戸塚:“ものづくりの国”の人たちがどれを選ぶんだって話ですよ。Thumb                    018 fotor  

◆戸塚「中立な立場で、両者の意見を見せていく、って感じなのかな」



金子:各メーカーのスパイクを取り扱うということで、各メーカーとの距離が気になるユーザーもいると思うんだけど、基本はフラットだよね。

戸塚:基本のスタンスは、フラットですよね。

金子:そう。

戸塚:そのスパイクのどこが優れていて、どこが物足りないと感じているユーザーがいるのか、っていうことをハッキリさせるのが俺たちの役目だから。

金子:たとえばアディダスの或るスパイクを否定したとしよう。アディダスは怒るよな。でもアディダスが怒るから否定を止めようとは俺は思わない。俺はアディダスを否定するわけじゃなくて、アディダスのそのスパイクを否定するだけだから。

戸塚:どのスパイクも優れている点があるはずだから、全面否定にはならないよ。まあ、なるかもしれないけど。でも、いいところだけを書く、というスタンスではない。

金子:だから、タイアップ記事とは全然違う。

戸塚:従来のサッカー雑誌のタイアップ記事に根本的に欠けていた、「足りないところをきちんと書く」ということを我々はやっていく。まあ、今のスパイクはダメなのは少ないのかもしれないけど。

金子:いやあるよ。昔のスパイクも良いものが何割かあって、悪いものが何割かあって。その割合はいまも絶対に変わらない。

戸塚:たとえば我々が大好きなパラメヒコもね、今の最新型のスパイクに比べれば、重い。 でもそんなのパラメヒコが好きな人からすれば大したことじゃないんだよね。でもパラメヒコが好きじゃない人からしたら、『重いからなあ』と言うかもしれない。だからそこは中立な立場で、両者の意見を見せていく、っていう感じなのかな。我々がギアのすべてを知ってるわけじゃないしね。むしろいろんな人からギアについて聞いて、そのスパイクそんなにいいんだ、っていうのも知りたいしね。我々も。そっちの方が大きいかもしれないな。  

◆金子「7歳児の発想で、遊び倒していきます」


金子:今後の話だと、KING GEARがメーカーと組んでオーダーメイドのスパイクを作れるようにもしたい。どんなスパイクも合わないって子がいると思うのよ。現状ではみんな我慢してる。


戸塚:俺としても、ギアを取っ掛かりにして、(KING GEARに)いろいろな広がりを持たせていきたい。あとはギアについてざっくばらんに語り合う空間にもなりたいなっていうのはあるよね。あとは8000メートル級の山を登りきるというところですね。


金子:俺も遊ぶし、戸塚にも遊んでほしい。

戸塚:そうですね。

金子:7歳児の発想で、ギアで遊び倒していきます。