Neymar jr s five world final

~Neymar Jr’s Five~ “やりきれたのか!”『KING GEAR FCの100日間の戦い 後編』

ブラジルで行われたNeymar Jr's Five World Finalの裏側を実際に現地で戦ってきた菊池康平によるレポートです。今話では、各選手から「今だから言える大会での裏話」なども聞いております。

Icon 16466945 810048175800857 1247399717 n 菊池 康平 | 2017/08/02
1-0で辛くもクウェートに勝利し、負傷した土屋の容体を気にしていたところ、腰の故障を抱えながら戦っていた宇留野が呟いた。

「足首を捻っちゃったんだよね」

足首を見ると捻挫の中でも重い捻挫に該当すると思われる位に腫れている。

「足首の痛みのおかげ腰の痛みが無くなったよ(笑)」と宇留野が言うと誰かが

「足首の痛みをとる為に腕を負傷させましょうか(笑)」と笑いを誘う。

病院から連絡が入り、幸いにも顔面を負傷した土屋は縫うだけで済み、明日にはプレー出来る可能性が高いと連絡が入った。

とりあえず今日の予選リーグのあと2試合だ。

満身創痍の宇留野だが海外を含め色々な経験をし、戦ってきた先輩なのできっと大丈夫であろう。と思うしかなかった。

まずはリトアニア戦。フィジカルコンタクトが強く、守りを固めてきたので先制点を取るまでは苦戦したが、5-0で勝利!

予選最終戦のアルバニア戦は今大会最速記録となった3分20秒で5-0で勝利!みんな満身創痍だったので「早く仕留めてホテルに帰ろう!」を合言葉に戦った。

ホテルに戻ってからは疲労回復に専念。
敗退が決まったチームは翌日に試合がない為、酒を飲んで夜中まで騒いでいていたが、我々は泥の様に眠った。

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昨日の反省を踏まえた大会側がバスの出発時間を1時間早めてくれ、キックオフの90分くらい前に会場に到着。

じっくりウォーミングアップをする時間があったが、逆にアップをしながら緊張感が増してきた。

負けたら終わりの決勝トーナメント(ノックアウトリーグ)に臨むので気持ちが高ぶる。

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初戦の相手はモルディブ。

私自身はモルディブに行き、草サッカーに混ざったことがあったが、やたらと球際の強さや身体をぶつけて来た記憶があったので、ストリートサッカーは強いかもしれないと少し警戒をしていた。

しかし、蓋を開けてみたらアルバニア戦と同じくらい短い時間で5-0として勝利した。

「試合前の緊張感を返してくれ!」というくらいアッサリ勝利した。

次のベスト8をかけた試合はコソボに決まった!コソボのサッカーはどんな感じか想像がつかなかったが、見た目は屈強な選手が多く不気味な存在であった。

コソボ戦は、試合がスタートしてすぐに「これは強いな!」と肌で感じた。

ここまで戦ってきた6ヶ国よりも一つ抜けている。

攻めてくる迫力、身体や球際の強さ、足元のスキルの高さなど脅威に感じた。

国内予選を含めここまでシュートを打たれたのはコソボ戦がはじめてであった。何度か冷や汗をかく場面があったが、どうにか凌ぐという防戦一方な展開。

勝つには0-0で同点で終わり、PK代わりの1VS1に持ち込むしかないかなと戦いながら感じていた。

試合残り約3分で失点を喫した。コソボの選手が放ったシュートが私の股下を通過した。ディフェンダーとしては1番悔しい失点だ。

ただジャパンファイナルの決勝戦で失点してから追い付いた経験があったので「まだわからない!」と思い退場者用のベンチに座り、追いつくことを祈っていた。

しかし、実力に勝るコソボの迫力ある攻撃に次々に失点を重ねる。一緒に戦ってきた仲間が失点するごとにコートから去っていく姿を見ると胸が痛んだ。

0-4で完敗した。約100日に渡る私達の戦いは53ヶ国中、ベスト16という結果で幕を閉じた。

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ブラジルから帰国して約2週間が経った今の想いをチームメイトから聞いた。内容は以下の4つだ。

①今だから言える大会での裏話

②世界で通用したこと、しなかったことは?世界一になるには何が足りなかったのか?

③やりきれたのか?

④帰国後の今の活動を教えてください


【宇留野純】

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①(1)まさかの35時間移動でギックリ腰になり試合に臨んでいた事。試合前にお尻にボルタレンの座薬を入れ続けキツかった・・・

(2)世界大会前に1人大事なメンバーが欠けてしまったが、東京予選、全国大会で戦い抜いた思いを分かち合ったメンバーで世界大会に出場したい思いが強く、あえて6人でブラジルに乗り込んだが、ハードな移動、スケジュールの中、怪我人も続出し、実はちょっと後悔した事。ただ結果6人で良かったこと。

②技術、フィジカルは通用したと思う。世界1には経験不足。ストリートサッカーをやる上で、フットサル経験者が1人だけだった。

③この大会に限ってはやりきれた。コソボ戦はある意味完敗だったし、現時点のチームではベスト16を超える事は出来なかったと思う。

個人としては2016年に現役を引退しましたが、最後所属していたクラブをシーズン途中で突然解雇され、現役最後の試合も納得出来る試合ではなかった。後になりその試合が最後だったと思うだけで、36才まで続けてきた事を考えると、とてもじゃないけど、受け入られない中、気持ちが整理出来ないまま現在に至っていた。

ただ今回、日本を代表してJリーグでプレーしていた時と同じくらいの緊張感や環境でプレーする事が出来て、ある意味引退に対し受け入れる事が出来た気がします。

まさか日本の国旗を付ける機会を頂き、世界大会に出場するなんて思ってもみなかったので、こんな素晴らしい機会を与えて頂き、感謝しかありません。

本当にブラジルでの時間は幸せな時でした。

チームの仲間、KING GEARの方々には本当にありがとうと言いたいです。

④現在はストライカー育成を念頭に置き、自身と長谷川太郎とのスクール活動や、大人のサッカースクールや全国でサッカークリニックを行う活動の傍ら、千葉でFリーグを目指す企業の実業団クラブの監督をしています。

他にも自身のサッカー経験や、癌になってからJリーガになった経験を色々な方に伝える様、講演なども行なっています。機会があればよろしくお願い致します。

【加部未蘭】

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写真提供/Marcelo Maragni/Red Bull Content Pool

①決勝トーナメントの日にグランドでアップをしている時、人生で初めてサッカーに対して緊張しました。高校選手権の決勝でも全くしなかったのに(笑)

それだけのプレッシャーと責任感の中でプレーできたってことで、本当に幸せな時間でした。

②技術、フィジカルはどことやっても自信はありました。コソボは切り替えの早さ、一対一、個人戦術の高さで及ばなかったです。本当に強かった。

苦しい試合でも立ち直せる、ボールをしっかり保持する力があればもっと先が見えたと思います。

③友人の言葉を借りますが、「どれだけ完璧にやったと思っても後悔は残る。少しでも後悔を減らすために最高の準備をする。」
当時はそれ以上ない準備をしたつもりですが、やはり色々後悔はあります。

Neymar Jr's Five2017はやるだけのことをやって本気で取り組んだので、自分の持てる全ては出し尽くしました。やりきりました。
やりきって完全燃焼ではそこで終わりなので、この経験を次に生かしたいです。

④ブラジルに行く前に退職し、帰国した7月後半からはカンゼンというメディアや紙媒体を取り扱っている会社で働いています。

ジュニアサッカーを応援しよう!やFOOTBALL CHANNEL、フットボール批評などを取り扱っているため、直接この大会での経験がサッカー界に活かせるチャンスだと思っています。
自分にしかできないことを見つけて今度は社会というフィールドでファンタジーを描きたいです。

【土屋良平】

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①実は大会前まで皆とそんなに仲良くなかったんです。あまり練習も行けてなかったですし、以前から仲が良かった飯塚の不参加が決まった時はかなり不安でした。ブラジルで宿泊していくうちに皆と打ち解けられました。

②通用したと思うのは、相手と対峙した時にボールを奪うところ。逆に抜かれないように少し距離を置いてディフェンスをしていたコソボ戦は自分がボールを奪えなくて主導権を握れなかったと思います。

チームとして足りなかったのは、マイボール時のポゼッション能力。僕達はカウンターが得意というのもあったけれど、格上と戦った時にボールを回して主導権を握る時間が少なかったと思います。

③100パーセントやり切れたかって言われると、ハイとは言えないです。だからやりきれなかったのかと思う。思い返すと、あーしておけば良かった、こーしておけば良かったっていうことばかりです。

④これからフットサルでイタリアのserieBに挑戦します!まずはチームに入団し結果を出して、日本人という誇りを持って、チームをserieA2にあげれるよう頑張ります!応援よろしくお願いします。

【菅優樹】

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①ホテルの部屋が、加部未蘭と土屋良平と一緒だったのですが、彼らがうるさくて眠れなかったことですね。

②世界一になるためには、技術とフィジカルの向上、チームとしての成熟した組織を形成することが必要で、一つでも欠けていると、勝てないと感じました。

③優勝していないので、やりきれたとは思いません。今考えてみると、もっと出来たことはあったと思ってしまいます。

④僕はワインの仕事をしているのですが、今回、世界で戦う貴重な経験が出来たことで、今度は仕事面でも心震えるような経験ができるように頑張ろうという気持ちになっています。

自分のこれからの人生においても、大きなプラスになる時間を過ごさせて頂きました。
感謝しております。

【野中来人】

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①表彰式でナイジェリアとドイツ代表選手の計2名が何故か表彰されていて、後々ベストスコアラーだったことがわかり、あと3点取れば並んでいたのでとても悔やんでいます(笑)

②世界で通用したのはこぼれ球への反応・球際で戦えたこと・攻守の切り替えです。

世界一になるにはあと少しのチーム力・戦術理解(急造チームだったから)と強固なヨーロッパ選手に当たり負けしないフィジカルや、その中でもボールを失わない技術がまだ足りていなかったですね。本当にいい経験になりました。

③もっとやれたと言いたいところですが、大会初日から全てを出し尽くす気でいたので、コソボ戦なんてもう限界を超えていましたね(笑)

正直、試合中に頭を打ったせいなのかわからないですけどコソボ戦の記憶があまりないんですよね・・・。それくらい満身創痍だったのでやりきれたんだと思います!

④帰国をしてから下北沢のサッカーショップで働いているとお客様から声をかけられることが多くなりました!

毎日のようにお客様とブラジルの話や最近のサッカー・フットサルについての話で盛り上がっています!

サッカー・フットサルの楽しさを伝えるのも僕らの重要な仕事だと思うのでこれからも頑張って行きたいです!ご来店お待ちしております!

【菊池康平】

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①1番運動量が少ないポジションをやっていたのにも関わらず、2日目のアップの際に左太腿に肉離れしそうな感覚があり、かなり慎重にアップをしていたことです。ダサいので誰にも言ってませんが(笑)

②チームとしての戦う気持ちや足元の技術は世界を上回っていたと思います。

足りなかった点としては「チームとしての戦術」や「個の力」でコソボやルーマニアには及ばなかったと感じています。

③ベストは尽くしましたが、正直わかりません。やりきれることは一生無いのかもしれません。

④チームメイトに連れて来てもらった檜舞台だったと思っています。この経験を糧にしてまた色々なことにチャレンジしていきたいと思っています。



タイトルにした「やりきれたのか?」という答えはそれぞれにあった。

個人的には一生やりきれることはないのではないかと感じている。

やりきれていないからまた挑戦する。その繰り返しでしか前に進めないと思っている。

ということでKING GEAR FCはまた挑戦していきます!!




トップ写真提供/Marcelo Maragni/Red Bull Content Pool