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スポーツ界を底辺から支えるIT企業の挑戦 vol.1「私たちは、体験型サービス業に特化して事業を行っていて、その中にたまたまスポーツがあった」

近年は、人工知能やビックデータなど、最新テクノロジーを導入したトップスポーツの取り組みが脚光を浴びている。そんな中、ITを活かし、スポーツ界を底辺から地道に支え続けている企業がある。ピープルソフトウェア株式会社だ。長年培ったシステム開発のノウハウを活かしながら、スポーツの底辺拡大に尽力するピープルソフトウェアは、どんな企業文化をもち、どのような理念に基づいてスポーツ事業に関わっているのか。会社の創業者である木暮知彦社長と、現場の総責任者としてプロジェクトの指揮を執る横道彰副社長に話をうかがった。

Icon segawa.taisuke1 瀬川 泰祐 | 2017/12/13
■ピープルソフトウェアは、積極的にスポーツ事業に取り組まれているようですが、みなさんとスポーツとの関わりを教えてください。

木暮)スポーツの世界でCRM(Customer Relationship Management)という言葉が使われるようになって、かなり時間が経ちましたが、スポーツというのは、競技をする人だけではなくて、必ず競技を観に来るお客様がいます。

そして、プロであれば観るという行為に対してお金が発生します。従って、競技者は、お客様に満足をしていただくということを常に考えていなければなりません。

その満足度をどうやって高めていくかというところで、ITの力が必要になってきました。我々は、もともと、一般企業向けに、会員管理や顧客管理、販売管理といった機能を持つシステムの開発を行っていたので、そのノウハウが、スポーツの世界にも使えたんです。
 

また、私の息子がフットサルをやっていたので、フットサルをもう少しメジャーなスポーツにするためにも、少し応援してあげなきゃイカンなという想いがありました。とはいえ、私がフットサルのコーチをするわけにはいかない。

だから、フットサル界にCRMの仕組みを提供し、すこしでも応援できればという想いで関わり始めたのが直接的なきっかけです。
 


■ご子息は、あの木暮賢一郎さん(シュライカー大阪・監督)なんですよね?その話は後程詳しく伺うとして、まずは、ピープルソフトウェアの事業のことを伺わせてください。

具体的に、フットサルにおけるCRM
の仕組みとはどのようなものなのでしょうか?


木暮)我々は、主にフットサル施設向けに、会員管理や予約管理といった機能をパッケージにしたシステム「VLCM」を提供しています。

フットサル施設にとってのお客様は、一般のフットサルプレイヤーたちです。そういったプレイヤーがいつ施設を利用したか、住所や年齢や性別といった属性データを蓄積し、それをもとに分析して、プレイヤーの特性をつかんだり、顧客獲得の施策を打つためのサポートするようなシステムですね。

ポイントサービスを提供したり、メール案内の機能もあるので、フットサル施設は、顧客獲得を目的としてPDCAサイクルをまわすことが出来るようになっています。
 

■競合するシステムはあると思いますが、その中で、ピープルソフトウェアのCRMの特徴を教えてください。

木暮)「VLCM」は、業界トップシェアのうちの1社といえるくらいまで普及しています。他社さんのシステムは予約システムのみのシンプルなシステムなので、使いやすさはあると思いますが、一方、「VLCM」は、あくまでもCRM・会員管理ありきの予約システムなんです。

何年継続して会員でいてくれているか、会員の属性ごとにメールを送ったり、ポイントを付与するといった機能も備えているのが特徴ですね。
 

特に、大手企業が経営しているフットサル施設の場合は、PDCAサイクルをきちんと回して運営したいというところが多いので、うちのシステムを採用していただくケースが多いですね。

つまり、きちんと会員管理をし、施設を長く継続して運営していくためのシステムになっているというのが、「VLCM」のウリですね。
 

もちろん、社内の議論の中には、予約だけに特化し、もっと簡単な仕組みにして導入数を増やしていったほうが良いんじゃないかっていう意見もあるんですけど、やはり施設には長く繁栄してもらいたいですから、会員管理、CRMは外せないという方針をとっています。  

■フットサル施設が安易な運営をしてしまい、長く続かずに潰れてしまうとしたら、競技の普及の面でも大きなマイナスですよね。

施設の繁栄をしっかり考えて仕組みを提供する姿勢には共感が持てます。御社のCRM
のノウハウは、フットサルだけではなく、他のスポーツでも使われているのですか?


横道)はい。サッカーやバスケットボールなど、様々な競技団体の受託開発にもつながっています。基本的に、CRMの考え方やノウハウは、バスケットボールだろうが、バレーボールだろうが、フットサルだろうが、競技特性に関わらず共通して使えるものなので、そういった機能を汎用的に作ってプラットフォーム化したのが良かったですね。  

■スポーツの仕事は、なかなかビジネスになりづらい側面もあるとおもいます。継続的に取り組むにはスポーツへの理解がないと難しいと思いますが、いかがでしょうか?

木暮)我々は、もともとは、製造業のシステムを作っていたんです。ですが、日本の製造業は、ほとんどが海外生産へと舵をきってしまいました。

日本企業が海外に生産拠点を構えるようになっていく中で、今後、どんな産業が日本に残るのかを考えたとき、私は「体験型サービス業」と言ってるんですけど、文化や健康や旅行などのように、実際にそこに行って、体験して楽しんでもらうようなサービスなんじゃないかと。

だから、別に、スポーツだけに特化しているわけではないんですよ。実際、ミュージアム向けのシステムや、工場見学のためのシステムなんかも作っています。  

モノならいくらでもECで買えますけど、体験は、実際にそこに行かないと得られないものなので、なかなか廃れることはないですよね。実際、いまの日本のGDPの7割程度がサービス業で、そのうちの3~4割が体験型になっています。今後もその分野が伸びるだろうと思っています。  

そして、その体験型サービス業に必要なITの道具は何かというと、やはり今の時代はスマートフォンでしょう。サービス業というのは、ロボットのようなものはなかなか導入しにくい側面があるので、ITの合理化は思うようには進んでいかない。

でも、スマートフォンなら、お客様はみんな持っているので、サービス提供者側も、スマートフォンにはアプローチしやすいんですよね。体験型サービス業の中で、スマートフォンがお客様との接点になると、スマートフォンアプリが重要視されるだろうということで、4~5年前から、スマートフォンに特化したシステム開発を行っています。
 

何度もいいますが、私たちは、スポーツに特化しているという意識はないんですよ。

正しくは、体験型サービス業に特化していて、その中にたまたまスポーツがあったということになります。確かに、スポーツだけで大掛かりなシステムを開発するのは、なかなか難しい側面もありますが、我々は他の分野システムの共通項を探して汎用的なものにしていくことが出来ましたし、スポーツにそのノウハウが使えたのが良かったですね。  

■なるほど。継続的にスポーツ事業に関わることが出来ているカラクリが良くわかりました。それでは、フットサル界のことを伺わせてください。何でも、木暮社長は、フットサル界の生き字引的な存在だと伺いましたが・・・。  

第2話へ続く      http://king-gear.com/articles/622