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英雄たちが愛した歴史的スパイクVOL.2~プーマ・プロフェッショナル編~

私はかなり以前から西ドイツ製のサッカースパイクには興味がありましたが、実際に収集し始めたのは結構最近ですので、にわかコレクターです。ですから、発売当時から所有されている方々からすると、微々たる知識と収集経験しかないと思います。また、にわかならではの苦悩や葛藤もあります。今回は英雄が本当に使っていたかはわかりませんが、収集し始めた頃に手に入れた少し不思議なモデルについてご紹介します。

Icon 29634314 1815368455432881 1085668874 o 小西博昭 | 2018/04/04
私の憧れだった神のプーマスパイクは白いシュータンに「MADE IN WEST GERMANY」の表示があるモデルで、図1はキングギアが始まった頃に金子さんが紹介した86年メキシコW杯の神(右)のスパイクです。

細かなことは今後触れていくつもりですが、基本的につま先2枚革のシンプルなアッパーが特徴でした。
アルゼンチン選手によく見られる神のくつひものしばり方ですが、W杯では82年大会のベルギー戦と、86年大会のイタリア戦は普通のしばり方だったと思います。

左のプンピード選手は足首に余ったひもを巻いており、神も82年大会は同じしばり方でしたが、86年大会はスパイクの裏を通しています。

 前回ご紹介したカズ選手のパラメヒコやスフィーダと何が違うの?と思われるかもしれませんが、この時代のスパイクがあったからこそ、その後、西ドイツ製モデルのクオリティーを目指して、優れた日本製スパイクが誕生したわけで、サッカースパイクの歴史上とても重要なモデルと言えます。

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図1 サッカーマガジン1986年9月号P3 

さて、私が学生時代以来、再び白いシュータンの西ドイツ製プーマスパイクを手にしたのは比較的最近で、2014年ぐらいだったと思います。

その10年ぐらい前に一度探してみたことがあったのですが、国内では実物が見つかるどころか、スパイクの写真やその所有者に関する情報すらほとんどありませんでした。
 

昨今、国外オークションも比較的手軽にできるようになり、久しぶりにもう一度チャレンジして、運良くマレーシアから入手できた物が図2のプロフェッショナルになります。入手時は別の固定式ソールに交換されていました。おそらく、経年劣化で元のソールがヒビ割れたり、崩壊したからだと思います。

しかし、当時のスタイルを知る者には違和感が大きく、プーマジャパンにパラメヒコのソールを取り付けていただきました(あくまで観賞用として)。これはパラメヒコを生産し続けている日本のみ可能なことです。

パラメヒコ自身も素晴らしいスパイクですが、もし生産中止になってもソールだけはなくならないでほしいと願うばかりです。いずれパラメヒコもソールが劣化するかもしれませんので、保管には気を使われた方がよいかと思います。


Thumb efbc92図2 ソールが交換されている状態で入手した西ドイツ製プーマスパイク(左上)。時計回りに、モデル名はプロフェッショナル、 ソールを剝がして、プーマジャパンにパラメヒコのソールを取り付けていただいた後の状態。

ところで、1980年代前半のプーマを代表する西ドイツ製固定式スパイクと言えば、ベルトマイスターとシーザーメノッティです。図3はその当時(82年ごろ)のカタログで、多分ベルトマイスターが発売されて数年後で既にロングセラーと書かれています(発売開始は78年頃) 。

おそらくその後、Jリーグが開幕するぐらいまで販売されていた記録があり、サッカースパイクとしては、驚異的ロングセラーモデルでしたが、パラメヒコはもうギネス級ですね。
 

また、シーザーメノッティはこの写真だと見にくいのですが、スタッドの数が10本です(普通は12本)。どちらもボックスカーフという上等な牛革製です。これらのモデルについてはいずれまたご紹介する予定です。

Thumb efbc93 図3 ベルトマイスター(上)、つま先2枚革ですが、プーマのカタログではこのタイプを1枚革としていたようです。下はシーザーメノッティ。この時代の2万円超えのサッカースパイクはサッカー用品専門店にしか置いていなかったと思います。 

一方、プロフェッショナルは販売期間がとても短かったようで、私が学生の頃に実物を見たことはありませんでした。

しかし、入手してから昔のサッカー雑誌などを調べて、その存在を初めて知りました。 図4左の日本のカタログでは、プロフェッショナルはカンガルー革製で、シーザーメノッティと同じ10本スタッドの固定式スパイクでした。

ところが、右の海外カタログでは12本スタッドになっています。何も疑問を持たずにパラメヒコのソールをつけていただきましたが、特に間違いではなかったようです。
 

また、モデル番号も日本は392で、海外は394です(88-の意味は不明)。この頃のプーマのモデル番号は300番台が固定式で、番号が大きい方が高価なモデルであることが多いです。ちなみに取替え式は400番台になり、どちらも90番台のほとんどはカンガルー革製のモデルです。 

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図4 プロフェッショナルの日本と海外モデルの比較。スタッド数もモデル番号も違います。ナゼ?

図2のスパイクのサイズは24.5センチで、残念ながら私の足は入りませんでした。その後、ちょうどよいサイズのプロフェッショナルも同じマレーシアの人から入手しました。

そちらはひもすら通されていない未使用でしたが、ソールはなく、内張りも劣化してほぼすべて剥がれており、状態はよくありませんでした(図5上)。おそらくよほど西ドイツ製プーマスパイクに思い入れがある人以外、お金を出しては買わないでしょう。

私にはまさしくお宝であり、購入後にきれいに再生しました(図5下)。昔のプーマの高級モデルは側面の白ラインも革でできており、若干厚みがあります。

図2の方は革ですが、図5の方はどうみても薄い合皮のようです。金子さんは図5のスパイクを手にした瞬間にそこをチェックし、違いを見つけられました。さすがです。
 
Thumb efbc95 図5 プロフェッショナル(サイズ大)の修復前後。 (上)修復前。きっと誰も欲しがらないでしょう。 私にはこのような状態でもまったく問題ないので、 ご不要の方はぜひお譲りください。 (下)修復後。ソールはパラメヒコの物。内張りは なかじまさん(http://nakajima.iaigiri.com/)か 竹本さん( http://www.rs-amor.sakura.ne.jp/)に 修理していただいています。   

私がお世話になっているマレーシアの人は昔、スポーツ用品店を経営されていた方か、そのお知り合いのようで、膨大な数のスパイクコレクションをお持ちです。

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図6 左の方は隠れていますが、やはりプーマは少ないようです。 

訪問したことはありませんが、少しだけコレクションの写真を見せてくれたことがあり、それが図6です。初めて見た時は数にも種類にも圧倒されました。

おわかりだと思いますが、アディダス好きのようです。ラインがカラフルなモデルや、比較的新しいモデルも飾られています。私の場合、所有している物のほとんどがどのメーカーも黒に白ラインで、90年代の物はごくわずかなので、人それぞれスパイク収集も好みがあっておもしろいですね。

日本にもきっと、今では珍しい80年代のスパイクをお持ちの方がおられるはずですので、ぜひお写真など拝見させていただければと思います。
  

次回は「レトロではないプーマ・トレロ」をご紹介する予定です。



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神に愛された西独製サッカースパイク』
80年代に数々の伝説を生んだサッカー界のスーパースターを足元から考察した論考。