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英雄たちが愛した歴史的スパイクVOL.5『80年代の(黒・黄2色ソールの)プーマ・キング編』

プーマのスパイクでキングと名の付くモデルは昔から何種類もあります。80年代のプーマ取替え式スパイクは数多の種類がありましたが、黒と黄色の2色ソールは高級モデルの証で、キングもこのソールでした。神のみならず、プーマスパイクを履く国内外の多くのトッププレーヤーが使っていたと思われます。しかし、今も昔も日本では取替え式スパイクのニーズはあまり高くなく、一般プレーヤーでは手にする機会すらほとんどなかった気がします。当時は敷居が高すぎて触ったこともなかったモデルを、無謀にもこのご時世になって探してみました。

Icon 29634314 1815368455432881 1085668874 o 小西博昭 | 2018/04/25
プーマの取替え式西ドイツ製スパイクは最初にトレロを紹介しましたが、私の中で一番プーマらしい取替式スパイクは黒と黄色の2色ソールのモデルです。

理由としては、初めてW杯を見た82年スペイン大会で、神が履いていたからだと思います(図1)。

2色(ナイロン)ソールのデビューは79年頃で、発売当時は黒・赤カラーでした(そちらについてはいずれご紹介するつもりです)。白シュータンの西ドイツ製プーマスパイク探しから始まった私のコレクター遍歴ですが、収集開始当初の大きな目標の一つは、神が好んだと思われる白シュータン+黒・黄色ソールのスパイクを手に入れることでした。 

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1 82W杯の神。ハンガリー戦(左上)、エルサルバドル戦(左下)、イタリア戦(中央)の3試合で黒・黄色ソールのモデルを履いていました。

日本の神も代表戦では履いていたことがあります(右)。(写真はイタリア戦のみゲッティイメージズ、他は当時のサッカーマガジンとイレブンから引用)
  

80年代の西ドイツ製プーマスパイクで、黒・黄色ソール搭載モデルは図2の4種類とSPAキングです。SPAとはかかと部分が厚いソールのことで、こちらについても別の機会にご紹介します。

神はおそらくつま先が図2上のタイプ(右端はつま先拡大図)が好みだったようで、下のようなつま先がステッチのみのモデルはあまり履いていなかったと思います。

アッパーは左2つがカンガルー革、右2つがカーフです。いずれも当時2万円を軽く超えるモデルで、黒・黄色ソール=超高級モデルのイメージが私には強く残っています。 

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 2 上の2足がつま先2枚革タイプで、下は1枚革のメノッティシリーズです。右端写真がそれぞれのつま先部分の拡大図。   

実は、黒・黄色ソールモデルで最初に入手したプーマスパイクは図2右下のWMメノッティだったのですが、黒シュータンタイプなので、いま一つ達成感がありませんでした。

この頃から、ネットでのスパイク検索が習慣となっていた時に、(前にも紹介した)例のマレーシアの人が出していた図3の画像を見つけました。

上の右3つは全部欲しかったのですが、とりあえず黒・黄色ソールについて尋ねたところ、予想通りキング(モデル番号492)でした。

挿入写真のように、内張りは剥がれていましたが、私にとっては問題なく超お宝です。最初は若干売り渋られましたが、長期交渉の末、何とか入手しました。この年代のスパイクはメーカーを問わず、内張りや固定式ソールの劣化がよく見られます。

マレーシアの人(に限らず普通の人)にとっては、劣化したスパイクについては価値が落ちるようですし、おそらくマレーシアでは劣化部分を修復する術がないため、わざわざ直すことも考えないようです。 

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 3 上右端のスパイクの別角度が右下挿入写真です。内張りは見事に剥がれていました。   

かくして、日本に来た劣化したキングは修復後、図4上のような状態です。キングは70年代から現在まで一貫してプーマサッカースパイクのモデル名として使われています。

それぞれの年代で様々なキングがこれまで製造され、キングペレやペレキング、マラドーナキングなどサッカー神特別モデルもあります。

しかし、私にとってのキングはまさしくこのモデルで、神のみならず各国の数多の名選手が履いていたと思いますが、あまり記憶に残っていないのは残念です。

ただ、キングギアでこのキングを紹介できたことはとても嬉しいです。
さて、キングを入手した頃とほぼ同じ時期にドイツから480WMも購入できました。

こちらは特に劣化も見られず、とてもきれいな状態でした。キングよりも製造時期が古いようで、付属のスタッドが白色です。

また、中敷きもデザインが異なります。個人的にはカーフ革の方が好きなのですが、図1や5の神はどちらを履いていたのでしょうか?ご存じの方がおられたらぜひお教え下さい。
  

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4 修復後のキング(上)。下はWM(モデル番号480)で、ボックスカーフ独特の光沢と手触りが個人的は気に入っています。右端はそれぞれの中敷き。   

大活躍した86年W杯でも神はこのソールのスパイクを2試合で使っています。

図5左は予選リーグ3戦目のブルガリア戦で、かかとのスタッドが一つ取れています。試合後取れたスタッドを必死に探しまわったそうですが、この写真はある意味スクープではないかと思います。

その右は決勝トーナメント1回戦ウルグアイ戦です。この試合では神自身おしいシュートが何本もあり、ご自身で運のなさを感じ、それからは初戦の韓国戦以降使っていなかったトレロタイプ(こちらも取替え式)にしたのではと勝手に想像しています。

結局、次の試合(イングランド戦)ではトレロタイプを履いて、いろいろな意味でサッカー史に残る対照的な2ゴールを決めました。 

また、昨今はドイツでも多くの日本人選手が活躍する時代ですが、80年代のブンデスリーガ1部でコンスタントに活躍されていたのはブレーメンの奥寺選手のみでした。

奥寺選手は帰国後アシックスと契約されましたが、ブレーメンはプーマがサプライヤーでしたので、今回ご紹介したモデルに似たスパイクを履かれていました。 


さらに、三菱や代表で活躍された原選手も長らくプーマスパイクユーザーで、キングなど取替え式を好んで履かれていたと思います。  


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 5 86W杯の神。ブルガリア戦(左:スパイクのポイントにご注目)、ウルグアイ戦(青ユニフォーム)、神のキックは指先まで繊細です。

2枚はブレーメン時代の奥寺選手(現横浜FC会長)と原選手(右端:現日本サッカー協会常務理事)。 (写真は当時のサッカーマガジンとイレブンから引用)
  

さて、記事を書かせていただくようになり、有難いことにご感想をいただくことがあります。それで気づいたのですが、私より少しお若い40代の方の多くは、パラメヒコはもちろんご存じで、とても愛着を持たれているようです。

しかし、パラメヒコの祖先(見本)でもある、西ドイツで作られていたモデルについては、その存在や価値についてはあまり詳しくはご存じないようです。

さらにお若い方になると、なぜ事細かに古臭いプーマスパイクのうんちくを語っているのか、このコーナー自体、意味不明かもしれません。

そこで次回はパラメヒコが誕生した頃のお話を自分流にさせていただき、昔のパラメヒコのシュータンに記されていた 「DESIGN PUMA WEST GERMANY」と「MADE IN WEST GERMANY」の違いについて説明させていただく予定です。


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