SPIKE WARS -チャプター11 カンガルー素材/アンブロ『アクセレイターKL』(後編)-
メーカー横断履き比べ企画第2弾
金子 達仁
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2016/07/23
〔CHAPTER11・カンガルー素材/『アクセレイターKL』(後編)〕
【登場人物】
聞き手(編集部)
マスターナガイ(永井秀樹=東京ヴェルディ1969=)
◆アンブロの「アクセレイターKL」をグラウンドで試し履き!!
──さて、実際にボールを蹴ってみての印象はいかがでしょう。
マスター永井 「‥‥予想はしてたんだけど、やっぱりしょっぱいね」
──そう来ましたか。
マスター永井「というか、予想してたよりも悪い。足型の相性の問題ももちろんあるんだけど、フロントの部分、足が泳ぎまくっちゃう感じ。相当に幅広の足型の人じゃないと、このスパイクは合わないと思う」
──芝生の上を走ってみて、ソールの感触はいかがでしょう。
マスター永井「突き上げがキツい。芝生の上でこうなんだから、土の上で走ったらちょっと痛いぐらいかもしれない」
──キックフィールは?
マスター永井「クラブハウスで履いた時に比べて、印象がよくなったのはこれぐらいかな。さっきは革の固さがすごく気になったんだけど、実際に蹴ってみると案外悪くない。ああ、確かにヤットのスパイクだなって思える」
──まあ、どれほどチューンナップされたレースカーでも、ベースとなった車両の味は遺っているものだといいますしね。どうでもいいことですが、マスター・ナガイの昔からのお友達、伊達公子さんの家にはカリッカリにチューンされた特別仕様のニッサンGT-Rがおいてあるそうで。ご主人のクルマですが。
マスター永井「へ~え、ま、ダンナはレーサーだし、ダテックも昔からクルマ好きだったしね。いまもポルシェ乗ってんのかな」
──それが電気自動車のニッサン・リーフ(笑)。
マスター永井「エコだねえ(笑)。ま、俺もインサイトとかプリウス乗ってたことあるから、ヒトのことは言えないけど(笑)」
◆マスター永井「良くも悪くもすごくオーソドックス」
──国士館大学を中退してヴェルディに入団するや否や、BMWのオープンカーをお買いになられたマスターでございますものね。発起人Kに言わせますと、「あのBMWにさえ乗せてもらっていなければ、俺がオープンカーにハマることもなかったのに」とのことです。
マスター永井「てか、キミの方こそこのスパイクの話からどんどん違うところに持っていこうとしてないか?(笑)」
──では戻します(笑)。先程あまり触れることのなかったデザインについては?
マスター永井「良くも悪くもすごくオーソドックスだよね。それを面白みがないととるか、しぶいと見るかは個人差、世代差で違ってくると思う」
──まあ、どちらかと言えばモレリア寄りのスパイクですよね。
マスター永井「そもそも、このスパイク、このメーカーの広告塔になっているのがヤットなんだから、その時点で通っぽく見てもらえるわけでしょ。だったら、デザインはともかく、中身はもうちょっと頑張ってほしいっていうのはあるよね。確かに、いまやプロが使うスパイクとしては高くない価格設定だけど、それでも1万5000円近くはするわけだし。一昔前なら、トップモデルが買えた値段だよ」
◆マスター永井「そこについては、文句のつけようがない」
──確かに。
マスター永井「俺とは足型が合わなかったっていうのもあるんだろうけど、とにかく履いてみて包まれ感がないんだよね。直球な表現しちゃうと、つっかけの延長」
──うわ、来た、ド直球(笑)。
マスター永井「できれば言いたくなかったんだけど、まあそう思っちゃったんだから仕方がない。てか、そういう役回りを俺に期待してんでしょ?(笑)」
──ま、そういう面もなきにしもあらずですが(笑)、いずれにせよ、マスター・ナガイには今度また違うアンブロのスパイクを履いていただきたいですね。ほら、ミズノのスパイクも前回は酷評だったわけですから。
マスター永井「だね。昔って、アディダスならアディダス、アシックスならアシックスで一括りにできたっていうか、どのモデルを履いてもそのメーカーの共通項みたいなのが感じられたものだけど、最近のスパイクは完全にモデルごとに独立してる感じがするもんね。ウェーブイグニタスとモレリアって、ホントに同じメーカー製かよって思うぐらい違ってたし」
──あ、そういえば、発起人Kがさる大手メーカーのマーケティング担当者を取材したそうなのですが、そのメーカーは柱となっている4つのモデル、それぞれ違った足型を使っていると聞かされて驚いてました。
マスター永井「自動車で言うと、日本車のイメージかな。モデルが違えばテイストも全然違うっていう意味で。いい悪いじゃなくて、メルセデスとかアウディ、BMWなんかのドイツ車って、どのモデルに乗っても共通する部分は感じられるからね」
──だとすると、国産メーカーのアシックスあたりは、逆にドイツ車的なシューズ造りをしている、と言えそうな気もしてきます。ま、今後いろいろなスパイクを試してからの話ですが──。でもってマスター・ナガイ、アクセレイターの褒めどころは?
マスター永井「耐久性だろうね。モナルシーダといい勝負だと思う。部活生が土のグラウンドでガシガシ使えるスパイク。そこについては、文句のつけようがない」
(以下次号へ/取材協力・東京ヴェルディ1969)