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【パリ2024オリンピック】テニス競技の魅力と赤土の秘密

いよいよパリ2024オリンピックが開幕する。新競技も気になるところが、私はやはりテニスについて語りたい。パリ2024オリンピックのテニス競技会場は「スタッド・ローラン・ギャロス」で、赤土のクレーコート。「今年のパリオリンピックのテニス(コート)は赤土だよね」とつぶやくだけでも、周りのあなたを見る目が変わるはず。しかも“赤土”と呼ばれているのに、土ではなかったりするのだ。気になる方は、ぜひ、このまま読み進めてほしい。※トップ画像出典/Corbis via Getty Images

Icon img 9605 1  1 髙橋菜々 | 2024/07/22

パリ2024オリンピック・パラリンピック

2024年7月26日〜8月11日まで「パリ2024 オリンピック」、同年8月28日〜9月8日まで「パリ2024 パラリンピック」が開催される。前回の東京2020オリンピック・パラリンピックが1年延期となり2021年開催だったため、3年後の開催となる。

パリでオリンピックが開催されるのは1924年以来100年ぶり。フランスの首都パリが舞台となり、32競技329種目が行われる。開会式はパリ中心部を流れるセーヌ川が舞台となることも発表されている。

「スタッド・ローラン・ギャロス」

パリ2024オリンピックのテニス会場は、フランス・パリ16区・ブローニュの森にあるテニス競技場で、テニス四大大会「全仏オープン」の会場として知られる「スタッド・ローラン・ギャロス」(Stade Roland Garros)。7月27日〜8月4日の9日間で行われる。
名称の「ローラン・ギャロス」は、世界で初めて地中海横断飛行に成功した、フランスの英雄的パイロットの名前に由来する。主なコートは3面。センターコート「コート・フィリップ・シャトリエ」(収容人数14,929人)「コート・スザンヌ・ランラン」(収容人数9,829人)「コート・シモーヌ・マチュー」(収容人数5,264人)がある。その他にコートが15面あり、計18面のコートがある。敷地面積は約12ヘクタール。東京ドーム約2.5倍の広さにあたるようだ。
私も実際に今年行われた全仏オープンを観戦しに行ったが、会場がとにかく広い。広すぎるのだ。またこの会場では、ボクシング競技も行われる予定だ。

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出典/Corbis via Getty Images

赤土の聖地

クレーコート、つまり土のコートというと、風が吹けば砂が舞ったり砂埃だったり、雨が降ればぬかるみができてしまうなど、マイナスな面を思い浮かべるかもしれない。

しかし「スタッド・ローラン・ギャロス」の赤土のコートは水持ちがよい(土に保水力があるということ)ので、砂が舞うことがない。さらに水はけもよいという、まさに理想のコートなのだ。だから雨で中断しても再開が早いと言われている。

そして「スタッド・ローラン・ギャロス」は、クレーコートの中でもかなり鮮やかな「赤」のコートが特徴だ。その理由はコートの上層部分にある。このコートの上層部分には、粉砕したレンガが敷き詰められているのだ。それが「赤」の秘密である。これはプレー時に適度なすべりを出し、ボールを見やすくするためといわれている。


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出典/Corbis via Getty Images

クレーコートでの見所

テニスの面白いところは、サーフェスによって全然違うプレースタイルが見れるところだ。今回は「パリ2024 オリンピック」の会場である、「スタッド・ローラン・ギャロス」のクレーコートについてもう少し解説したい。
クレーコートは他のコートと比べて最も球足が遅い(球のバウンド後に球速が落ちる)のが特徴だ。強力なショットを打たれてもバウンド後にスピードが落ちる為、守備がしやすくラリーが続く傾向がある。クレーコートは練習の際はストロークとフットワークを強化でき、ハードコートに比べると足腰への負担が少ないというメリットもある。また球足が遅いことから初心者でもラリーを続けやすいメリットもある。

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出典/Corbis via Getty Images

よって試合ではラリーに耐えうるための持久力、そしてクレーコートでのプレーならではの多くの技術が求められる。そのため他の大会で上位にいる選手でも勝ち上がるのが難しいことがあり、選手たちにとって一筋縄ではいかない存在でもある。

雨が降りコートが濡れれば球は弾まなくなり、晴天が続いていてコートが乾いていればボールが高く弾むようになる。さらに、クレーコートにおける足元の滑り具合は気温や湿度によって変わるため、選手は常にその時のコートの状態に合わせた適応力が求められることになる。よって、選手のテクニックやフィジカル、そして状況の判断力など能力やスキルが多角的に試されるのだ。

プレーの面では、強烈なスピンボールや俊敏なフットワークを生かしたディフェンス力を強みとする選手が有利と考えられている。特にトップスピンボールは高く弾むため、相手をベースラインの後ろに追いやり、不意のドロップショット等で追い詰める戦術が効果的といわれている。

またラリーが長く続きやすいことから、相手のミスを引き出すためのプレイ・戦術を目にする機会も多い。他のサーフェスのコートではサーブが強い選手が有利と考えられているが、クレーコートにおいてはそれだけではなく技術の高さと持久力も求められる。今大会でもクレーコートならではの選手たちの多彩なプレイや戦術が見られるのか楽しみである。

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出典/Corbis via Getty Images

クレーコートにカムバック!

オリンピックにおけるテニス競技は過去8大会のうち7大会がハードコートで行われてきた。しかしパリ2024オリンピックではクレーコートに戻ってくる。テニス界で言えば、5・6月にクレーコートで行われた全仏オープン、7月にグラスコート(芝)で行われたウィンブルドン選手権。そして再びパリ2024オリンピックでクレーコートに戻ってきた。私個人としては、特に2024年7月行われていたウィンブルドン選手権でのプレーと見比べるのが楽しみである。

この3つの大会に連続で出場している選手にとっては、スケジュールやサーフェスの変化による調整が大変だろう。選手たちが怪我なく終えれることを願っている。


全仏オープンを観戦しに行った際、1ℓのヌテラ(イタリア発祥のココアパウダーとヘーゼルナッツが入ったスプレッド)を会場近くのスーパーで購入したが、入り口で没収された。原因は瓶の容器に入っていたこと。非常に残念だったのでリベンジを狙っている。ちなみにヌテラは日本でも売っているので観戦のお供にいかがだろうか。