2024.08.25 pnc rugby japan at canada hr 004

ラグビー男子日本代表エディー・ジョーンズHC復帰後初の海外テストマッチ初勝利を収めるも課題残る

ラグビー日本代表男子は8月25日(日本時間8月26日)、『アサヒスーパードライ パシフィックネーションズカップ 2024(PNC)』の初戦を迎え、世界ランキング21位のカナダとバンクーバーで対戦した。 世界ランキング14位の日本代表は、55対28でエディー・ジョーンズ復帰後初のテストマッチで勝利を収めたが、その試合内容は大きく課題が残るものとなった。※トップ画像提供/©︎JRFU

Icon 1h0a0238 a%e6%ad%a3%e6%96%b9%e5%bd%a2 杉山夏子 | 2024/09/04

「超速ラグビー」らしい速さを活かした良い展開も見えた前半

Thumb 20240825 pnc rugby japan at canada hr 056

画像提供/JRFU

開始3分17秒には、8月に代表資格を取得したばかりで本試合が日本代表初キャップとなったマロ・ツイタマ(WTB)のトライで幸先良く先制すると、その後も日本が優位にボールを動かし続け、ワーナー・ディアンズ(LO)の2トライを含む合計5トライで、前半を38対7で折り返したが、カナダのフィジカルの強さが見え始めた前半終盤あたりから、徐々にペナルティーが増えていった。

後半は前半とは対照的にカナダのペースで試合は進んだ。

後半3分の李承信(SO)のトライ以降、日本のミスやペナルティーが目立った日本は苦戦を強いられ、後半だけを見ると21対17とカナダの得点数が上回る展開に。

55対28で日本が逃げ切る形となったが、晴れやかな勝利とは言えない結果となった。

試合後、会見でエディーHCは、「プレイヤーが試合の序盤はスキル、そしてスピードをしっかり使いながらプレイできていた」と評価したが、全体を通すと「若いチームにありがちな点とも言えるかと思いますが、どうしても前のめりになりすぎてしまうシーンが多かったと思います。もっともっとという気持ちが先に塞いてしまい、ボールのコントロールがうまくできないシーンが特に後半に多く見られたと思っています」と語った。

試合後のコメント

Thumb 20240825 pnc rugby japan at canada hr 079

画像提供/JRFU

●エディー・ジョーンズHC

「我々としては常にハードワークを続けています。超速ラグビーといったコンセプトのもと、違うスタイルのラグビーをプレイするところを目的としていますし、体現をしようとしていますが、どうしても結果が伴わない時には我々の掲げる信条であったりだとかがぼやけてしまうことが多いかと思うのですが、我々としては今回の結果を持って、やはり自分たちの求めているスタイル目指しているスタイルところを強調して、さらにそこを精査してベターになっていきたいと思います」

●立川理道 (キャプテン)

「前半は一人ひとりの役割も明確で、相手のフィジカリティに対してしっかりと前に出ることができて、自分たちのやりたいラグビーができたと思います。ただ、後半は修正しないといけない部分もあったと思いますし、次は80分間通してできるようにやっていきたいと思います」

●坂手淳史 (ゲームキャプテン)

「テストマッチで勝つ初めての経験の選手が多い今のジャパンの中で、『勢いになればいいな』というふうに思いますし、また、さらにしっかりと反省しながら次に向かって、みんなでいい準備を進めていければおのずと、この結果があそこから良くなったねと思えるようなそういうシリーズにしたい」

テストマッチは若手を起用し経験値を上げるための通過点

Thumb 20240825 pnc rugby japan at canada hr 064

画像提供/JRFU

エディーHCはジャパンのチームを作り上げる過程で、現在は「若手の育成にどんどん投資をするべき時間」と位置づけている。

今回のカナダ戦もスターティングメンバーの総キャップ数は142。怪我の治療や休暇に充てているリーチ・マイケル、フランスの所属チームに合流した齋藤直人などはPNCのメンバーに入っておらず、2023年ワールドカップで活躍した松田力也は帯同はしたものの出場していない。

一方で、日本代表初キャップがマロ・ツイタマのほか、ニコラス・マクカラン、アイザイア・マプスアの3人。圧倒的に経験の少ないチームだが、今後を見据えて経験をより多く積ませるためにフレッシュなメンバーを選んだとも言える。

また、今回も起用された矢崎(FB)に関しては、「まずはスピードとパワーを今後まだまだ伸ばさないといけないというふうに思っています。取り組む姿勢というのはとても素晴らしいものがありますが、例えばラインブレイクをした際にサポートを探すスキルであったり、スピードとパワーといったところはまだまだ伸ばさないといけないと思っています。基礎的な部分はとてもいいもの、素質を持っていますので、ラグビー界の大谷となることを期待しています」と語った。

選手たちの成長を見守りながら、次の2027年、さらに2031年のワールドカップで望む成績を残すため、今は経験を積み上げていく時期なのであろう。

次戦は9月7日熊谷ラグビー場で行われるアメリカ戦。超速ラグビーがどれくらいの飛躍をするか楽しみである。


■試合情報

9月7日(土)19:05試合開始 日本vsアメリカ@熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 埼玉(日本)