本田千尋の『フロム・トレーニングセンター』vol.2 “遅咲きの世界王者”フィリップ・ラームを支えた、アディダス『パティーク11コア』
金子塾卒業生にして、現在はドイツに拠点を置くスポーツライター本田千尋のちょっと変化球な新企画。ブンデスリーガのスターはどんな音楽で気持ちを高め、どんなクルマで移動時間に鋭気を養い、そしてどんなスパイクで闘っているのか。トレーニング・センターからのダイレクト・レポートをお伝えします。
本田 千尋
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2016/12/06
フィリップ・ラームの知性がブレイクしたのは、3年前のことだ。バイエルン・ミュンヘンの監督に就任したペップ・グアルディオラは、ラームを本職のサイドバックからボランチへとコンバート。高度な戦術理解でラームが攻撃を支えたバイエルンは、ブンデスリーガを史上最速で優勝する。20代で世界最高のサイドバックへ登りつめながら、30歳で花開いた“遅咲き”だ。
穏やかな風貌そのまま、愛車はアウディ。国産車を好む理由は手堅い。『ヴェルト』紙のインタビューによれば、安全で快適で運転していて楽しいから、だそうだ。
練習場に通う車の中では、クラシック音楽が流れているかもしれない。というのもラームは、チェロの世界的名手ダニエル・ミュラー=ショットと親交がある。サッカー好きでもあるミュラー=ショットは、もちろんラームのファンだ。
既にラームはドイツ代表を引退している。最後の大会は2014年のブラジルW杯。アルゼンチンを下して優勝するまでの険しい道程で、ラームを支えたのは、アディダスの『パティーク11コア』だ。
アディダスがW杯ブラジル大会に向けた「バトルコレクション」シリーズの一足。白と黒のまだら模様は、まさにラームの多彩な才能を現しているようである。
今季はキャリアそのものの終わりを匂わせたラーム。“遅咲きの世界王者”は、引退を飾る「ラスト・スパイク」に何を選ぶだろうか。