U-20 W杯戦士の世界と戦うスパイクVol.7 【ゲームレポート編】~日本VSイタリア、グループリーグ短評GK編~
5月20日に開幕したU-20W杯。グループリーグではそれぞれの国が3試合を行い、明暗がくっきりと分かれた。 10年ぶりの出場となった内山篤監督率いるU-20日本代表は、南アフリカ、ウルグアイ、イタリアという、他のグループを見ても最も厳しいグループに入った。 ここではグループリーグの3試合を振り返り、3試合通じての全21選手についての短評と、スパイクコメントを掲載して行く。
安藤隆人
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2017/05/28
U-20日本代表U-20イタリア代表
小川の負傷離脱により、内山監督は18歳FW田川亨介をスタメンに抜擢した。次のU-20W杯の出場資格を持つ田川の出来が、この試合の最大のポイントだった。
しかし、そのポイントどうこう言う前に、日本は最悪の試合の入り方をしてしまった。
開始早々の3分、アンカーのMFロランド・マンドラゴラの縦パスに対し、ラインを上げたCB2人に対し、杉岡大暉と初瀬亮の両サイドバックが残ってしまい、FWアンドレア・ファビッリに抜け出される。
簡単に左サイドを突破され、上げたクロスをファーでMFリカルド・オルソリーニにダイレクトで押し込まれ、いきなり失点。
さらに7分には右サイドでFKを与えると、MFフランチェスコ・カッサータのキックをMFジュゼッペ・パニコに決められ、いきなり2点のビハインドを背負ってしまった。
しかし、ここから気を吐いたのが、遠藤渓太と堂安律の両サイドハーフだった。ボールを持っては積極的に仕掛ける姿勢を見せ、両サイドで起点を作ると、22分には左サイドでボールを持った遠藤が、切り返しから中を良く見て右足のクロス。
これに猛ダッシュで飛び込んだ堂安が、GKより先に左足で触れ、ゴールに押し込んだ。
これで反撃の狼煙を上げると、圧巻は50分の堂安のプレーだ。バイタルエリア右で市丸の縦パスを受けると、そのままDF3人が待ち構えるペナルティーエリアに勝負を仕掛け、3人をぶち抜くと、飛び出して来たGKの逆を突くボールタッチで、ボールをゴールに流し込んだ。
会場がどよめくほどの圧巻のゴールで、日本がついに同点に追いついた。
ここから日本はゆっくりとしたポゼッションサッカーに切り替える。引き分けでも突破が決まるイタリアは、無理をせず後ろでブロックを敷いて来ただけに、日本もむやみに突っかけること無く、DFラインでパスを回す時間を増やした。
試合はそのまま終了し、2−2のドロー決着。
日本は勝ち点4の3位となったが、既に消化しているグループを照らし合わせると、日本は各リーグ3位の上位4チーム内に入ることが確定し、決勝トーナメント進出が決まった。
◎グループリーグ短評GK編
①小島亨介(早稲田大、ナイキ・マジスタ、オーパス2)
出場試合
①小島亨介(早稲田大、ナイキ・マジスタ、オーパス2)
出場試合
グループリーグ(以下・GL)
南アフリカ戦:スタメン、フル出場
ウルグアイ戦:スタメン、フル出場
イタリア戦:スタメン、フル出場
背番号1はグループリーグにおいて、1対1の守備対応が素晴らしかった。「アジアのときより、確実に交わされての1対1のシーンが多くなるので、そうなったら自分が止めるしかないと思っている」と、事前に間合いの詰め方、ステップワーク、面の作り方などをイメージして本大会に臨んだ。グループリーグでは5失点を喫したが、彼によって救われたシーンは沢山あった。
南アフリカ戦では11分と34分に相手FWと1対1になるが、冷静に面を作りながら間合いを詰めて、シュートコースを完全に塞いだため、2本のシュートは共に枠をそれて行った。派手なセーブは無かったが、抜群の安定感を見せた。
ウルグアイ戦でも10分にCB冨安健洋が不用意なボールロストから、FWデラクルスに完全な1対1に持ち込まれるも、今度は鋭い出足で相手の足下に飛び込んで、シュートコースを消し、枠を外させた。
終盤にはペナルティーエリア内でフリーになったFWアグスティン・カノッピオに決定的なシュートを打たれるが、俊敏な反応から冷静なトスティングで防ぎ切った。
結果的には0−2の敗戦だったが、2失点とも防ぎ様が無いシーンでの失点。「失点をしているようでは厳しい。僕がもっと止めないといけない」と唇を噛んだが、守護神に相応しいプレーぶりだった。
イタリア戦では2失点を喫したが、DFのミスが大きく、止めきれるものではなかった。もちろんそれでも止めるべきであったが、彼が崩れての失点ではなく、決勝トーナメントに向けては決してネガティブになる必要がない3試合だった。
⑫波多野豪(FC東京、アンブロ・メデューサPRO)
出場試合
(GL)
南アフリカ戦:SUB
ウルグアイ戦:SUB
イタリア戦:SUB
出番こそ無いが、第2GKとしての位置づけの彼は、チームナンバーワンの高さを誇り、セービング時の守備範囲の広さを練習でも披露している。出番があるが分からないが、準備には余念がない。
21山口瑠伊(FCロリアン、アディダス・エース17.1LE)
出場試合
(GL)
南アフリカ戦:SUB
ウルグアイ戦:SUB
イタリア戦:SUB
出番こそ無かったが、練習を見てもシュートストップの技術はやはり高い。いつどのようなアクシデントがあるか分からないだけに、決して下を向くこと無く、トレーニングに打ち込む