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U-20 W杯戦士の世界と戦うスパイクVol.10 【グループリーグ短評FW編】~離脱した絶対的エースの代役に抜擢されたストライカーとは?!~

10年ぶりの出場となった内山篤監督率いるU-20日本代表は、南アフリカ、ウルグアイ、イタリアという、他のグループを見ても最も厳しいグループに入った。 ここではグループリーグの3試合を振り返り、3試合通じての全21選手についての短評と、スパイクコメントを掲載して行く。【FW編】小川航基、岩崎悠人 、久保建英、田川亨介

Icon img 6776 安藤隆人 | 2017/05/30
⑨小川航基(ジュビロ磐田、ナイキ・ハイパーヴェノムファントム3DFFG)

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試合出場(GL)
南アフリカ戦:スタメン、フル出場、1ゴール
ウルグアイ戦:スタメン→20分OUT
イタリア戦:欠場
 
悪夢だった。初戦の南アフリカ戦で日本のオープニングゴールを決め、逆転勝利への足がかりを作った、内山ジャパンの絶対的エースストライカーが、無念の形で大会から去ることが決まった。

第二戦のウルグアイ戦、スタメン出場をした彼は、9分にDF舩木翔の左からのクロスに飛び込んで、惜しいシュートを放つなど、この試合でもゴールのにおいを感じさせてくれる存在だった。

しかし、18分に競り合いで左膝をひねり、その場に倒れたまま起き上がれなくなってしまった。そのまま担架でピッチ外に運び出されると、トレーナーからは×のジェスチャー。

担架から降りること無く、ロッカーへと運ばれて行った。病院での検査の結果、左膝の前十字靭帯断裂と左膝半月板損傷という大けがを負い、長期離脱を強いられることになった。

彼にとっては悪夢以外なにものでもない。今は一日も早く、ピッチに戻ってくることを待ち続けたい。この年代の絶対的エースストライカーは、彼以外何者でもないのだから―。
 
⑬岩崎悠人(京都サンガ、アディダス・エース17.1LE)

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試合出場(GL)
南アフリカ戦:スタメン→68分OUT、1アシスト
ウルグアイ戦:スタメン、フル出場
イタリア戦:スタメン、フル出場
 
グループリーグは3戦すべてにスタメン出場。「一度落ちてから、裏へ飛び出すなど、動きの形に変化を付けてプレーをしたい」と言った通り、南アフリカ戦では、舩木にボールが渡る瞬間に、飛び出していた位置から一度DFラインに戻ってから、再び飛び出して舩木の縦パスを呼び込んだ。

フリーで中を見て、ニアの小川へ正確なグラウンダークロス。貴重な同点弾をアシストした。以降も豊富な運動量を駆使して、前線のかき回し役として機能した。

第二戦のウルグアイ戦でも彼は無尽蔵のスタミナを駆使し、前線を駆け回った。エース小川が負傷離脱した後は、「もっと動いて、小川の分も攻撃を牽引しないといけない」とさらにスプリントの量を増やした。

イタリア戦でも彼が変わらず前線で細かいスプリントを何度も繰り返すことで、2列目に自由が生まれた。

3試合でノーゴールと、決して満足の行く結果では無いが、彼の存在はもはやこのチームで必要不可欠となっている。
 
◎岩崎悠人スパイクコメント

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岩崎:履き心地が良いです。僕は結構硬めの皮が好きなんですが、エースは結構堅めなので、凄く良いです。

皮が柔らかい素材になると、皮が分厚くなるんです。その分厚さが嫌で、なるべく薄い皮が良いんです。
 
―それはなるべく素足で走っているような感覚が良いということですね?

岩崎:それもありますが、ボールタッチも皮が薄い方が、自分の感覚がボールに伝わりやすいんです。
 
―ずっとエースですか?

岩崎:最初はエックスだったのですが、エックスの皮が凄く分厚過ぎて、感触を得られなかったので、エースに変えました。
 
⑳久保建英(FC東京U-18、アディダス・エックス16.1)

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試合出場(GL)
南アフリカ戦:SUB→68分IN、1アシスト
ウルグアイ戦:SUB→20分IN
イタリア戦:SUB
 
初戦の南アフリカ戦は、1−1で迎えた68分にMF三好康児に代わって投入をされると、投入直後には縦パスを走りながら受けると、裏に飛び出したFW小川航基に絶妙なタイミングで糸を引くようなスルーパスを送り込む。

小川の突破は止められ、ゴールにはならなかったが、ファーストプレーでいきなり会場を沸かせた。

72分にはペナルティーエリア左でMF堂安律の縦パスに抜け出すと、冷静に中央の状況を見て、走り込んで来た堂安へ、これも糸を引くようなマイナスの折り返し。

これを堂安が逆サイドネットに蹴り込んで、決勝弾を演出した。
続くウルグアイ戦では小川のアクシデントで急遽20分に投入。

「いきなりだったので、ファーストタッチの感触が良くなかった」と最初は周りとの連携が噛み合なかったが、徐々に感触を掴んで行くと、本来のプレーを披露。

54分、MF市丸瑞希のループシュートを相手GKが弾いたこぼれに反応。ヘッドでがら空きのゴールを狙ったが、身体を寄せられ、ヘッドはバーの上を越えた。

66分にはFW岩崎悠人へ絶妙なスルーパスを送り、チャンスを作った。しかし、ゴールを奪えず。

「何回もあったチャンスを決め切れず、逆に相手はやっぱり一発で決めてきて。負けてしまったというのは正直悔しい」。

彼にとって世界二戦目は悔いの残る結果となった。
第三戦のウルグアイ戦、彼に出番が訪れることが無かった。

しかし、「出なかったってことは、次の試合は自分の方がフレッシュに迎えられるって意味ではよかったかなと思います」

とポジティブに捉えており、「決めないと勝てないので、ゴールにつながるプレーを出していかないといけないと思います」とベネズエラ戦に意欲を示した。
 
⑭田川亨介(サガン鳥栖、不明)

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試合出場(GL)
南アフリカ戦:SUB
ウルグアイ戦:SUB
イタリア戦:スタメン、フル出場
 
第一戦と第二戦は、出番は来なかったが、決勝トーナメント進出が懸かった重要なイタリア戦でスタメンに抜擢された。

高さと強さ、そしてシュートセンスを発揮した小川の代役として、大きな責務を与えられた。

もともとポストプレーを得意とする選手ではなく、裏への抜け出しにストロングポイントを持つ彼は、立ち上がりから不慣れなポストをこなしながらも、得意の裏への飛び出しでゴールを狙った。

岩崎と共に何度も裏に抜ける動き出しでDFを上下に揺さぶることで、堂安や遠藤、市丸といった2列目の選手へのプレスを弱める働きをした。

ただ、彼個人としては、思うようにボールに触ることが出来ず、シュートも無く、不完全燃焼に終わったのは間違いない。

だからこそ、この経験を決勝トーナメント以降にぶつけて欲しい。彼が積み上げる経験値は、今大会だけでなく、次の大会に向けても重要な財産になるのだから。
 
◎田川亨介スパイクコメント

田川:まだ発売していないモデルなので、黒塗りです。正直、どのスパイクを履いても、自分に合うスパイクが無いんです。

なので、アディダスの方が合わせて作ってくれました。僕の足の形がちょっと特殊な形をしているんです。足の指が長かったり、幅が狭かったりするので。
 
―足の指までしっかりと入って、なおかつ甲の部分が細いモデルですね。

田川:はい、今はこのスパイクが一番僕の足にフィットしていると思っています。締め付け感があって履きやすいです。