アイドルから女優へ。AKB48で人気を博した川栄李奈が語る、「はたらくを楽しむ」ことの必然性
8月7日、東京・表参道のスパイラルホールで就活イベント『CAMP SUMMIT 2017~はたらくを楽しむ人の流儀~』が行われた。講師として参加した元AKB48の川栄李奈は、就活前の約250名の学生たちを前に、自身の社会人としての経験談を披露。そのトークでは、アイドルから女優へと転身した“セカンドキャリア”の内容について多く語られ、その際に努力したという“脱・おバカキャラ”への努力も告白。仕事の流儀だけでなく、「女優・川栄李奈」誕生エピソード満載の特別授業となった。
佐藤 主祥
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2017/08/27
キャリア教育支援プログラム「CAMP」は、総合人材サービスのパーソルキャリア株式会社の新卒採用責任者・佐藤裕氏が、「はたらくを楽しむ」人を増やすためのプロジェクトとして、2015年に始動。
どうすれば働くことを楽しめるようになるのかを徹底的に突き詰め、そして学生たちが社会で正しい一歩を踏み出せるように・・・。その一心で2年半活動を続け、年間200回以上の講義・ワーク・講演を展開できるまでに規模を広げていった。
そして2017年夏。学生限定で東京、名古屋、大阪、札幌、福岡の5都市で講演が開催された。
このイベントは、「Lecture(講義)」「Discussion(討論)」「Interview(インタビュー)」の3部で構成され、第1部では「CAMP」キャプテン・佐藤裕氏の単独講演「就活をやめることから、始めよう。」でスタート。独自の人事目線から「はたらくを楽しむ」ために何をすべきかを説いた。
続く第2部では、複数の企業の現役人事による、採用段階におけるミスマッチをテーマに本音でディスカッション。
ソフトバンク株式会社、日産自動車株式会社、日本航空株式会社、パナソニック株式会社、サントリー食品インターナショナル株式会社など、大手企業の人事が多数参加。それぞれの人事採用のプロたちが、面接や履歴書を通じて「学生のどこを見ているのか」をたっぷりと語っていった。
そして第3部では、女優・川栄李奈が特別講師として登場。学生たちは「待ってました」と言わんばかりに立ち上がり、この日一番の歓声と拍手が会場に響き渡った。
一人の女優に場内が沸く中、佐藤裕氏がコメンテーターを務め、初めに「キャリアのスタート」のテーマに沿って川栄とトークを繰り広げていった。
佐藤:元々テレビで見ていたアイドル時代の川栄さんから女優になり、一緒にお仕事をさせていただく中で一番感じているのが、毎回色が違う。役もそうですし、会うタイミングによっても違ったりするので、その辺が女優というところの裏側なんじゃないかってこともあるし、すごく魅力的に感じます。
そんな川栄さんのスタートと言えばAKB48ですよね。アイドルですけれども、そもそもAKBに入ったきっかけというものを教えて頂いていいですか?
川栄:きっかけは高校一年生の時、友達に誘われてオーディションを受けたところにあります。ただ正直、受かると思ってなかったので、軽い気持ちでいったら「あれ、受かっちゃった…」って(笑)。
でも、受かったからにはしっかりやらないといけないと、覚悟を決めてAKBに入りました。
佐藤:受かってしまった…ということですが、不安な気持ちにはならなかったのですか?
川栄:どうしようってなりましたね。元々、歌やダンスはすごく苦手意識が強いので、最初は本当にやりたくなかったです。
佐藤:いわゆる、ギャップですよね。でもそのギャップを感じた時に、逃げずにAKBを続けたのは何故ですか?
川栄:オーディションを受けて、落ちている人がたくさんいる。その中で自分が受かるという事は、自分の中になにか良いことがあるのかなっていう風に捉えました。それこそ一緒に受けた友達も落ちてしまったんですけど…。
佐藤:それ、圧倒的に気まずいやつですよね(笑)。
川栄:今も仲は良いですよ!(笑)。ただ、そういう子が身近にいたので、「あぁ、私頑張んなきゃ」っていう思いはありましたね。
学生時代、特別アイドルをやりたいとは思っていなかったにも関わらず、未知の世界に飛び込んでいった川栄。右も左も分からないまま、研究生として毎日、苦手という歌とダンスのレッスンに励んでいった。
そんな目の前の現実から逃げずにチャレンジしていったという過去を聞く学生たちの表情は、何かを感じ取っているかのように真剣だった。
続いてのテーマは「ターニングポイント」。徐々にトップアイドルへと成長していった川栄だが、まだまだアイドルとして活躍していける最中で女優への転身を決断した。役者の道へ進むことを決めた、その転機とは一体何なのだろうか。
川栄:私は小さい頃からそんなに自分の欲がなかったのですが、AKBで初めてお芝居をさせて頂いた時に「あぁ楽しいな」って。初めてやりたいと思えることに出会えたんです。なので、自分の好きなことをやるためにアイドルを卒業しました。
佐藤:これは誰もが思うことですが、川栄さんが女優に転身されるタイミングっていうのは、まだまだAKBで全然走れるよねっていう時にコロッといってしまった印象があります。そのターニングポイントの決断には不安や何か考えることはなかったのですか?
川栄:不安というより、楽しみな気持ちが大きかったですね。例え失敗したり出来なかったとしても、また違うことやればいいやっていうぐらいのテンションでやりました。
佐藤:今まで人生を左右する大きな決断の時は、過去の経験や不安よりも「楽しそうだな」っていう気持ちの方を優先してきたのですか?
川栄:そうですね。楽しいことをして生きていきたいと思う人間なので(笑)。
佐藤:では、同世代の人たちは「現状の方が良いから、挑戦しないでおこう」とか、「楽しそうだけど今の方が安全だから」って考える人が多いんですけど、そういう生き方に対してどう思いますか?
川栄:それが楽しいならいいですけど、自分がやりたいことをやるのが絶対に一番だなって、私は思いますね。
川栄には女優の道に進むことに何一つ迷いはなかった。
自分の気持ちに真っ直ぐで、過去の栄光に何の未練もない。逆に言えば、「楽しいことをやりたい」という思いに対して貪欲に生きていることが分かる。そのシンプルな気持ちで女優業に取り組むからこそ、芝居の中で様々な表情を生み出しているのかもしれない。
ここで会場からの質問タイム。「CAMP」の公式Twitterに投稿された学生の質問を紹介し、川栄に答えてもらおうという企画だ。
「アイドルから女優にシフトした際、立場が何かしら変わったと思います。その際苦労したことや、自分らしく変えたことは何かありますか?」。この質問に対し、川栄からはこんな答えが返ってきた。
川栄:アイドルというグループから一人になったので、「何でも自分でやらないといけない」と、自覚を持つようになりました。
その時に努力したことは、AKB時代に浸透していた“おバカキャラ”から脱却することです。私はバカを前面に出している人がお芝居しているのを見ていると、「あ~バカな人だなぁ」って思っちゃうタイプなんですね。なので、自分のキャラクターは消すように心掛けました。
佐藤:自分のキャラを消すっていうのはとても難しいと思うんですけど、具体的にどんな対策を講じたのですか?
川栄:あまり喋らないとか、バカがバレるような発言は避けるとか。そういう誰でもできるようなことからやっていきましたね。今は雰囲気から大人しくしています(笑)。
AKB時代は、その可愛らしいルックスとともに“おバカキャラ“で人気を博した川栄。女優転身にあたって“脱・おバカキャラ”への取り組みを告白し、会場の笑いを誘った。
そして最後に、パーソルキャリアが運営するアルバイト求人情報サービス「an」企画「an超バイト」で、一日限定の記者として働く学生から「女優として成功するために一番努力したことは?」と問われ、川栄はこう発した。
川栄:努力というか、現場や周りの人たちに対して“低姿勢”でいることは常に意識しています。いくらお芝居が上手くても、いくら顔が可愛くても、礼儀がなっていないことが一番ダメだなと。
そういう人に対する態度って、皆が一番見ているところなんですよね。女優だからとかではなく、人間としてまず出来ていなくちゃいけないと、私は思っています。
このイベントを通じて、今はAKB48の川栄李奈ではなく、女優・川栄李奈なんだなと。誰もがそう思ったことだろう。
この日会場に集まった学生約250人は、川栄の「はたらくを楽しむ」姿勢をノートに記し、やりたいことにチャレンジする心を胸に刻んだ。
このプロジェクトで学んだ、固定観念に縛られない「新しい就活」を実践し、一人ひとりが社会に飛び立つその時を、楽しみにしている。
川栄李奈 公式ブログ:
https://ameblo.jp/rina-kawaei-blog/
『CAMP SUMMIT 2017~はたらくを楽しむ人の流儀~』:
http://camp-program.com/
写真/八木茂樹
どうすれば働くことを楽しめるようになるのかを徹底的に突き詰め、そして学生たちが社会で正しい一歩を踏み出せるように・・・。その一心で2年半活動を続け、年間200回以上の講義・ワーク・講演を展開できるまでに規模を広げていった。
そして2017年夏。学生限定で東京、名古屋、大阪、札幌、福岡の5都市で講演が開催された。
このイベントは、「Lecture(講義)」「Discussion(討論)」「Interview(インタビュー)」の3部で構成され、第1部では「CAMP」キャプテン・佐藤裕氏の単独講演「就活をやめることから、始めよう。」でスタート。独自の人事目線から「はたらくを楽しむ」ために何をすべきかを説いた。
続く第2部では、複数の企業の現役人事による、採用段階におけるミスマッチをテーマに本音でディスカッション。
ソフトバンク株式会社、日産自動車株式会社、日本航空株式会社、パナソニック株式会社、サントリー食品インターナショナル株式会社など、大手企業の人事が多数参加。それぞれの人事採用のプロたちが、面接や履歴書を通じて「学生のどこを見ているのか」をたっぷりと語っていった。
そして第3部では、女優・川栄李奈が特別講師として登場。学生たちは「待ってました」と言わんばかりに立ち上がり、この日一番の歓声と拍手が会場に響き渡った。
一人の女優に場内が沸く中、佐藤裕氏がコメンテーターを務め、初めに「キャリアのスタート」のテーマに沿って川栄とトークを繰り広げていった。
佐藤:元々テレビで見ていたアイドル時代の川栄さんから女優になり、一緒にお仕事をさせていただく中で一番感じているのが、毎回色が違う。役もそうですし、会うタイミングによっても違ったりするので、その辺が女優というところの裏側なんじゃないかってこともあるし、すごく魅力的に感じます。
そんな川栄さんのスタートと言えばAKB48ですよね。アイドルですけれども、そもそもAKBに入ったきっかけというものを教えて頂いていいですか?
川栄:きっかけは高校一年生の時、友達に誘われてオーディションを受けたところにあります。ただ正直、受かると思ってなかったので、軽い気持ちでいったら「あれ、受かっちゃった…」って(笑)。
でも、受かったからにはしっかりやらないといけないと、覚悟を決めてAKBに入りました。
佐藤:受かってしまった…ということですが、不安な気持ちにはならなかったのですか?
川栄:どうしようってなりましたね。元々、歌やダンスはすごく苦手意識が強いので、最初は本当にやりたくなかったです。
佐藤:いわゆる、ギャップですよね。でもそのギャップを感じた時に、逃げずにAKBを続けたのは何故ですか?
川栄:オーディションを受けて、落ちている人がたくさんいる。その中で自分が受かるという事は、自分の中になにか良いことがあるのかなっていう風に捉えました。それこそ一緒に受けた友達も落ちてしまったんですけど…。
佐藤:それ、圧倒的に気まずいやつですよね(笑)。
川栄:今も仲は良いですよ!(笑)。ただ、そういう子が身近にいたので、「あぁ、私頑張んなきゃ」っていう思いはありましたね。
学生時代、特別アイドルをやりたいとは思っていなかったにも関わらず、未知の世界に飛び込んでいった川栄。右も左も分からないまま、研究生として毎日、苦手という歌とダンスのレッスンに励んでいった。
そんな目の前の現実から逃げずにチャレンジしていったという過去を聞く学生たちの表情は、何かを感じ取っているかのように真剣だった。
続いてのテーマは「ターニングポイント」。徐々にトップアイドルへと成長していった川栄だが、まだまだアイドルとして活躍していける最中で女優への転身を決断した。役者の道へ進むことを決めた、その転機とは一体何なのだろうか。
川栄:私は小さい頃からそんなに自分の欲がなかったのですが、AKBで初めてお芝居をさせて頂いた時に「あぁ楽しいな」って。初めてやりたいと思えることに出会えたんです。なので、自分の好きなことをやるためにアイドルを卒業しました。
佐藤:これは誰もが思うことですが、川栄さんが女優に転身されるタイミングっていうのは、まだまだAKBで全然走れるよねっていう時にコロッといってしまった印象があります。そのターニングポイントの決断には不安や何か考えることはなかったのですか?
川栄:不安というより、楽しみな気持ちが大きかったですね。例え失敗したり出来なかったとしても、また違うことやればいいやっていうぐらいのテンションでやりました。
佐藤:今まで人生を左右する大きな決断の時は、過去の経験や不安よりも「楽しそうだな」っていう気持ちの方を優先してきたのですか?
川栄:そうですね。楽しいことをして生きていきたいと思う人間なので(笑)。
佐藤:では、同世代の人たちは「現状の方が良いから、挑戦しないでおこう」とか、「楽しそうだけど今の方が安全だから」って考える人が多いんですけど、そういう生き方に対してどう思いますか?
川栄:それが楽しいならいいですけど、自分がやりたいことをやるのが絶対に一番だなって、私は思いますね。
川栄には女優の道に進むことに何一つ迷いはなかった。
自分の気持ちに真っ直ぐで、過去の栄光に何の未練もない。逆に言えば、「楽しいことをやりたい」という思いに対して貪欲に生きていることが分かる。そのシンプルな気持ちで女優業に取り組むからこそ、芝居の中で様々な表情を生み出しているのかもしれない。
ここで会場からの質問タイム。「CAMP」の公式Twitterに投稿された学生の質問を紹介し、川栄に答えてもらおうという企画だ。
「アイドルから女優にシフトした際、立場が何かしら変わったと思います。その際苦労したことや、自分らしく変えたことは何かありますか?」。この質問に対し、川栄からはこんな答えが返ってきた。
川栄:アイドルというグループから一人になったので、「何でも自分でやらないといけない」と、自覚を持つようになりました。
その時に努力したことは、AKB時代に浸透していた“おバカキャラ”から脱却することです。私はバカを前面に出している人がお芝居しているのを見ていると、「あ~バカな人だなぁ」って思っちゃうタイプなんですね。なので、自分のキャラクターは消すように心掛けました。
佐藤:自分のキャラを消すっていうのはとても難しいと思うんですけど、具体的にどんな対策を講じたのですか?
川栄:あまり喋らないとか、バカがバレるような発言は避けるとか。そういう誰でもできるようなことからやっていきましたね。今は雰囲気から大人しくしています(笑)。
AKB時代は、その可愛らしいルックスとともに“おバカキャラ“で人気を博した川栄。女優転身にあたって“脱・おバカキャラ”への取り組みを告白し、会場の笑いを誘った。
そして最後に、パーソルキャリアが運営するアルバイト求人情報サービス「an」企画「an超バイト」で、一日限定の記者として働く学生から「女優として成功するために一番努力したことは?」と問われ、川栄はこう発した。
川栄:努力というか、現場や周りの人たちに対して“低姿勢”でいることは常に意識しています。いくらお芝居が上手くても、いくら顔が可愛くても、礼儀がなっていないことが一番ダメだなと。
そういう人に対する態度って、皆が一番見ているところなんですよね。女優だからとかではなく、人間としてまず出来ていなくちゃいけないと、私は思っています。
このイベントを通じて、今はAKB48の川栄李奈ではなく、女優・川栄李奈なんだなと。誰もがそう思ったことだろう。
この日会場に集まった学生約250人は、川栄の「はたらくを楽しむ」姿勢をノートに記し、やりたいことにチャレンジする心を胸に刻んだ。
このプロジェクトで学んだ、固定観念に縛られない「新しい就活」を実践し、一人ひとりが社会に飛び立つその時を、楽しみにしている。
川栄李奈 公式ブログ:
https://ameblo.jp/rina-kawaei-blog/
『CAMP SUMMIT 2017~はたらくを楽しむ人の流儀~』:
http://camp-program.com/
写真/八木茂樹