上野裕一郎の走ることへのこだわり「Vol.1野球から陸上競技へ」
横浜DeNAランニングクラブに所属している上野裕一郎選手。トレードマークであるサングラスと華のある走りで有名な選手だ。今話では「走ることになったきっかけ」や「中・長距離種目を専門にやっている理由」などを聞かせてもらった。
菊池 康平
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2017/11/25
--はじめまして。個人的にマラソンをするようになり、色々聞きたいことがあります。市民ランナーの代表としても色々と質問させて頂きます。
上野 是非何でも聞いてください!
--早速ですが、中学生のころは野球をやっていたそうですね。高校になって陸上を始めたきっかけは何ですか?
上野 小学生のころから走るのが好きで、親が申し込んだ佐久市(長野県)の市民レースに出たり、自分でも申し込んでレースに出てました。ほとんど準備もせずに、ほぼぶっつけ本番の状態にも関わらず、本格的にクラブに入っている選手と同じぐらいの結果を出せたんです!
高校でも一番速くてリレーの選手に選ばれたりしていたので、野球と同じぐらい走るのが好きでした。中学時代は野球部だったんですけど、引退した後に陸上部に半年ぐらい所属して、その顧問が佐久長聖高校の両角速監督(現東海大学)と知り合いだったんです。
そのころ県内では無名だった僕が県の駅伝大会で活躍したことで注目して頂き、佐久長聖高校に入学することになりました。
ーー陸上は短距離も速かったんですね?
上野 短距離もそれなりに速かったんですけど、長距離の方が断然速かったですね。
ーー現在は5,000m、10,000mをメインでやられていますよね。個人的には一番キツい距離だと思うのですが、なぜその距離を選ばれたのでしょうか?
上野 確かに(笑)でも陸上競技で一番キツいのは400mと800mなんですよ。200mとかになると僕の場合はギアが上がらないんですよ。400mや800mはペースを上げて、それを維持しなければならない距離なのでキツイんです。
ただ僕はマラソンがそんなに得意ではないので42.195kmに比べると5,000m、10,000mは楽というわけではないですけど、個人的に走りやすい距離だと思います。若い頃は1,500m、3,000mはスピードが出せるので好きでしたけど、今はそういった短い距離よりも5,000m、10,000mは15分や30分という時間の中で、いろいろな駆け引きがあって楽しいですね。
逆にマラソンはペースメーカーがいるので、25Kmぐらいまでは動きがなくて、そこからキツさがきて、さらにキツさが長く続くからつらいですよね。
ーー短い間に色々な駆け引きが凝縮されているんですね?
上野 800m、1,500mはさらに短い間に駆け引きがあってしかも常に全力というのがキツイんですよ。
ーー私は学生時代にサッカーと陸上競技の両方をやっていた時期があったのですが、サッカーを選びました。陸上はただ走るだけで、当時はあまり楽しさを見いだせなくて。サッカーやフットサルはやりながら自然と心拍が上がったり、体が作れたりすると思うんです。そういった気持ちになったことはありますか?
上野 自分が今何をしたいかというのが一番重要なんじゃないかなと思います。 お話を聞く限り、サッカーとマラソンをやりたい比率が今はサッカーの方が大きいようですが、その比率をマラソンよりにしたらその楽しさがわかってくると思うんですよ。
僕も今はマラソンから手を引いて5,000mや10,000mとかのトラック競技を長くやっているので、その競技の楽しいことも辛いことも全て知っています。正直マラソンは辛い想い出しかないんですよ。
練習もキツイ、試合もキツイ、結果もダメ。だから両方に取り組んでいた時はトラック競技に逃げたくなる気持ちが凄かったんです。やっぱり苦手なものにいきたくないっていうのも人間の心理なので「これに徹するんだ!」っていう気持ちが大事なんじゃないかなと思います。
選択肢が頭の中に2つあると好きな方、楽な方に行ってしまうので、以前はマラソンはやっていながらもトラック競技に逃げ込んでいたんです。だけど今はトラック競技一本に集中できているので、すごく気持ちも楽ですし、それによって若い頃と今では競技の楽しみ方が変わってきました。
ーーどの辺の楽しみ方が変わってきたのでしょうか?
上野 試合のキツさとかは変わっていないんですけど、今までキツくてダメだった部分が、年齢が上がってきてから耐えられるようになりました。
なぜだろうと考えたときに、練習方法が若い頃と今では変わってきて、効率的なトレーニングをして試合に出て結果が出ると、次はさらに突き詰めてもっと負荷をかけたトレーニングをしたら、もっと良くなるんじゃないかと考えたらどんどんやる気が出て楽しくなりましたね。
なぜだろうと考えたときに、練習方法が若い頃と今では変わってきて、効率的なトレーニングをして試合に出て結果が出ると、次はさらに突き詰めてもっと負荷をかけたトレーニングをしたら、もっと良くなるんじゃないかと考えたらどんどんやる気が出て楽しくなりましたね。
ーー研究の繰り返しですね。
上野 そうですね。若い頃は勢いに任せて、それでいけちゃってたんですけど、今はやることをやらないと勢いだけじゃいけないんですよ。そういう部分に関しては、本当に一つのものを追求するということを考えてきたのは、ここ3~4年です。
若い頃は勢いでやれていた部分と、今では考えないとやれない部分と色々あって、やっぱり一つのものに対してどれだけ執着心をもってやれるかが大事です。
若い頃は勢いでやれていた部分と、今では考えないとやれない部分と色々あって、やっぱり一つのものに対してどれだけ執着心をもってやれるかが大事です。
2つ手に持っているとやっぱり好きなほうに逃げたがるので、やることを一本化して目標を達成してからもうひとつの方にいっても良いと思います。
<Vol.2へ続く>
写真/榎本貴浩
取材協力/Yokohama DeNA Running Club
https://dena.com/running/
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