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祝・女王奪還!歌って踊って、笑って泣いた埼玉アストライア2017年体制最後の感謝の“宴”。

女子プロ野球・埼玉アストライアは12月24日(日)、さいたま新都心のラフレさいたまにて、優勝報告会&ありがとうパーティーを開催した。 最下位に沈んだ昨年から一転、4冠を達成した2017年度体制最後の宴の様子と、今年限りで退団する選手・指導者の声をお届けする。

Icon 19441337 1436670123094269 1330815580 n 森 大樹 | 2017/12/30
毎年埼玉アストライアはクリスマスの時期に関係者・ファンに対する感謝を伝える場としてありがとうパーティーを開催している。選手による出し物やプレゼント抽選会、選手との歓談を楽しめるということで、今年も多くのファンが会場を賑わせた。

同時にその年度のチーム体制が集まる最後の機会であり、この日をもって退団する選手・指導者のユニフォーム姿は見納めとなる。
今年はチームを4冠に導いた中島梨紗監督(#50)が勇退、貴重なスーパーサブとして今季投打に渡って活躍した萱野未久選手(#21)が引退により、それぞれアストライアを去ることとなった。奇しくもこの2人はともに社会人を経て、26歳で女子プロ野球入りを果たした苦労人でもある。
今季のアストライアはヴィクトリアシリーズ(リーグ戦)を2位で終え、進出した女王決定戦(ポストシーズン)では同1位の兵庫ディオーネを退け、4年ぶり2度目の優勝。加えて、女子プロ野球カップ戦・ティアラカップ2大会(熊本、岐阜開催)、プロアマ合同で争うトーナメント戦・女子野球ジャパンカップも制し、4冠を達成している。

ありがとうパーティーは今年プロデュースを担当した谷山莉奈選手(#17)、今井志穂選手(#22)、岩見香枝選手(#10)による乾杯の発声でスタート。
今シーズンの試合を映像で振り返りながらのトークショーでは雨の中で行われた女王決定戦でのエピソードが披露され、川端友紀選手(#23)が「(水たまりだらけで)どこに守っていいか分からなかった」と話せば、1戦目に先発した磯崎由加里選手(#11)が「まさか試合をやるとは思わなかった」と本音を漏らす場面も。

選手による出し物はガングロギャルの仮装をしたおばーず、今話題のお笑い芸人・にゃんこスターに扮したまんざいーず、ももクロのダンスを披露したわかーずに分かれて行われた。おばーずに混ざって辻内崇伸新監督(#51)も仮装して登場し、いつもの寡黙なイメージとは正反対の姿でファンを沸かせた。

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ガングロギャルの仮装で登場したおばーず

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ももクロのダンスを披露したわかーず

その他にも昨年に引き続き、歌手デビュー経験のある加藤優選手(#9)による弾き語りライブや、ステージ上で2チームに分かれた選手が5つの競技に挑戦し、その勝敗を当てるテーブル対抗クイズ大会などが行われた。

パーティーの最後には卒業セレモニーと題し、退団する2人に向けたサプライズ映像が上映され、ファンに向けた最後の挨拶の機会が設けられた。
萱野選手は4年間の現役生活を振り返り、「高校生の時から憧れだった中島監督の下で最後に野球ができ、優勝まですることができて、本当に幸せでした。」と話した。今後の進路についてはまだ未定だが、小中学校の保健体育の教員免許を保持しており、教員採用試験の受験を視野に入れている。特別支援学級の教員にも興味があるそうだ。
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アストライア創設初年度の2013年に選手として優勝を経験して以来の女王奪還を果たした中島監督。負けが続いた今季前半にはやり方を変える必要があるのではないかと苦悩する日々を過ごしたが、それを乗り越え、理想とする“全員野球”を強調し続けて、頂点を掴み取った。
挨拶では「私は“応援する力”がなければ、たとえどんなに能力があってもそれを最大限に発揮できないと考えています。逆に言えば、応援されれば選手が持つ力は2倍にも3倍にもなります。」とチームへの支援の力の大きさを強調するとともに今までの感謝を述べ、来季以降のアストライアへのさらなるサポートを呼びかけて、パーティーを締めくくった。
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↓以下、パーティー終了後一問一答。
◯萱野選手
-引退する実感はあるか。
シーズンが終わった後も練習の手伝いに行っていたので、あまり感じていなかったのですが、やっと引退するという実感が湧いてきました。でもみんなが辛い練習をしているのを見て、続ける選手たちとどこか距離が出てきていた寂しさはありましたね。同時にもうあれは自分にはできないなと(笑)。

-選手生活を振り返って思い出す場面は?
やはり今年の神宮球場での試合ですかね。7000人もお客さんが入った中で試合をできたので。今シーズンは前半全然勝てなくて、チケットの前売り販売をしている時にお客さんの前で泣いてしまったこともありました。でもその分勝利した時の喜びは大きくて、嬉し涙も流しました。

-チームとファンに向けたメッセージを。
みんなにはアストライアらしく、盛り上がって変わらず優勝を目指して欲しいです。
中島監督も言っていましたが、いつもどんな時も応援してくださるファンの皆さんの“応援の力”は大事だと思うので、これからもアストライアをよろしくお願いします!

◯中島監督
-卒業セレモニーでは涙を誘う演出もありました。チームを去る実感は。
絶対泣かないと決めて今日は来たんですけど、あれにはやられましたね。
今日まで全然そんな気がしていなかったのですが、萱野選手の卒業セレモニーの動画が流れ始めたあたりからじわじわ実感が湧いてきました。たぶん私の中でアストライアを離れるということを考えることから逃げていたんですよね。それが今日一気に来て、今すごく寂しいです。

-女子プロ野球での生活を振り返って思い浮かぶ場面は?
アップの時に選手たちが固まってストレッチしたり、練習できついことを励まし合いながら取り組む姿だったり、全員が勝ちにいくぞ!という気持ちで組んだ円陣での顔つきだったり…そういった日々の姿が思い浮かびますね。その時々の表情というのは一生忘れないです。

-今後も野球には携わっていくのか。
まだ何も決めていないです。まずはしばらくゆっくりしたいと思います。でもアストライアの選手たちも練習に来てほしいと言ってくれていますし、私も気になるので、時間がある時は顔を出して喝を入れたいと思っています!

-チームに向けたメッセージ
来季は追われる立場として違うプレッシャーと戦いながらやっていくことになると思います。
なぜ今年は勝てたのか、その時はどういうチームだったのか、というのを忘れないようにしていってほしいです。
チームは誰か1人の力では作り上げられないんです。本当に全員が同じように考えることで1つになれると思うので、それを忘れずに頑張ってもらいたいです。

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◯辻内崇伸新監督
-来季に向けて今の気持ちは。
今年“中島野球”をやってきて、結果を残すことができたので、それを心に残しながら新たな挑戦に向かっていきたいと思います。
チームワーク、全員野球は当たり前で、さらにその先の世界を目指していきます。来年は連覇が懸かるということでその重責はありますが、中島監督の想いを受け継いでやっていければと思っています。
選手はまだ今年以上の力を秘めていると思っているので、それをどれだけ引き出せるか楽しみですね。

-監督として注目していきたい部分は?
特に今季出番の少なかった選手に来年は爆発してほしいと思っています。今年でいくと塩谷千晶選手(#1→#19)、山崎舞選手(#16)、松村朱咲選手(#7)の3人がしっかり仕事をしてくれるといいですね。
調子の良し悪しもある中でシーズンを戦い抜くためには全員の力が必要です。穴が開いてしまった時にそれを補い合える選手力を付けていくことを目指していきたいと思います。

◯萱野未久(かやの・みく=埼玉アストライア・#21)
1988年8月27日生。東京都出身。駒沢学園女子高-尚美学園大-Sirius-アストライア(2014~)
通算投手:69試合7勝10敗11セーブ、防御率3.69(最多セーブ、最多ホールド=2017年)
通算打者:241打数67安打1本塁打36打点、打率.278

◯中島梨紗(なかしま・りさ=埼玉アストライア・#50)
1986年12月27日生。福岡県出身。神村学園高-桜美林大-侍-アストライア(2013~)
通算投手:72試合12勝17敗、防御率2.51(最多セーブ=2013年)
通算打者:34打数9安打3打点、打率.265

埼玉アストライアHP:https://www.saitama-astraia.com/
12月30日(土)18:30から放送のアメトーーク(テレビ朝日)5時間スペシャルに埼玉アストライアの選手が登場予定です!ぜひご覧ください。