アルピニスト野口健と陸上メダリスト為末大によるトークセッションVol.1
2月3日、TOKYO FMホールで行われた「野口健 トークセッションin東京」にて、アルピニスト野口健と、陸上メダリストの為末大が登壇し、絶妙な掛け合いのトークセッションを繰り広げた。トークショウ前半のテーマは「逃げる勇気」
瀬川 泰祐(せがわたいすけ)
|
2018/02/05
このイベントは、地球環境の保護と保全を呼びかけていく活動「コスモ アースコンシャス アクト」の一環として、アルピニスト野口健が、地球を舞台に活躍するフロントランナーを迎えてトークセッションを行うというもの。
今回のゲストは、スプリント種目の世界大会で日本人として初のメダル獲得者であり、現在はスポーツに関する事業を手がけるなど、幅広い分野で活躍中の為末大氏。野口と為末という、地球を舞台に活躍する2人のスペシャリストが、地球の今と未来について、どんなことを語り合うのか、注目が集まった。
この日、抽選に当選した約220名のファンが心待ちにする中、まずは予定時刻通りに野口が登場し、会場内は大きな拍手に包まれた。
開口一番、野口が
「やっぱりこの会場って、恥ずかしいというか、照れるよね。前にも右にも左にも囲まれてね。」
と、はにかんだ様子でイベントはスタート。
その後、為末の登場がアナウンスされると、予想に反して客席後方から本人が登場。会場内はさっそく笑顔に包まれて、トークセッションへと移った。
冒頭では野口と為末の幼少時代や学生時代の写真が紹介されながら、これまでの生い立ちについて振り返った。
その後は、「逃げる勇気」という言葉をテーマに、それぞれ陸上・登山のエキスパートである2人が軽快なトークを繰り広げる。
為末からは、
「この言葉をポジティブに捉えると、アスリートって、例えばJリーガーと陸上選手って一緒にはなれないじゃないですか。そうやって一個に絞り込んでいかないといけない。僕が400mハードルに転向したのは、100mに限界を感じていたからです。自分はどこで生きていけるかと考えたときに、ハードルはまだ技術でカバーできる部分があると考えました。」
と話すと、野口さんから思わず、
「20代の無限大の可能性を感じる時期に、そこまで自分を客観的に見ることができるのは本当に凄いなと思いますね。」
と、客観視した人生観に関心していた。
勝ちどころを見極めるといった話では、為末から
「頑張って勝つか、どうやって勝つか、という2つの選択肢がある。特に日本人は後者を選ぶことは少ない。周りからは三日坊主に見えてしまうので。」
と、自身が輝くことができるフィールドを探し続ける大切さを訴えた。
野口も山登りの話では、
「無理しないでねって皆よく言うんですけど。生死と隣合わせなので、どこまでの無理をするかが重要。国民性もあるんですけど、撤退するときも、欧米の隊は楽しく撤退する。今はだいぶ変わってきましたが、日本隊の場合は何がなんでも登らなければいけないといった時期もあり、失敗を嫌う社会が日本にはあった。根拠はなくても、何か嫌だなって思ったときは降りることが重要。」
と、生死と隣り合わせの世界で生きてきた野口ならではの価値観を語った。 更に自身の山登りについて、
「山に登りたくないと思う時は、しょっちゅうありますね。20代の時はスポンサーのワッペンを見ると、何がなんでも登らなきゃといった気持ちになっていた。でも今はスポンサーの方に迷惑をかけれないので、変に死ぬことはできないなと感じている。色々なことも受け取り方一つで世界が変わってくる。」
と心構えについて語って、トークセッションの前半が終了した。
Vol.2へ続く
取材・文・写真:瀬川泰祐
今回のゲストは、スプリント種目の世界大会で日本人として初のメダル獲得者であり、現在はスポーツに関する事業を手がけるなど、幅広い分野で活躍中の為末大氏。野口と為末という、地球を舞台に活躍する2人のスペシャリストが、地球の今と未来について、どんなことを語り合うのか、注目が集まった。
この日、抽選に当選した約220名のファンが心待ちにする中、まずは予定時刻通りに野口が登場し、会場内は大きな拍手に包まれた。
開口一番、野口が
「やっぱりこの会場って、恥ずかしいというか、照れるよね。前にも右にも左にも囲まれてね。」
と、はにかんだ様子でイベントはスタート。
その後、為末の登場がアナウンスされると、予想に反して客席後方から本人が登場。会場内はさっそく笑顔に包まれて、トークセッションへと移った。
冒頭では野口と為末の幼少時代や学生時代の写真が紹介されながら、これまでの生い立ちについて振り返った。
その後は、「逃げる勇気」という言葉をテーマに、それぞれ陸上・登山のエキスパートである2人が軽快なトークを繰り広げる。
為末からは、
「この言葉をポジティブに捉えると、アスリートって、例えばJリーガーと陸上選手って一緒にはなれないじゃないですか。そうやって一個に絞り込んでいかないといけない。僕が400mハードルに転向したのは、100mに限界を感じていたからです。自分はどこで生きていけるかと考えたときに、ハードルはまだ技術でカバーできる部分があると考えました。」
と話すと、野口さんから思わず、
「20代の無限大の可能性を感じる時期に、そこまで自分を客観的に見ることができるのは本当に凄いなと思いますね。」
と、客観視した人生観に関心していた。
勝ちどころを見極めるといった話では、為末から
「頑張って勝つか、どうやって勝つか、という2つの選択肢がある。特に日本人は後者を選ぶことは少ない。周りからは三日坊主に見えてしまうので。」
と、自身が輝くことができるフィールドを探し続ける大切さを訴えた。
野口も山登りの話では、
「無理しないでねって皆よく言うんですけど。生死と隣合わせなので、どこまでの無理をするかが重要。国民性もあるんですけど、撤退するときも、欧米の隊は楽しく撤退する。今はだいぶ変わってきましたが、日本隊の場合は何がなんでも登らなければいけないといった時期もあり、失敗を嫌う社会が日本にはあった。根拠はなくても、何か嫌だなって思ったときは降りることが重要。」
と、生死と隣り合わせの世界で生きてきた野口ならではの価値観を語った。 更に自身の山登りについて、
「山に登りたくないと思う時は、しょっちゅうありますね。20代の時はスポンサーのワッペンを見ると、何がなんでも登らなきゃといった気持ちになっていた。でも今はスポンサーの方に迷惑をかけれないので、変に死ぬことはできないなと感じている。色々なことも受け取り方一つで世界が変わってくる。」
と心構えについて語って、トークセッションの前半が終了した。
Vol.2へ続く
取材・文・写真:瀬川泰祐