山本彩NMB48卒業発表~サヨナラの胸の奥に秘めた「無限の可能性」~
東京・中野サンプラザで行われた全国ツアー『NMB48 LIVE TOUR 2018 in Summer』初日公演でグループからの卒業を発表した。グループ結成時から絶対的なエースとキャプテンを兼任し、どんな状況でもファンやグループを1番に考えて行動してきた。その儚くも尊い姿から脱却し、殻を破り、満を持してシンガーソングライター山本彩への新たな旅路が始まろうとしている。
池田 鉄平
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2018/07/31
「最後の曲に行く前に、ここで皆さんにご報告があります。私、山本彩は……NMB48を…卒業します。」
始まりがあれば終わりがあり、いつかそんな日もやってくるだろうと思ってはいたが、その日は前触れもなく突然やってきた。
2010年に産声をあげたNMB48。
かねてから大阪は「アイドル不毛の地」と呼ばれており、構想段階から「大阪のアイドルで当たった例しがない」といった多くの反対意見を受けてきた。
しかし、そんな数々の逆境を乗り越え、NMB48は大阪で初めてブレイクしたグループとなったのだ。
そして結成からこの8年間、エースでありながらキャプテンも兼任し、先頭に立って道なき道を切り開いてグループを引っ張り続けたのが、山本彩だった。
もしも山本彩がNMB48にいなかったら、歌やダンス、パフォーマンスで勝負できるグループにはなっていなかっただろう。
もしも山本彩がいなかったら、アイドルグループから本格的なシンガーソングライターへの転向が実現することは、ただの夢物語に終わっていたかもしれない。
「本当の自分ではないことが、上手くいくことがある、生きてると」
これは彼女のソロ代表曲『サードマン』の冒頭のワンフレーズ。“日々葛藤する日常で、誰かを救う曲になったらいいな”という想いが秘められた作品だ。
山本彩には、NMB48に加入する前、ガールズバンドでデビューするも挫折した過去がある。それでも「手段は選ばないが音楽は絶対続ける」と誓い、音楽活動を継続。
そんな彼女が音楽への情熱を持ち続けているうちに出会ったのは、それまでとは全くの畑違いであるアイドルの世界だった。
「置かれた場所で咲きなさい」という名言があるように 、自分が置かれた状況がいくら逆境でも、そこで「咲く」努力をすること。
そうすれば、人はどんな逆境でも輝ける。花を咲かせることが出来る。 環境のせいにしないこと。人はどんなところでも幸せになれる。
山本彩という名のとおり、アイドル界でも多くの彩りを放ち、輝き続けた。
そして今年で平成が終わり、新しい時代の幕開けが始まる。
芸能界もSMAPが解散し、安室奈美恵、小室哲哉と平成の音楽を彩ったアーティストが引退し、次世代を担うアーティストの誕生が待たれている。
そんな音楽業界の現状を感じる今、今年5月に行われた
「山本彩メトロックライブレポート」にて書いた一節を紹介したい。
“挑戦しなければ、見えない景色、出会えない人、訪れない機会が誰の人生にもある。
いつだって、挑戦にはリスクも伴うが、乗り越えた人間だけに待っている未来が確かにある。自らの音楽で熱狂させたオーディエンスを、次はどこに連れていくのか。”
この言葉を再び、卒業を発表した彼女に、そして夢を抱く人たちに伝えたい。
そして最後に、山本彩の生き方そのものを表現した、デビューアルバム『レインボーローズ』の歌詞を送る。
~明日世界が終わっても後悔しない、そう思える生き方をしたいと思った。いつだって僕は思い出す。昨日の自分にサヨナラ。胸の奥に「無限の可能性」~
山本彩の挑戦は、みんなの希望になる。そのストーリーは、いつだって無限の可能性が秘められているからだ。
もう昨日の自分に別れを告げよう。そして明日の自分に会いに行こう。
NMB48も、応援し続けるファンも、そして山本彩も、人生の新章は始まったばかりなのだから。
◆山本彩 卒業発表挨拶
今年の10月でNMB48に入って8年になります。皆さんのおかげで密度の濃い時間を過ごさせていただいて、今日まで本当にあっという間の日々で、うれしいこと楽しいこと、苦しいこと、つらいこと、たくさん経験してきました。そしてその間に何年もかけて、何度も卒業という2文字に悩み、向き合ってきました。
考えては取り消してを繰り返して、自分に何かできることがあるんじゃないかなとか、もっとみんなと一緒に頑張りたいなとか…思いながら、今日までがむしゃらにやってきました。
でもここ数年は、新しくセンターに立つ子が出てきたり、私がいない環境で一人ひとりが輝いて、ライブをしたり頑張っている姿を一歩引いたところから観ていると、頼りがいのある後輩たちを見て、私が卒業した方が、より活性化すると思うようになりました。
どんどんメンバーも入れ替わるんですけど、だからこそ常に今がベストという気持ちで、今いるメンバーをはじめ、新しく入ってきてくれたメンバーや若い子たちが、これからのNMB48を引っ張っていってほしいなと思いますし、新しいNMB48を作っていってほしいなと思っています。
正直何度も悩みながら今日を迎えたんですけど、自分もまだまだ弱くて未熟なんですけど、これからもそうやって未熟な自分に甘えて、寂しさや不安を抱えながら踏みとどまったら、これから先もっと決心しにくくなってしまうんじゃないかと思いましたし、こうやって挑戦することこそが豊かな人生が作られると思ったので、勇気を振り絞って今回決心しました。
NMB48でアイドルは卒業という形になるんですけど、私自身の夢はまだまだ終わりだとは思っていません。『生涯現役』というのが今の私の目標で、もっともっと音楽を勉強して、一生涯、皆さんの前で歌い続けられるような人間でいたいなとこれから先も思っています。
今日までどんなことがあっても、前を向いて頑張ってこられたのも、一緒に頑張ってきたメンバー、スタッフの皆様、そしてどんなときも支えてくださったファンの皆様の存在のおかげだと心から思っています。本当にありがとうございます。
詳しい卒業日程は後日ご報告させていただくことになると思いますけれども、最後まで全力でアイドルをやらせていただきますので、その最後の日まで皆さんも全力で応援していただけるとうれしいなと思います。私、山本彩、そしてNMB48をどうぞこれからもよろしくお願いします。
取材協力/株式会社 よしもとクリエイティブ・エージェンシー、株式会社 Showtitle
写真=©NMB48
始まりがあれば終わりがあり、いつかそんな日もやってくるだろうと思ってはいたが、その日は前触れもなく突然やってきた。
2010年に産声をあげたNMB48。
かねてから大阪は「アイドル不毛の地」と呼ばれており、構想段階から「大阪のアイドルで当たった例しがない」といった多くの反対意見を受けてきた。
しかし、そんな数々の逆境を乗り越え、NMB48は大阪で初めてブレイクしたグループとなったのだ。
そして結成からこの8年間、エースでありながらキャプテンも兼任し、先頭に立って道なき道を切り開いてグループを引っ張り続けたのが、山本彩だった。
もしも山本彩がNMB48にいなかったら、歌やダンス、パフォーマンスで勝負できるグループにはなっていなかっただろう。
もしも山本彩がいなかったら、アイドルグループから本格的なシンガーソングライターへの転向が実現することは、ただの夢物語に終わっていたかもしれない。
「本当の自分ではないことが、上手くいくことがある、生きてると」
これは彼女のソロ代表曲『サードマン』の冒頭のワンフレーズ。“日々葛藤する日常で、誰かを救う曲になったらいいな”という想いが秘められた作品だ。
山本彩には、NMB48に加入する前、ガールズバンドでデビューするも挫折した過去がある。それでも「手段は選ばないが音楽は絶対続ける」と誓い、音楽活動を継続。
そんな彼女が音楽への情熱を持ち続けているうちに出会ったのは、それまでとは全くの畑違いであるアイドルの世界だった。
「置かれた場所で咲きなさい」という名言があるように 、自分が置かれた状況がいくら逆境でも、そこで「咲く」努力をすること。
そうすれば、人はどんな逆境でも輝ける。花を咲かせることが出来る。 環境のせいにしないこと。人はどんなところでも幸せになれる。
山本彩という名のとおり、アイドル界でも多くの彩りを放ち、輝き続けた。
そして今年で平成が終わり、新しい時代の幕開けが始まる。
芸能界もSMAPが解散し、安室奈美恵、小室哲哉と平成の音楽を彩ったアーティストが引退し、次世代を担うアーティストの誕生が待たれている。
そんな音楽業界の現状を感じる今、今年5月に行われた
「山本彩メトロックライブレポート」にて書いた一節を紹介したい。
“挑戦しなければ、見えない景色、出会えない人、訪れない機会が誰の人生にもある。
いつだって、挑戦にはリスクも伴うが、乗り越えた人間だけに待っている未来が確かにある。自らの音楽で熱狂させたオーディエンスを、次はどこに連れていくのか。”
この言葉を再び、卒業を発表した彼女に、そして夢を抱く人たちに伝えたい。
そして最後に、山本彩の生き方そのものを表現した、デビューアルバム『レインボーローズ』の歌詞を送る。
~明日世界が終わっても後悔しない、そう思える生き方をしたいと思った。いつだって僕は思い出す。昨日の自分にサヨナラ。胸の奥に「無限の可能性」~
山本彩の挑戦は、みんなの希望になる。そのストーリーは、いつだって無限の可能性が秘められているからだ。
もう昨日の自分に別れを告げよう。そして明日の自分に会いに行こう。
NMB48も、応援し続けるファンも、そして山本彩も、人生の新章は始まったばかりなのだから。
◆山本彩 卒業発表挨拶
今年の10月でNMB48に入って8年になります。皆さんのおかげで密度の濃い時間を過ごさせていただいて、今日まで本当にあっという間の日々で、うれしいこと楽しいこと、苦しいこと、つらいこと、たくさん経験してきました。そしてその間に何年もかけて、何度も卒業という2文字に悩み、向き合ってきました。
考えては取り消してを繰り返して、自分に何かできることがあるんじゃないかなとか、もっとみんなと一緒に頑張りたいなとか…思いながら、今日までがむしゃらにやってきました。
でもここ数年は、新しくセンターに立つ子が出てきたり、私がいない環境で一人ひとりが輝いて、ライブをしたり頑張っている姿を一歩引いたところから観ていると、頼りがいのある後輩たちを見て、私が卒業した方が、より活性化すると思うようになりました。
どんどんメンバーも入れ替わるんですけど、だからこそ常に今がベストという気持ちで、今いるメンバーをはじめ、新しく入ってきてくれたメンバーや若い子たちが、これからのNMB48を引っ張っていってほしいなと思いますし、新しいNMB48を作っていってほしいなと思っています。
正直何度も悩みながら今日を迎えたんですけど、自分もまだまだ弱くて未熟なんですけど、これからもそうやって未熟な自分に甘えて、寂しさや不安を抱えながら踏みとどまったら、これから先もっと決心しにくくなってしまうんじゃないかと思いましたし、こうやって挑戦することこそが豊かな人生が作られると思ったので、勇気を振り絞って今回決心しました。
NMB48でアイドルは卒業という形になるんですけど、私自身の夢はまだまだ終わりだとは思っていません。『生涯現役』というのが今の私の目標で、もっともっと音楽を勉強して、一生涯、皆さんの前で歌い続けられるような人間でいたいなとこれから先も思っています。
今日までどんなことがあっても、前を向いて頑張ってこられたのも、一緒に頑張ってきたメンバー、スタッフの皆様、そしてどんなときも支えてくださったファンの皆様の存在のおかげだと心から思っています。本当にありがとうございます。
詳しい卒業日程は後日ご報告させていただくことになると思いますけれども、最後まで全力でアイドルをやらせていただきますので、その最後の日まで皆さんも全力で応援していただけるとうれしいなと思います。私、山本彩、そしてNMB48をどうぞこれからもよろしくお願いします。
取材協力/株式会社 よしもとクリエイティブ・エージェンシー、株式会社 Showtitle
写真=©NMB48