フリースタイルフットボール界の頂へ。YO、ibuki、Kazaneがそれぞれの個性を語る。
8月22日から開催されるフリースタイルフットボール世界最高峰の戦い、SuperBallに出場するAir TechnicianのYO、ibuki、Kazane。年齢も近く、互いを認め合う関係だが、競技に対するアプローチ方法はそれぞれ異なるようだ。 掲載第2回は今年のSuperBallに向けて、どのようにフリースタイルフットボールと向き合い、取り組んできたのか、そして自身が感じている世界との差について伺っていく。
森 大樹
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2018/08/22
-大会に臨むにあたって技の構成を考えたり、それに向けた調整などは行っていますか。
Kazane:大会を意識し始めるようになってからはエアームーブだけじゃなくて、他のジャンルもやるようになっていきました。その辺の構成に関しては一番YOが考えてるんじゃないかな。
YO:自分はたしかに去年までは大会で何をやるかを結構決めていましたね。大会では基本的に3回パフォーマンスをするんですけど、それぞれの回で何をするか、ある程度練って臨んでいました。
でも今年からフィーリングでやった方が気持ちいいなと思い始めてきたのでそうしています。 そこからは練習でもあまり調整みたいなことはしていないです。ただただ自分が上手くなるための練習をしている感じです。
大会でもその時にかかった音楽、場所、雰囲気、自分の気分でパフォーマンスするようにしています。 あと先ほどからエアームーブの話が出ていますけど、実は僕元々それが全然できなかったんですよ!
YO
Kazane:そういえばその話をするの忘れてたな(笑)エアームーブがうまい連中を集めた中でYOは少し特殊でした。 YO:フリースタイルフットボールにはアッパー(立ち技)、シッティング(座り技)など他にもジャンルがあるんですけど、当時自分はエアームーブだけやっていなかったんです。今ではバランスよく3つともできるようになりましたけど。
ibuki:今となっては全部のジャンルをこれだけの高水準でできるのはYOだけだと思います。
Kazane
Kazane:日本でもこのレベルでできる人は他にはいないんじゃないですかね。僕らでもちょっと嫌悪感を抱くくらいできますよ。 大会を意識するなら本当はYOみたいに全部のジャンルをできるようになった方がいいと思うんですけど、フリースタイルフットボールは自由にやりたい人間も多いのでなかなかここまで幅広く突き詰めて力を付けられている人はいないと思います。
エアームーブに関しても最初に会った時は本当にできなかったのに、少ししてから見せてもらったら2段飛ばしくらいで高い技をマスターしていて、すごい才能を感じたのを覚えています。
ibuki:自分の場合はまず前の世界大会で感じた課題から練習に着手して、それ以降は自分なりのスタイルを突き詰めることをやっていました。
フリースタイラーの中でも自分はちょっとクセのあるタイプで、やること全部が独自のシステムで成り立っているところがあるので特殊な分、色々と練習のやり方や方向性は考えてきました。
でも大会に向けてとなると、そこにしっかりと照準を当てた準備はある程度しかやったことがありませんでした。だから今回は今までにないくらい大会に向けてパフォーマンスをまとめることにチャレンジしています。
普段は練習では可能性を広げるようなことをして、大会の1ヶ月前からはそこから必要なものだけを残すために取捨選択して、無駄を削ぎ落としていきました。 その作業をするにあたって、メモを書き留めたり、動画に撮影して見返したりもしました。
今回の世界大会だと30秒のパフォーマンスが3ターンあるのでそれを実際にやってみて、その間の自分の体やボールの動き、バトルとしてどうだったかなどを確認します。加えて観ていた人たちがいいものだと思ってくれるかどうかまで考えました。ただ勝つだけじゃなくてさらにその先にある魅力を観客に見せられるパフォーマンスをしたいからですね。
ibuki
Kazane:自分は何も考えずにパフォーマンスをするというのを最初からずっとやってきたタイプです。大人になるにつれて、そのうち考えも変化するかなと思っていたんですけど、結局本当に変わらなくて、ただただ楽しいことを続けてきた感じですね。
中にはアドバイスしてくれる人もいるんですけど、根本にある好きな音楽を聴いて、楽しく蹴りたいという気持ちは変わりません。実際それである程度大会でも結果が出てるんです。も
ちろん自分の場合、まだ正式に日本一とか世界一になっているわけじゃないのであまり偉そうなことは言えないんですけど、自分の中ではこのスタイルが一番楽しいので続けています。
-Superballに挑む上で、世界一との差をどの辺りに感じていますか?
Kazane:シンプルに技の数やミスの多さですかね。大会での評価基準というのはそこになりますから。誰が見ても分かるような難易度の高い技を習得し、そういうものをさらに鬼のように尖らせて、パフォーマンスに盛り込んでくる人たちはやはり大会でも常時上位に食い込んできます。
僕らがもしその技を持っていたらここぞの場面で使いたいと思うものを、いとも簡単に連発してくるんです。
YO: 難しい技をミスらずにいつでも出せるというのは強いですね。
Kazane:あとはメンタル面の違いもあります。やっぱりフリースタイルフットボールを楽しみつつ、集中できていれば結果も付いてくるのかなと思います。
ibuki:一方で最近の大会はよりスキルにフォーカスして評価される時代になってきているとも思います。
Kazane:日本は今までそこまでスキルに重きを置いていなくて、どちらかというと自由に楽しむ方に寄っていたので、大会でのバトルとなると世界の方がまだ強い印象です。 ちなみに意外なところでいくとフリースタイルフットボールはポーランドが強いんですよ。
ibuki:もちろんブラジルとかも強いんですけどポーランドは全体的に上手い人がたくさんいます。世界一になっているポーランド人も多いです。
-誰もやったことない技をやった方が点数も高くなるのでしょうか。
Kazane: 必ずしもそういうわけではないです。例えばこの世にインサイドでのリフティングが存在しなかったとするじゃないですか。それを初めてやったとしても単純に新しいだけで技の難易度としては簡単すぎて、評価されないということになります。
ibuki:新しい技が出てきたとしてもそれがどのくらい難しいものなのかというのは割とすぐ分かります。アイディアだけなのか、時間を費やして生み出したものなのか。世界大会で戦っているプレイヤーぐらいのレベルになれば見破れます。自分なんかはどのジャンルにも属さないようなことをやったりするので、そこの壁に結構直面するプレースタイルかもしれませんね。
Kazane:大会での評価基準としてはまず技の難易度が重視されて、その上での目新しさなのかなと思います。
-その人の代名詞となるようなオリジナルの技をやる人もいるんですか。
Kazane:他の人がやったらダメでしょと言われちゃうくらいその人の代名詞になっている技はありますよ。一方で誰かが開発した技でもみんなが使っているものもあるので、そこの線引きは難しいところではあるんですけど。暗黙の了解です。 例えばちょっと変わっているibukiのスタイルを参考にしてやろうとする人もいるんですけど、見ている側としては微妙ですよね。
ibuki:僕自身はダメとまでは言わないですけどね。
YO:バトル相手が明らかに自分のスタイルをパクっている場合にはそれはBITE(バイト)と呼ばれ、評価としてはよくない印象を与えることになります。
Kazane:逆にこの3人の仲ぐらいになるとあえてバトル中に相手の技やスタイルを遊び心で入れたりすることはありますよ。
ibuki:一通り自分のパフォーマンスを出し切った後に最後の3秒ぐらいで相手の技を入れてみて、できたらめっちゃガッツポーズしてやりますよ(笑)逆に失敗するとちょっと苦笑いして終わるみたいな。
【続く】
前編:http://king-gear.com/articles/899
・Air Technicianの詳細、出演依頼等に関する情報
→Face Up Japan: http://management.f-up.jp/
・Air Technician・YouTubeチャンネル
→ えあてくch:https://www.youtube.com/channel/UC5-5B6ughC2UbMRHJg3kKUQ
Kazane:大会を意識し始めるようになってからはエアームーブだけじゃなくて、他のジャンルもやるようになっていきました。その辺の構成に関しては一番YOが考えてるんじゃないかな。
YO:自分はたしかに去年までは大会で何をやるかを結構決めていましたね。大会では基本的に3回パフォーマンスをするんですけど、それぞれの回で何をするか、ある程度練って臨んでいました。
でも今年からフィーリングでやった方が気持ちいいなと思い始めてきたのでそうしています。 そこからは練習でもあまり調整みたいなことはしていないです。ただただ自分が上手くなるための練習をしている感じです。
大会でもその時にかかった音楽、場所、雰囲気、自分の気分でパフォーマンスするようにしています。 あと先ほどからエアームーブの話が出ていますけど、実は僕元々それが全然できなかったんですよ!
YO
Kazane:そういえばその話をするの忘れてたな(笑)エアームーブがうまい連中を集めた中でYOは少し特殊でした。 YO:フリースタイルフットボールにはアッパー(立ち技)、シッティング(座り技)など他にもジャンルがあるんですけど、当時自分はエアームーブだけやっていなかったんです。今ではバランスよく3つともできるようになりましたけど。
ibuki:今となっては全部のジャンルをこれだけの高水準でできるのはYOだけだと思います。
Kazane
Kazane:日本でもこのレベルでできる人は他にはいないんじゃないですかね。僕らでもちょっと嫌悪感を抱くくらいできますよ。 大会を意識するなら本当はYOみたいに全部のジャンルをできるようになった方がいいと思うんですけど、フリースタイルフットボールは自由にやりたい人間も多いのでなかなかここまで幅広く突き詰めて力を付けられている人はいないと思います。
エアームーブに関しても最初に会った時は本当にできなかったのに、少ししてから見せてもらったら2段飛ばしくらいで高い技をマスターしていて、すごい才能を感じたのを覚えています。
ibuki:自分の場合はまず前の世界大会で感じた課題から練習に着手して、それ以降は自分なりのスタイルを突き詰めることをやっていました。
フリースタイラーの中でも自分はちょっとクセのあるタイプで、やること全部が独自のシステムで成り立っているところがあるので特殊な分、色々と練習のやり方や方向性は考えてきました。
でも大会に向けてとなると、そこにしっかりと照準を当てた準備はある程度しかやったことがありませんでした。だから今回は今までにないくらい大会に向けてパフォーマンスをまとめることにチャレンジしています。
普段は練習では可能性を広げるようなことをして、大会の1ヶ月前からはそこから必要なものだけを残すために取捨選択して、無駄を削ぎ落としていきました。 その作業をするにあたって、メモを書き留めたり、動画に撮影して見返したりもしました。
今回の世界大会だと30秒のパフォーマンスが3ターンあるのでそれを実際にやってみて、その間の自分の体やボールの動き、バトルとしてどうだったかなどを確認します。加えて観ていた人たちがいいものだと思ってくれるかどうかまで考えました。ただ勝つだけじゃなくてさらにその先にある魅力を観客に見せられるパフォーマンスをしたいからですね。
ibuki
Kazane:自分は何も考えずにパフォーマンスをするというのを最初からずっとやってきたタイプです。大人になるにつれて、そのうち考えも変化するかなと思っていたんですけど、結局本当に変わらなくて、ただただ楽しいことを続けてきた感じですね。
中にはアドバイスしてくれる人もいるんですけど、根本にある好きな音楽を聴いて、楽しく蹴りたいという気持ちは変わりません。実際それである程度大会でも結果が出てるんです。も
ちろん自分の場合、まだ正式に日本一とか世界一になっているわけじゃないのであまり偉そうなことは言えないんですけど、自分の中ではこのスタイルが一番楽しいので続けています。
-Superballに挑む上で、世界一との差をどの辺りに感じていますか?
Kazane:シンプルに技の数やミスの多さですかね。大会での評価基準というのはそこになりますから。誰が見ても分かるような難易度の高い技を習得し、そういうものをさらに鬼のように尖らせて、パフォーマンスに盛り込んでくる人たちはやはり大会でも常時上位に食い込んできます。
僕らがもしその技を持っていたらここぞの場面で使いたいと思うものを、いとも簡単に連発してくるんです。
YO: 難しい技をミスらずにいつでも出せるというのは強いですね。
Kazane:あとはメンタル面の違いもあります。やっぱりフリースタイルフットボールを楽しみつつ、集中できていれば結果も付いてくるのかなと思います。
ibuki:一方で最近の大会はよりスキルにフォーカスして評価される時代になってきているとも思います。
Kazane:日本は今までそこまでスキルに重きを置いていなくて、どちらかというと自由に楽しむ方に寄っていたので、大会でのバトルとなると世界の方がまだ強い印象です。 ちなみに意外なところでいくとフリースタイルフットボールはポーランドが強いんですよ。
ibuki:もちろんブラジルとかも強いんですけどポーランドは全体的に上手い人がたくさんいます。世界一になっているポーランド人も多いです。
-誰もやったことない技をやった方が点数も高くなるのでしょうか。
Kazane: 必ずしもそういうわけではないです。例えばこの世にインサイドでのリフティングが存在しなかったとするじゃないですか。それを初めてやったとしても単純に新しいだけで技の難易度としては簡単すぎて、評価されないということになります。
ibuki:新しい技が出てきたとしてもそれがどのくらい難しいものなのかというのは割とすぐ分かります。アイディアだけなのか、時間を費やして生み出したものなのか。世界大会で戦っているプレイヤーぐらいのレベルになれば見破れます。自分なんかはどのジャンルにも属さないようなことをやったりするので、そこの壁に結構直面するプレースタイルかもしれませんね。
Kazane:大会での評価基準としてはまず技の難易度が重視されて、その上での目新しさなのかなと思います。
-その人の代名詞となるようなオリジナルの技をやる人もいるんですか。
Kazane:他の人がやったらダメでしょと言われちゃうくらいその人の代名詞になっている技はありますよ。一方で誰かが開発した技でもみんなが使っているものもあるので、そこの線引きは難しいところではあるんですけど。暗黙の了解です。 例えばちょっと変わっているibukiのスタイルを参考にしてやろうとする人もいるんですけど、見ている側としては微妙ですよね。
ibuki:僕自身はダメとまでは言わないですけどね。
YO:バトル相手が明らかに自分のスタイルをパクっている場合にはそれはBITE(バイト)と呼ばれ、評価としてはよくない印象を与えることになります。
Kazane:逆にこの3人の仲ぐらいになるとあえてバトル中に相手の技やスタイルを遊び心で入れたりすることはありますよ。
ibuki:一通り自分のパフォーマンスを出し切った後に最後の3秒ぐらいで相手の技を入れてみて、できたらめっちゃガッツポーズしてやりますよ(笑)逆に失敗するとちょっと苦笑いして終わるみたいな。
【続く】
前編:http://king-gear.com/articles/899
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