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河合純一氏(日本パラリンピック委員会委員長)が語る、東京五輪・パラリンピック延期がパラリンピアンに及ぼす影響 Vol.1

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、今夏に行われる予定だった東京オリンピック・パラリンピックの1年延期が決まった。 緊急事態宣言の解除によって、練習すらも満足に出来ない状況が続いたスポーツ界も、徐々に再開の兆しが見られる。 今回は、日本パラリンピック委員会(以下JPC)で、委員長を務められている河合純一氏に、パラリンピック延期に伴う影響や、現状についてお伺いした。

Icon     白鳥 純一 | 2020/06/17
河合純一さんプロフィール 

現役時代は、競泳男子の視覚障害クラスで活躍。パラリンピック6大会に出場し、金メダル5個を含む計21個のメダルを獲得した。2012年引退。現在は、
日本パラリンピック委員会(以下JPC)委員長のほか、日本身体障がい者水泳連盟の会長を務められている。

――東京オリンピック・パラリンピックが延期されることになりました。2020年もまもなく半分を迎える時期ですが、これまでを振り返っていかがでしょうか? 

河合:今年の初めには、8月に行われる開会式に向けて、きちんと準備を進めていこうという気持ちでしたので、まさかこのようなウイルスの世界的な流行という形で延期になるとは、まったく想像出来ませんでしたね。 

新型コロナウイルスの世界的な流行による大会延期が決まった後は、改めて計画見直しを進めながら、選手や競技団体の状況を把握しています。

 ――3月〜5月にかけて行われる予定だった、予選会のスケジュールが軒並み延期になっていますが? 

河合:いま、各競技団体が調整を進めている段階です。今後、決まり次第各組織が詳細を発表していくと思います。

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――五輪・パラリンピックの延期や、新型コロナウイルス感染症による経済の停滞により、一部には、選手や競技の支援打ち止めなど、競技のサポート体制にも影響が出てきているというニュースも耳にしました。現状はいかがでしょうか?
 

河合:延期による影響には個人差がありますし、一律に論じることは難しい問題だと思っています。

私たちJ P Cが、それぞれの団体や選手に寄り添いながら、東京大会はもちろん、北京で行われる冬季大会やパリ大会も見据え、今後も選手に寄り添ったサポートに取り組んでいきたいと思っています。
 

――平昌オリンピック・パラリンピックが行われた2年前に、河合さんは継続的な仕組み作りの重要性について言及されていらっしゃいました。現在の育成システムについて、どのように感じられていますか?

 河合:国として取り組んでいる「ジャパンライジングスタープロジェクト」によって、将来活躍する可能性を秘めたタレントの発掘が進められています。

 新しい世代の選手たちが育ちつつある状況にあると思いますが、まだこのような取り組みを初めてから間もないですし、今後も、検証を重ねながらプロジェクトを進めていく必要があるかなと感じています。

ジャパンライジングスタープロジェクトホームページ

――東京大会での金メダル獲得目標を20個に設定されました。目標に向けた課題はありますか?新型コロナウイルスの影響で、練習不足の選手もいらっしゃるようですが、目標達成に影響を及ぼすことはありますか? 

河合:新型コロナウイルスの影響による練習不足は、日本だけではなく、世界共通の問題ですので、これによって目標を変えたりする必要は無いと思います。 

4年前のリオ大会での金メダルは0個。たしかに、(20個の金メダル獲得は)高い目標ではありますが、十分到達可能な数字だと思っています。選手の皆さんが最高のパフォーマンスを発揮できるように、注力していくことが大切ですね。
 

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選手時代の河合さん

――アスリート経験者では初の
JPC委員長に就任されました。運営に深く関わる立場になって、感じられたものなどはございますか?
 

河合:もちろん、たいへん大きな責任を背負っているという重圧を感じながら、業務に取り組んでいます。 

一方で、2012年に選手を引退する前から、選手と日本障がい者水泳連盟の理事を両立していた時期もありましたし、私の場合は、全体を俯瞰して見る視点を早い時期から持ち併せていたような気がしますね。

 2000年のシドニー大会では、日本代表選手団の主将に就任させていただきまして、この時に、常に選手目線でありながらも、全体を見ながら発言し、実際に行動するということを学びました。

当時よりも重い立場になりましたが、今後もこれまでと同じように、日本のためになること、選手にとって良い方向に進むための発言をしていこうと思っています。

――かつての河合さんのように、運営側の視点を持つ現役選手の育成が今も進められていらっしゃるのでしょうか? 

河合:そうですね。私自身も日本パラリンピアンズ協会で育ちましたし、JPCアスリート委員会を立ち上げて、経験を後進に伝える取り組みも行っています。今後も課題を共有しながら、継続的に進めていく予定です。 

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――河合さんは、パラリンピックを終えた後の日本社会に期待すること、将来の展望などはありますか?
 

河合:一言で言うと、「ダイバーシティ&インクルージョン」という趣旨になりますが、働く、生活をするうえで、皆さんが幸せを感じられる社会というのが理想ですよね。 

パラリンピックを多くの人が見る、もしくは何らかの形で関わることによって、正しい理解が広がっていってほしいと感じています。

【取材協力・写真提供】  日本パラリンピック委員会