フットサル日本代表、諸江剣語を密着取材Vol.1 ~フィジカルトレーニング編~ 「全てはワールドカップの舞台に立つために」
約束の時間より少しだけ早く、その男は現れた。そして、一人一人と丁寧に挨拶を交わしたあと、これからトレーニングを行うパーソナルトレーニングジム「studio bravo」に我々を案内した。 プーマのウェアで全身を包んでいるが、その男の後ろ姿の張りだした臀部やふくらはぎを見れば、ただの若者ではないことは容易に想像がつく。 Fリーグ、フウガドールすみだのキャプテン、諸江剣語。フットサルの日本代表にも名を連ねるアスリートだ。
瀬川 泰祐(せがわたいすけ)
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2017/05/29
高校サッカーの名門、静岡学園高校で鍛え上げられたテクニックと戦術眼を武器に、攻撃的なフィクソとして、攻守に渡ってチームを牽引してきた諸江は、昨シーズン、全日本選手権での準優勝をはじめ、前年を上回るチーム成績を収めた。
だが、諸江は昨シーズンを振り返りながら、自分自身の課題を冷静に見つめていた。身長168cmの諸江が、屈強な外国人選手やフィジカルコンタクトに優れた代表クラスの選手を上回るためには、自分のフィジカルをもう一段階上げないとならないという。
「昨年1年間は、ケガをしない身体づくりをしたり、左右のバランスを整えたりと、自分のフィジカルのベース作りをした年でした。それまで毎年、何かしらケガをしていたんですが、昨年は大きなケガをすることなくシーズンを終えることが出来たので、少しづつ成果は出ていると思います。
そして、今年の4月からは、いままで以上にフットサルに専念するために、生活環境をガラリと変えたんです。主に午前中に時間が作れるようになったので、フィジカルトレーニングを週2回に増やしたり、前日のリカバリーやコンディショニングに時間を使ったりして、競技中心の生活を送ることができるようになりました。これは、僕にとってはすごく大きいことですね。」
そう語る諸江の目は光り輝いていた。大きな目標に向けて、重要な一歩を踏み出した感覚があるのだろう。
諸江は、3月に行われた全日本選手権終了後、オフ期間を利用して、故郷の石川県に帰省し、幼き時代を過ごしたサッカーチームに顔を出したり、休日を家族と過ごしたりして、心身をリフレッシュさせている。
周りへの感謝の気持ちを忘れない諸江らしいオフの過ごし方で、新シーズンへ向けてパワーを充電した。
そして、束の間の休息を終えた諸江は、再び東京に戻り、新たな自分に出会うため、夢を実現するために、すべてをフットサル中心の生活に変えたのだ。
全ては、 2020年のフットサルワールドカップで日の丸をつけて世界と戦う という夢のために。
しばらくして、トレーニングウェアを身にまとい更衣室から出てきた諸江は、アスリートの表情に切り変わっていた。
写真:トレーナーと二人三脚でのトレーニングが始まると、一瞬でアスリートの表情に切り変わった
担当トレーナーと軽く挨拶を交わしたあと、すぐにマットに横たわり、トレーナーと二人三脚での共同作業が始まった。トレーナーは、あらゆる部位にストレッチを施しながら諸江の身体の状態をチェックする。
ストレッチが終わり、最初に始めたトレーニングメニューは、骨盤周りの強化だった。「腰方形筋(ようほうけいきん)」をはじめとする骨盤周りの筋肉を強化することで、急激なストップや発進、ターンの時に身体のブレを少なく安定させることに取り組んでいた。
その後も、姿勢や身体の使い方について、トレーナーと丁寧に確認しながら、トレーニングが行われていく。幾つかのメニューを終え、うっすらと汗をかいた諸江は、水を飲みながらこう言った。
「ここのトレーニングは、ほんとにキツイです。でも、自分のためですから。僕はもともと下半身はそれなりに大きかったのですが、ここに通うようになってから、さらに一回り大きくなりました。いまから、自分の課題である上半身をやります。」
そう言って諸江が次に取り組んだのは、ベンチプレスだった。
写真:懸命にベンチプレスに取り組む諸江剣語
この日、トレーナーが諸江に伝えた目標数字は前回を上回るのものだった。苦笑いする諸江を見ながら、トレーナーはほくそ笑んでいた。
今日の諸江の状態を見て、どこに目標を設定すべきかを把握している様子だ。 徐々に重りが足されていき、前回上がらなかった重さになる。
「今日は、前回と違って感覚がいい」という諸江は、ひと呼吸をおいてから、「よしっ、自信つけよう!」と自分にハッパをかけると、全身を使って、一気に昨日までの自分を超えていった。
目標重量をクリアしてベンチプレスを終えた諸江は、少しだけ表情を緩めながら、「いきましたね。なんか、身体の使い方が少しわかってきた気がします。初めての感覚ですね。」
満足そうにそう言うと、トレーナーが答えた。
「身体の使い方がうまい人は、すぐに自己ベストを更新していけますよ。トレーニング中、身体のどの部位を使えば力を伝えられるか、どこに体重がかかっているか、といったことを意識していくだけで、身体の使い方が変わっていきます。普段からそれを意識することで、プレー中の身体の使い方も自然と変わってくると思います。」
その後も、トレーナーの鋭い視線を受けながら、諸江は課されたメニューを一つづつクリアしていく。回数を重ねるごとに、重量が増すごとに、苦悶の表情を浮かべながら。
そして一通りのメニューをやり終えると、大きな声を張り上げたのち、諸江の顔が徐々に充実した表情に変わっていった。
写真:声をあげてバーベルスクワットを行う諸江剣語。
こうして、密度の濃いフィジカルトレーニングは、満たされた空気の中で終了した。
2017/18シーズンのFリーグでは、心身ともにひとまわり成長した諸江剣語のプレーがみられるのではないか。期待は膨らむばかりだ。
vol.2に続く http://king-gear.com/articles/356
諸江剣語選手が履くプーマのシューズ情報は
こちらのバナーから
諸江剣語選手が所属するフウガドールすみだの情報ははこちらのバナーから
諸江剣語選手の公式サイトは
こちら http://kengo.kataru.jp/
パーソナルトレーニングスタジオ「studio bravo」の情報は
こちら http://studio-bravo.jp/
取材・文・写真:瀬川泰祐
だが、諸江は昨シーズンを振り返りながら、自分自身の課題を冷静に見つめていた。身長168cmの諸江が、屈強な外国人選手やフィジカルコンタクトに優れた代表クラスの選手を上回るためには、自分のフィジカルをもう一段階上げないとならないという。
「昨年1年間は、ケガをしない身体づくりをしたり、左右のバランスを整えたりと、自分のフィジカルのベース作りをした年でした。それまで毎年、何かしらケガをしていたんですが、昨年は大きなケガをすることなくシーズンを終えることが出来たので、少しづつ成果は出ていると思います。
そして、今年の4月からは、いままで以上にフットサルに専念するために、生活環境をガラリと変えたんです。主に午前中に時間が作れるようになったので、フィジカルトレーニングを週2回に増やしたり、前日のリカバリーやコンディショニングに時間を使ったりして、競技中心の生活を送ることができるようになりました。これは、僕にとってはすごく大きいことですね。」
そう語る諸江の目は光り輝いていた。大きな目標に向けて、重要な一歩を踏み出した感覚があるのだろう。
諸江は、3月に行われた全日本選手権終了後、オフ期間を利用して、故郷の石川県に帰省し、幼き時代を過ごしたサッカーチームに顔を出したり、休日を家族と過ごしたりして、心身をリフレッシュさせている。
周りへの感謝の気持ちを忘れない諸江らしいオフの過ごし方で、新シーズンへ向けてパワーを充電した。
そして、束の間の休息を終えた諸江は、再び東京に戻り、新たな自分に出会うため、夢を実現するために、すべてをフットサル中心の生活に変えたのだ。
全ては、 2020年のフットサルワールドカップで日の丸をつけて世界と戦う という夢のために。
しばらくして、トレーニングウェアを身にまとい更衣室から出てきた諸江は、アスリートの表情に切り変わっていた。
写真:トレーナーと二人三脚でのトレーニングが始まると、一瞬でアスリートの表情に切り変わった
担当トレーナーと軽く挨拶を交わしたあと、すぐにマットに横たわり、トレーナーと二人三脚での共同作業が始まった。トレーナーは、あらゆる部位にストレッチを施しながら諸江の身体の状態をチェックする。
ストレッチが終わり、最初に始めたトレーニングメニューは、骨盤周りの強化だった。「腰方形筋(ようほうけいきん)」をはじめとする骨盤周りの筋肉を強化することで、急激なストップや発進、ターンの時に身体のブレを少なく安定させることに取り組んでいた。
その後も、姿勢や身体の使い方について、トレーナーと丁寧に確認しながら、トレーニングが行われていく。幾つかのメニューを終え、うっすらと汗をかいた諸江は、水を飲みながらこう言った。
「ここのトレーニングは、ほんとにキツイです。でも、自分のためですから。僕はもともと下半身はそれなりに大きかったのですが、ここに通うようになってから、さらに一回り大きくなりました。いまから、自分の課題である上半身をやります。」
そう言って諸江が次に取り組んだのは、ベンチプレスだった。
写真:懸命にベンチプレスに取り組む諸江剣語
この日、トレーナーが諸江に伝えた目標数字は前回を上回るのものだった。苦笑いする諸江を見ながら、トレーナーはほくそ笑んでいた。
今日の諸江の状態を見て、どこに目標を設定すべきかを把握している様子だ。 徐々に重りが足されていき、前回上がらなかった重さになる。
「今日は、前回と違って感覚がいい」という諸江は、ひと呼吸をおいてから、「よしっ、自信つけよう!」と自分にハッパをかけると、全身を使って、一気に昨日までの自分を超えていった。
目標重量をクリアしてベンチプレスを終えた諸江は、少しだけ表情を緩めながら、「いきましたね。なんか、身体の使い方が少しわかってきた気がします。初めての感覚ですね。」
満足そうにそう言うと、トレーナーが答えた。
「身体の使い方がうまい人は、すぐに自己ベストを更新していけますよ。トレーニング中、身体のどの部位を使えば力を伝えられるか、どこに体重がかかっているか、といったことを意識していくだけで、身体の使い方が変わっていきます。普段からそれを意識することで、プレー中の身体の使い方も自然と変わってくると思います。」
その後も、トレーナーの鋭い視線を受けながら、諸江は課されたメニューを一つづつクリアしていく。回数を重ねるごとに、重量が増すごとに、苦悶の表情を浮かべながら。
そして一通りのメニューをやり終えると、大きな声を張り上げたのち、諸江の顔が徐々に充実した表情に変わっていった。
写真:声をあげてバーベルスクワットを行う諸江剣語。
こうして、密度の濃いフィジカルトレーニングは、満たされた空気の中で終了した。
2017/18シーズンのFリーグでは、心身ともにひとまわり成長した諸江剣語のプレーがみられるのではないか。期待は膨らむばかりだ。
vol.2に続く http://king-gear.com/articles/356
諸江剣語選手が履くプーマのシューズ情報は
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こちら http://kengo.kataru.jp/
パーソナルトレーニングスタジオ「studio bravo」の情報は
こちら http://studio-bravo.jp/
取材・文・写真:瀬川泰祐