いざリベンジの舞台へ。昨年末の雪辱を果たせるか?遠藤哲哉が王者・田中将斗に挑戦【6/7 WRESTLE PETER PAN 2020 DAY2】
昨年末、DDT最強を決める戦い「D王GP」が行われ、その優勝決定戦でZERO1の田中将斗に敗れた遠藤哲哉。その後、田中はHARASHIMAに勝利しKO-D無差別級王座を獲得。2月MAO、3月竹下幸之介、5月坂口征夫、青木真也を撃破し、現在、4連続防衛中。他団体に流出したKO-D無差別級のベルトを取り戻すべく、田中の前に立ちはだかるのは、半年前、スライディングDの前に散った遠藤哲哉。果たして、DDTにベルトを取り戻すことができるのか。 「D王GP」からKO-D無差別級に挑戦するまでの半年間を、遠藤が振り返る。
大楽聡詞
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2020/06/01
―いよいよ、6月7日に、田中将斗選手(ZERO1)が持つKO-D無差別級に挑戦します。まずは、半年前に行われた「D王GP・優勝決定戦」で、初めて田中選手とシングルで肌を合わせた時の印象を教えてください。
遠藤:やっぱり田中さんの代表的な技である「スライディングD」を初めて食らったとき、視界が真っ白になると言うか…。
意識が飛ぶではないんですけど、自分が今どういう状況なのか分からなくなりました。 とにかく衝撃が大きかったですね。「ヒジ」は、人体の中でも固い部分なので、自分が想像していた以上の衝撃でした。
―あの時に遠藤選手は、田中選手に対して「絶対的なフィニッシュホールドがあり、そのスライディングDに気をつければいいので、対策はしやすい」とおっしゃっていました。
遠藤:技を食らう前は、そう思っていたんですけど…。田中選手が、どういう状況でも「スライディングD」を出せることが分からなかったんですよ。
田中選手はどんなポジションからでも、あの技を出せるし、相手が立っていても座っていても、やりようによっては狙える技でした。だから「当たらなきゃ良い」というものでもないと、優勝決定戦のあと思いましたね。
―遠藤選手のファンは、「田中選手に勝って、王者HARASHIMA選手からタイトルを獲得してくれる」というストーリーを描いていたと思うのですが、敗退。遠藤選手が「ドン底」に落ちたように感じました。
遠藤:田中選手には、そう簡単に勝てるとは思っていなかったですし、あの時点では自分の全てをぶつけました。それでも歯が立たなかった。どん底と言うより、ベルトから遠のいたと思いましたね。
―その遠藤選手に勝利した田中選手が、今年1月26日に行われた後楽園大会で、HARASHIMA選手に勝ち、KO-D無差別級のベルトを戴冠しました。その戦いをご覧になっていかがでしたか。
遠藤:あの2人がD王GPで戦った時は、時間切れ引き分け。リーグ戦の試合を会場で見ていて、田中選手の方が一枚上手だと感じました。だから後楽園でのタイトルマッチは、田中選手がベルトを獲るべくして獲ったと思いました。
―2.23後楽園のイリミネーションマッチで、KO-Dに挑戦できる「挑戦剣」が、カリスマ佐々木選手から彰人選手に移動し、最終的に遠藤選手が「挑戦剣」を手にしました。
昨年4月のニューヨークで、竹下選手に勝利した佐々木選手に「いつどこ挑戦権」を使用し、遠藤選手がKO-D無差別級王者になりました。佐々木選手の手にしたものは、最終的には遠藤選手が手にするのかと…過去を思い出しました(笑)。
遠藤:あれ自身は僕が狙った訳でもなく、あくまで偶然ですよ(笑)。たまたま彰人選手が、カリスマから獲った「挑戦権」を、僕が「たまたま」獲っただけです。
「カリスマから僕が獲った」という感じになっていますが、それはないです。2人の関係はギクシャクしていないので、ファンの方は安心してください(笑)。
―2月後楽園で田中選手は、MAO選手の挑戦を受けました。田中選手曰く、「MAO選手の変なプロレス」で、これまでの田中選手の戦いとは違ったものになりましたが、その戦いを観て、いかがでしたか。
遠藤:やろうと思えば、もっとMAOの試合に引き込めると思うんですよ。田中選手はMAOに付き合いながらも、試合自体は田中選手が支配していたと感じました。
―「6:4」もしくは、「7:3」くらいで田中ワールドが展開されていたと?
遠藤:そうですね…少なくともMAOの世界ではなかったと思いますね。 ただ、観る人によって印象が変わってくると思います。田中選手はMAOのような選手と試合をすることがないので、その印象が強く残っているのかもしれませんね。
―3月の後楽園では、T-Hawk選手と組み、イラプションと6人タッグ戦でした。
遠藤:初めて島谷がT-Hawkさんと組んだ時ですね。結果は負けましたけど、違和感なく戦えました。島谷も頑張っていましたね。
―この試合の後、ロイス・チェンバース選手が「いつどこ挑戦権」を使い、遠藤選手の「挑戦剣」に挑んできました。
遠藤:長引かせるほど自分に不利なのが分かっていたので、なるべく短く決めてやろうと思っていましたね。だから、戦いながら頭をフル回転させました。 「ロイスの技を多少受けることはあっても、致命傷になる技だけは貰わないように」と思っていました。
かつ、「自分の技を適切にタイミング良く出していこう」と考えていました。あの試合は、本当に頭を使いましたね。 ロイスとは、改めてお互い体力マックスの状態で戦いたいですね。
―その時のメインが、竹下選手と田中選手のKO-D無差別級王座戦でした。
遠藤:あの時、僕は解説席から見ていました。竹下はセンスもあるし、努力もしているし、世間に届くプロレスラーだと思うんですよ。ただ、田中選手と戦った竹下幸之介は、プロレスファンの目をしていた。 MAOとは逆に、田中選手のプロレスに付き合ってしまったというか…。
プロレスファンが悪いことではないんですけど、竹下が勝てなかった理由は、そこにあると思います。「勝ち負けではなく、田中将斗とのタイトルマッチが竹下のゴールになっていた」という感じですね。
―「5.2 DDT TV SHOW#1」で、樋口和貞選手と「挑戦剣争奪戦」を行い、敗れてしまいましたね。
遠藤:樋口とはシングルで2度目の戦いでした。前回は2年くらい前に対戦し、僕が勝利しています。昨年、樋口が怪我をして、そのときカラダを絞り、体重を落とした。
身体を絞っている僕がいうと説得力がないんですけど(笑)。「身体を絞った樋口は、魅力がなくなった」と思っていました。正直、レスラーとして、これ以上はないかと…。
でも緊急事態宣言による自粛期間を経て、樋口は体重を戻してきたんですよ。映像を見ると分かると思うんですけど、デカくなっているんです(笑)。
―確かに、遠藤選手がいうように、自粛前より上半身がガッチリしていますね。
遠藤:そうなんですよ。欠場中の減量は、樋口にとって通過点でしかなかったんだと思いました。あまり言いたくはないですけど、樋口を見なおしたというか、いろいろと考えているんだな、と思いました。
―この5月2日の試合は、遠藤選手が樋口選手に「力で挑んだ」印象を受けました。
遠藤:欠場明けの体を絞った樋口にだったら、パワーで勝てると思い挑んだんですけど、モノの見事に返り討ちにあいました(笑)
―ということは樋口選手が、自分の持ち味であるパワーを主体にしたスタイルに戻しつつあるということですか?
遠藤:自覚はあるでしょうね。欠場前の体に納得していなかったと思います。欠場中に体を一回絞って、今がある。今の体も完成形ではないと思いますが、進化の途中だと見ています。
―その樋口選手の試合では、シューティングスタープレスをかわされて後頭部にラリアットを受けましたね。かなりの衝撃でしたが、大丈夫でしたか?
遠藤:映像を見るまでシューティングスタープレスをかわされた後、なにを受けたか分からなかったんですよ。後ろからの攻撃が見えなかったので「なんかやられたな」としか思いませんでした。
その前にラリアットで打ち勝ったことが、樋口のフラストレーションを溜めてしまったんでしょうね(笑)
―その結果、後頭部へのラリアットに繋がったんですね。その樋口選手の同門イラプションの坂口選手が、翌週5月9日に田中選手に挑戦しました。この試合はご覧になりましたか?
遠藤:映像で観ました。映像でも2人の戦いは伝わってきましたが、会場で観るのとでは、また違うと感じましたね。会場で観た方が2人の殺伐とした空気感が、よりリアルに伝わると思います。
―そして、5月16日の DDT TV SHOW#3で、DAMNATION vs ALL OUT!が激突し、サソリ固めを切り返し「いつどこ挑戦権」を、またしても彰人選手から奪取しましたね。
遠藤:彰人選手の弱点は、僕の中では全て分かっているので取ってやりました(笑)。2,3年前のトーナメントでも、4の字固めを切り返して丸め込みで勝っているんですよ。
―試合後に、いきなり「いつどこ挑戦権」を使い、樋口選手を呼び出しました。試合を終えたばかりなので、翌週挑戦した方が、体力の消耗も少なく、有利かと思いましたが?
遠藤:やっぱり自粛期間中に溜まったフラストレーションを、すぐに発散したいと思い、試合後に使いました。
タッグマッチ自体、丸め込みで勝利しましたが、自分としては大技で勝ちたいという気持ちが強く「消化不良」気味だったので、すぐに「いつどこ挑戦権」を使いました。
―この試合、樋口選手も「挑戦剣」を取られたくないという気持ちが見えて、とても見応えのある戦いでした。樋口選手が容赦無く、試合で痛めた遠藤選手の腰を攻めていましたね。
遠藤:その前の試合で腰を攻められていたのを「樋口も良く観てるな」と思いましたよ(笑)
―遠藤選手も、エプロンでブレーンバスターを切り返したり、樋口選手の首を攻めましたね。
遠藤:僕自身、相手の首を落とす技は少ないんですよ。どちらかというと体重が軽い分、落とされる方が多いんですね。でも、勝負所で残酷にならないと、前回のようにやられてしまうので…。
試合後に「いつどこ挑戦権」を使った分、絶対に負けるわけにはいかなかったですね。
―最後はシューティングスタープレスで決めましたね。
遠藤:久しぶりにシューティングスタープレスで勝ちました。あの会場は天井が低いので、シューティングスターを出す時、天井が気になるんですよ。 ただ、5月2日の樋口戦の時に、シューティングスターを出して天井に当たらなかったので、今回は気にせずに飛べました。
―そして5月23日。半年ぶりに、田中将斗選手の前に立ってみて、いかがでしたか?
遠藤:自粛期間もあり、自分の中で発散できないものもあったので、半年がより長く感じましたね。あとは懐かしさですかね(笑)
―試合は、高尾選手が田中選手に敗れました。試合後、青木真也選手が「いつどこ挑戦権」を使い、田中将斗選手に挑戦しました。あの試合を、どうご覧になりましたか。
遠藤:グラウンドのテクニックは、もちろん青木選手の方が上ではあると思うんですけど、田中選手は、どこからでも出せる「スライディングD」があるので…。密着していれば、青木選手が勝つ可能性があったと思うんですけど、一瞬離れた時に「スライディングD」が決まり、結果的に田中選手が勝ちましたね。
―遠藤選手が仰るとおり、フィニッシュは「どこからでもいける」スライディングDでしたね。
遠藤:あれこそが、「スライディングD」の真骨頂なんですよ。
―そして、いよいよ6.7田中将斗選手と半年ぶりのシングル対決になります。今の心境を教えていただけますか?
遠藤:今は、恐怖心ではないんですけど、ソワソワした気持ちがありますね。
―半年前に取材させていただいた時は「緊張感がなく、落ち着いている」と仰ってました。やはり1度戦っているからでしょうか?
遠藤:この気持ちが余裕から来るものなのか、焦りから来るものなのか分からないですけど、ただ1日も早く田中将斗選手と試合がしたいです。
「KO-D無差別級のベルト」に対してのこだわりは、他の選手に比べると、僕は薄いのかしれないけど、ただやっぱり「欲しい」という気持ちはあるんですよ。そして、ベルトを獲る相手は重要な存在なんです。
もし今回ベルトを獲得したら「田中将斗から獲ったベルト」と一生言い続けられる。後世に伝え続けてやろう、と思っています(笑)。
―最後に、ファンの方々にメッセージをお願いします。
遠藤:レッスルピーターパン2020、田中将斗とのKO-D無差別級タイトルマッチは会場では観られませんが、人類最強に近づく為に、“田中将斗”からKO-D無差別級のベルトを獲ります。
<インフォメーション>
王者・田中将斗選手(ZERO1)に挑戦する遠藤哲哉選手の試合が行われる「WRESTLE PETER PAN 2020【DAY2】」は、 動画配信サービス「WRESTLE UNIVERSE」と「ABEMA」で、6月7日(日)19:00より放送されます。
詳しくは、DDTプロレスリング公式サイトをご覧ください。
遠藤哲哉Twitter