HARASHIMA、里歩と組んでKO-D6人タッグ王座に挑むアントーニオ本多。異色トリオでEruptionからベルト奪取を目論む!【7.23東京・後楽園ホール】
ユーモア溢れるスタイルで観客を沸かせるアントーニオ本多選手。6.27新宿FACEのリング上、バチバチした闘いを好むEruptionメンバーの持つKO-D6人タッグ王座へ挑戦を表明した。パートナーとして招き入れたのは、海外のAEWで活躍する里歩選手と、戦うことはあっても同じチームになったことがないHARASHIMA選手だった。異色トリオで挑むKO-D6人タッグ戦。試合を間近に控えたアントーニオ本多選手に話を聞いた。
大楽聡詞
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2020/07/20
――本多選手は、元々大学時代に学生プロレスをしていたそうですが、どのような経緯でプロレスを始めたのですか。
本多:武蔵野美術大学の入学式が終わってポツンと1人でいる時、学生プロレスの人たちに声をかけられました。
彼らは部員を獲得するため、いきなり「プロレスをやりませんか?」とは言わないんです。「プロレス研究会ですけど、プロレスは好きですか?」と近づいてきます。
――ハードルを低くして寄ってくるんですね。
本多:そうです(笑)。「○○プロレスのチケットがあるので一緒に観戦しませんか?」的なことを話してきて、こちらが興味を示すと「ちょっとプロレスの練習もするんですけど…」とソフトな感じで勧誘してきます。
声をかけてくれたのが面白い人たちだったので、とりあえず入部届に名前を記入しました。もちろんプロレスを始める気は、全然なかったんです。
授業が始まり学生生活も刺激がなかったので、ある日電話をかけて「プロレス研究会」に行きました。すると集合場所が体育館。
なんとプロレスをしていました。最初は見学だけでしたが、練習も参加するようになっていきました。自分は小さい頃から柔道の経験があり、受け身がうまかったみたいです。
もともと「映画を作りたい」という目的があって大学に入ったのでプロレスをやるつもりは本当になかったです。ただ映画を作る才能がない、ということに気付き始めました(笑)。
学生プロレスの大会が、入部してすぐ6月にありました。1ヶ月くらい練習してリングに立ち、その時「すごいものに出会った」と実感しました。
昔から「演者として人前で何かをすることが楽しい」と思っていましたが、リング上で闘うのは、これまで経験したことがないくらいインパクトがすごかった。
大学生活でプロレス以上に楽しいことに出会えなかったですね。それで結果的に続けることになりました。
何個か映像作品も作りましたが、その才能はないな、と実感しました。プロレスは4年間続けました。大学時代の映像作品も全てプロレス関係のものばかりでした(笑)。
――その後、すぐにDDTに参加したのですか?
本多:いいえ、大学を卒業しても学生プロレス(=学プロ)以上に楽しいものがなかったので「学生プロレスOB」として活動していました。
在学中はアントニオ猪木さんをモチーフに「アントニオ本多」として、OBになってからは矢沢永吉さんをモチーフに「A.YAZAWA」として。
ある時、日本大学OBの趙雲子龍から連絡があり試合をしたいと言われました。当時OB同士のシングルマッチがあり、その試合をDDTのマッスル坂井さんが観戦、スカウトされました。
――大学卒業後、プロレスラーになりたいという気持ちはありましたか。
本多:自分みたいなものがプロレスラーにはなれない、と思っていました。学プロは楽しくてOBとして続けていましたが、プロレスとは違うと考えていましたね。
――でも坂井選手から声をかけられてDDTの「マッスル」で、プロレスラーとしてリングに上がることになったんですよね?
本多:マッスルは、学プロも含めた「どインディー」を集めたプロレスだったので、自分がやってきた学プロと、そんなに違いは感じませんでした。
――マッスルは実験的なプロレスでしたよね?
本多:初期のマッスルは演劇的な要素がありました。自分は演劇の経験があるのでセリフを言うことは出来ました。ただ気持ち的な部分で学プロの延長で出場したので「プロレスデビュー」とは感じませんでしたね。
――その後、DDTに参戦しますが、どのあたりで「プロレスラー」として目覚めましたか?
本多:当時、ディック東郷選手がDDTに所属していて練習を教えてくれました。それに参加してからです。
学プロ時代は、見よう見まねで技を練習していましたが、初めてキチンとしたプロレスの技術を教わってプロレスラーとしての感覚が芽生えました。
――東郷選手の指導は厳しかったですか?
本多:全然厳しくないです。人間は一人一人違った個性があるので、型にはめるのではなく、「その選手が持っているものを伸ばす」と言うコンセプトで指導してくれました。
とても発想が自由な方ですね。あと面白いことが大好きなんですよ。自分がマッスルに出場している姿を観て、東郷さんがマネージャーに抜擢してくれました。
だから最初、私はDDTにレスラーとしてではなく東郷さんのマネージャーとして参加したんです。
――ところで本多選手の、こだわりの「GEAR(道具)」があれば教えて下さい
本多:私の場合、コスチュームのワンショルダーですね。
――それは学生プロレス時代からでしょうか?
本多:DDTに入って、少し経ってからですね。理由の一つは「太ってきた」というのと、ワンショルダーのコスチュームを愛用しているアメリカ・メンフィス出身のジェリーローラーを好きになったという理由です。
ジェリーローラーは過小評価されているレスラーで、私は結構好きなんです。WWE時代のジェリーローラーを知っている人も少ないんです。
80年代後半に来日し藤波辰爾さんらと戦っていますが、私はメンフィスで闘っていた70年代のジェリーローラーが好きです。
今はYouTubeとかで観れますが、当時は海賊版のDVDを海外のサイトで購入し観ていました(笑)。
――これまで行った中で、印象に残っている試合を教えてください。
本多:昨年5月に彰人選手と戦ったDDT EXTREME級王座戦ですね。EXTREMEは試合ルールを王者が決めることができて、その時のルールは「YogiYogiデスマッチ」でした。
説明しても伝わるかどうか分からないんですけど、リング上に瞑想状態の2人のヨギがいる中で試合を行います。
ヨギは瞑想の邪魔をされると襲いかかってくる…伝わってないですよね。WRESTLE UNIVERSE(動画配信サイト)で確認してください(笑)。
――個人的に本多選手の「ごんぎつね(※)」が好きなんです。
※徹夜で考えてきた昔話を披露し相手があっけに取られている隙に攻撃を行う。
本多:ごんぎつねは長いですね。5~6年やっています。自分でも、「よくやってるな」と思っています(笑)。
――先日も7.23後楽園ホールでKO-D6人タッグ戦を行うEruptionの坂口選手が笑うのを堪えていましたが…
本多:坂口さんの弱点は、そこなんですよ。人は笑うと全身の力が抜けてしまうんです。
今回のパートナー里歩ちゃんとHARASHIMAさんがいるので、私が坂口さんを崩すことができればEruptionを倒すことができると思っています。 坂口さんの最大の敵は、私の可能性があるんです!
――今回、挑戦者チームのリーダーは本多選手ですよね?
本多:えっ!リーダーとかないです。
――てっきりリーダーだと思っていました。今ベルトを獲得したばかりで勢いのあるEruptionに、本多選手がHARASHIMA選手と里歩選手という最高のパートナー2人とベルトに挑む。これはベルト奪取の可能性が高いと思うのですが。
本多:急に出てきた、その場限りのタッグチームに思われがちですが、結構2人とは繋がりは深いんですよ。
私と里歩ちゃんは長い間、タッグを組んだり闘ったりしていました。勝手知ったる盟友なんです。
その里歩ちゃんはHARASHIMAさんを尊敬し、彼の技「蒼魔刀」を使ってトップレスラーになりました。 我々3人は見えないところで強固な繋がりを持っています。
――最後にKO-D6人タッグ王座挑戦の意気込みをお聞かせください。
本多:Eruptionの方がタッグチームとして長く活動していますが、今回パートナーを組むHARASHIMAさんとはDDT EXTREME級王座を戦った過去もあり、戦いを通じてお互いを高め合った関係だと思っています。
それは里歩ちゃんも同じです。レスラーとして戦いを通じてレスラー同士の強い繋がりを持っていた時間は圧倒的に長い。
タッグチームとして座りが良いと思っています。まだ一回も戦っていませんが、家族的な感じがしています(笑)。
――本多選手とHARASHIMA選手が同じコーナーに立っている姿は、あまり観たことがないですね。
本多:そうなんです。同じチームになったこともないです。ただこれまでのキャリアの中で濃い関係を作り上げてきました。
――ということは、ベルトを獲得する可能性も高いということですか?
本多:そうなっちゃいますね(笑)。
<インフォメーション>
アントーニオ本多選手がHARASHIMA選手・里歩選手と組んで、Eruptionが挑戦するKO-D6人タッグ選手権は7.23後楽園ホールで行われます。チケットは完売。
動画配信サービスWRESTLE UNIVERSEで、生配信が18:30より行われます。
詳しくは、DDTプロレスリング公式サイトをご覧ください。
アントーニオ本多Twitter
本多:武蔵野美術大学の入学式が終わってポツンと1人でいる時、学生プロレスの人たちに声をかけられました。
彼らは部員を獲得するため、いきなり「プロレスをやりませんか?」とは言わないんです。「プロレス研究会ですけど、プロレスは好きですか?」と近づいてきます。
――ハードルを低くして寄ってくるんですね。
本多:そうです(笑)。「○○プロレスのチケットがあるので一緒に観戦しませんか?」的なことを話してきて、こちらが興味を示すと「ちょっとプロレスの練習もするんですけど…」とソフトな感じで勧誘してきます。
声をかけてくれたのが面白い人たちだったので、とりあえず入部届に名前を記入しました。もちろんプロレスを始める気は、全然なかったんです。
授業が始まり学生生活も刺激がなかったので、ある日電話をかけて「プロレス研究会」に行きました。すると集合場所が体育館。
なんとプロレスをしていました。最初は見学だけでしたが、練習も参加するようになっていきました。自分は小さい頃から柔道の経験があり、受け身がうまかったみたいです。
もともと「映画を作りたい」という目的があって大学に入ったのでプロレスをやるつもりは本当になかったです。ただ映画を作る才能がない、ということに気付き始めました(笑)。
学生プロレスの大会が、入部してすぐ6月にありました。1ヶ月くらい練習してリングに立ち、その時「すごいものに出会った」と実感しました。
昔から「演者として人前で何かをすることが楽しい」と思っていましたが、リング上で闘うのは、これまで経験したことがないくらいインパクトがすごかった。
大学生活でプロレス以上に楽しいことに出会えなかったですね。それで結果的に続けることになりました。
何個か映像作品も作りましたが、その才能はないな、と実感しました。プロレスは4年間続けました。大学時代の映像作品も全てプロレス関係のものばかりでした(笑)。
――その後、すぐにDDTに参加したのですか?
本多:いいえ、大学を卒業しても学生プロレス(=学プロ)以上に楽しいものがなかったので「学生プロレスOB」として活動していました。
在学中はアントニオ猪木さんをモチーフに「アントニオ本多」として、OBになってからは矢沢永吉さんをモチーフに「A.YAZAWA」として。
ある時、日本大学OBの趙雲子龍から連絡があり試合をしたいと言われました。当時OB同士のシングルマッチがあり、その試合をDDTのマッスル坂井さんが観戦、スカウトされました。
――大学卒業後、プロレスラーになりたいという気持ちはありましたか。
本多:自分みたいなものがプロレスラーにはなれない、と思っていました。学プロは楽しくてOBとして続けていましたが、プロレスとは違うと考えていましたね。
――でも坂井選手から声をかけられてDDTの「マッスル」で、プロレスラーとしてリングに上がることになったんですよね?
本多:マッスルは、学プロも含めた「どインディー」を集めたプロレスだったので、自分がやってきた学プロと、そんなに違いは感じませんでした。
――マッスルは実験的なプロレスでしたよね?
本多:初期のマッスルは演劇的な要素がありました。自分は演劇の経験があるのでセリフを言うことは出来ました。ただ気持ち的な部分で学プロの延長で出場したので「プロレスデビュー」とは感じませんでしたね。
――その後、DDTに参戦しますが、どのあたりで「プロレスラー」として目覚めましたか?
本多:当時、ディック東郷選手がDDTに所属していて練習を教えてくれました。それに参加してからです。
学プロ時代は、見よう見まねで技を練習していましたが、初めてキチンとしたプロレスの技術を教わってプロレスラーとしての感覚が芽生えました。
――東郷選手の指導は厳しかったですか?
本多:全然厳しくないです。人間は一人一人違った個性があるので、型にはめるのではなく、「その選手が持っているものを伸ばす」と言うコンセプトで指導してくれました。
とても発想が自由な方ですね。あと面白いことが大好きなんですよ。自分がマッスルに出場している姿を観て、東郷さんがマネージャーに抜擢してくれました。
だから最初、私はDDTにレスラーとしてではなく東郷さんのマネージャーとして参加したんです。
――ところで本多選手の、こだわりの「GEAR(道具)」があれば教えて下さい
本多:私の場合、コスチュームのワンショルダーですね。
――それは学生プロレス時代からでしょうか?
本多:DDTに入って、少し経ってからですね。理由の一つは「太ってきた」というのと、ワンショルダーのコスチュームを愛用しているアメリカ・メンフィス出身のジェリーローラーを好きになったという理由です。
ジェリーローラーは過小評価されているレスラーで、私は結構好きなんです。WWE時代のジェリーローラーを知っている人も少ないんです。
80年代後半に来日し藤波辰爾さんらと戦っていますが、私はメンフィスで闘っていた70年代のジェリーローラーが好きです。
今はYouTubeとかで観れますが、当時は海賊版のDVDを海外のサイトで購入し観ていました(笑)。
――これまで行った中で、印象に残っている試合を教えてください。
本多:昨年5月に彰人選手と戦ったDDT EXTREME級王座戦ですね。EXTREMEは試合ルールを王者が決めることができて、その時のルールは「YogiYogiデスマッチ」でした。
説明しても伝わるかどうか分からないんですけど、リング上に瞑想状態の2人のヨギがいる中で試合を行います。
ヨギは瞑想の邪魔をされると襲いかかってくる…伝わってないですよね。WRESTLE UNIVERSE(動画配信サイト)で確認してください(笑)。
――個人的に本多選手の「ごんぎつね(※)」が好きなんです。
※徹夜で考えてきた昔話を披露し相手があっけに取られている隙に攻撃を行う。
本多:ごんぎつねは長いですね。5~6年やっています。自分でも、「よくやってるな」と思っています(笑)。
――先日も7.23後楽園ホールでKO-D6人タッグ戦を行うEruptionの坂口選手が笑うのを堪えていましたが…
本多:坂口さんの弱点は、そこなんですよ。人は笑うと全身の力が抜けてしまうんです。
今回のパートナー里歩ちゃんとHARASHIMAさんがいるので、私が坂口さんを崩すことができればEruptionを倒すことができると思っています。 坂口さんの最大の敵は、私の可能性があるんです!
――今回、挑戦者チームのリーダーは本多選手ですよね?
本多:えっ!リーダーとかないです。
――てっきりリーダーだと思っていました。今ベルトを獲得したばかりで勢いのあるEruptionに、本多選手がHARASHIMA選手と里歩選手という最高のパートナー2人とベルトに挑む。これはベルト奪取の可能性が高いと思うのですが。
本多:急に出てきた、その場限りのタッグチームに思われがちですが、結構2人とは繋がりは深いんですよ。
私と里歩ちゃんは長い間、タッグを組んだり闘ったりしていました。勝手知ったる盟友なんです。
その里歩ちゃんはHARASHIMAさんを尊敬し、彼の技「蒼魔刀」を使ってトップレスラーになりました。 我々3人は見えないところで強固な繋がりを持っています。
――最後にKO-D6人タッグ王座挑戦の意気込みをお聞かせください。
本多:Eruptionの方がタッグチームとして長く活動していますが、今回パートナーを組むHARASHIMAさんとはDDT EXTREME級王座を戦った過去もあり、戦いを通じてお互いを高め合った関係だと思っています。
それは里歩ちゃんも同じです。レスラーとして戦いを通じてレスラー同士の強い繋がりを持っていた時間は圧倒的に長い。
タッグチームとして座りが良いと思っています。まだ一回も戦っていませんが、家族的な感じがしています(笑)。
――本多選手とHARASHIMA選手が同じコーナーに立っている姿は、あまり観たことがないですね。
本多:そうなんです。同じチームになったこともないです。ただこれまでのキャリアの中で濃い関係を作り上げてきました。
――ということは、ベルトを獲得する可能性も高いということですか?
本多:そうなっちゃいますね(笑)。
<インフォメーション>
アントーニオ本多選手がHARASHIMA選手・里歩選手と組んで、Eruptionが挑戦するKO-D6人タッグ選手権は7.23後楽園ホールで行われます。チケットは完売。
動画配信サービスWRESTLE UNIVERSEで、生配信が18:30より行われます。
詳しくは、DDTプロレスリング公式サイトをご覧ください。
アントーニオ本多Twitter
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