カトリエの「マイ・ファースト・スパイク」 第4回 エドゥアルド ネット(川崎)vol..2 「お小遣いをためて買った、憧れのロナウド着用モデル」
「あなたが初めて履いたスパイクはなんですか?」をキーワードに、外国籍選手のルーツを探る「マイ・ファースト・スパイク」。川崎フロンターレのボランチとして活躍中のエドゥアルド ネット選手。インタビュアーは女優の加藤理恵さんです。
鈴木 智之
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2016/11/22
加藤:子供の頃、欲しかったスパイクはありましたか?
ネット:子供の時は、あまり物欲はありませんでした。サッカーができれば、裸足でもよかったわけですから(笑)
加藤:ネット選手が初めてスパイクを履いた頃、周りの友達はどんなモデルを履いていましたか?
ネット:裸足の子もいましたし、有名なところでいうと「TOPPER」(トッパー)ですね。セレソン(ブラジル代表)の選手が履いていたナイキのモデルは、すごく値段が高いので、履いている人はいませんでした。トッププレイヤーが着用しているモデルを履きたいと思ったこともありますが、高くて買えなかったんです。15歳の頃にお金をためて、ようやく買えました。
加藤:なんというモデルでしたか?
ネット:ナイキの黒いマーキュリアルです。フェノメノ(ポルトガル語で怪物の意味。ロナウドの愛称)が履いていたモデルだったと思います。
加藤:どうやってお金をためたのですか?
ネット:お小遣いを使わずに貯金したり、母親から「洋服を買ってきなさい」と渡されたお金で、安い服を買ってお釣りを残したり。「おやつを買いなさい」といってもらったお金を使わず、友達のおやつを食べたりしてためました(笑)
加藤:ブラジルは税金が高いので、日本でスパイクを買うと、ブラジルの半額ぐらいの値段ですよね。
ネット:そうかもしれません。ブラジルはものを買うときに、税金がすごく高いんです。病院や教育機関に関しても、環境が整っていないにもかかわらず、多くのお金を払わなければいけません。
加藤:ブラジルでは良い靴を履いていると、強盗に狙われると聞いたことがあります。本当ですか?
ネット:場所によっては、バイオレンスなところもあります(苦笑)。ブラジル人はそれをわかっているから、みんなサンダルで歩いています。外は暑いし、サンダルで十分なんですよ。
加藤:ブラジルでは、よく電線に靴がかかっていますよね?
ネット:そうですね。ボロボロになった靴を頭上に投げて、電線に引っ掛けて遊ぶんです。友達がボロボロの靴を履いていたら、電線に向かって「お母さんに新しいのを買ってもらえよって」投げるんです(笑)。リオではかなり多いです。
加藤:ネット選手は映画「シティオブゴッド」が好きだと聞いたことがあります。私もそのシリーズ「シティオブメン」(注・ブラジルの人気ドラマ)が大好きなのですが、あのドラマに、靴のエピソードが何度か出てきましたよね?
ネット:そうですね。貧しい場所が舞台のドラマだったので、そういうエピソードを入れているのかもしれませんね。
加藤:その感覚って、どういうものなのかなと思って。日本では、ドラマのエピソードで靴が取りあげられることって、ほとんどないんです。
ネット:おそらく、ブラジルにあるファベーラ(貧民街)を舞台にしたドラマなので、「シンプルなことがすばらしい」ということを現したいのだと思います。貧しい生活の中で、何を幸せだと考えるか。それをドラマの中で表現したのかもしれませんね。
加藤:ネット選手は小さい頃からサッカースクールに通っていたり、スパイクを買ってもらえたりと、貧しい暮らしではなかったわけですよね?
ネット:そうですね。靴は履けていました。
加藤:友達の中には、靴が欲しくても買えない人はいましたか?
ネット:いましたね。そういう子には、自分のお古やサイズが合わなくなった靴をあげていました。
加藤:そうなんですね。ブラジル人と日本人の間に、靴に対する憧れの違いを感じたことはありますか?
ネット:日本は、子供の頃から将来のことをしっかりと考えて、そのためにいま何をすべきかを考える文化です。でもブラジルには貧しくて、その日を乗り切ることで精一杯の人が多く、そこまで将来のことを考えることができません。だから、自然とサッカー選手にしても、あまりスパイクにこだわりがないというか、履かせてもらえるのであれば、どの靴でもいいという感覚になっているのだと思います。
加藤:そういうものなんですね。もし、ブラジルの子供に「欲しいものを3つ挙げて」と言うと、靴を挙げる子も多い?
ネット:多いと思います。服か靴かスパイクか。おもちゃと言う子もいるかもしれないですけど、まずは選ぶのは洋服や靴など、身につけるものだと思います。(Vol.3に続く)
<プロフィール>
エドゥアルド ネット 1988年10月24日生まれ。ブラジル・バイーア州出身。ブラジルのECバイーア、ボタフォゴ、SCブラガ、ECヴィトーリア、ABC FC、アヴァイFC、ウクライナのSCタフリヤ シンフェロポリでプレーした後、2016年より川崎フロンターレに加入。タイミングの良いボール奪取から、的確なパスで攻撃のリズムを作るボランチ。
加藤理恵(俳優・キャスター)東京都出身。日系ブラジル人の母を持ち、サッカーとJリーグをこよなく愛する。俳優として様々な映画、ドラマ、CMに出演。「totoONE」ではレギュラー予想家として登場(http://www.totoone.jp)。公式ブログ http://ameblo.jp/kato-rie/ Twitter @vi729
ネット:子供の時は、あまり物欲はありませんでした。サッカーができれば、裸足でもよかったわけですから(笑)
加藤:ネット選手が初めてスパイクを履いた頃、周りの友達はどんなモデルを履いていましたか?
ネット:裸足の子もいましたし、有名なところでいうと「TOPPER」(トッパー)ですね。セレソン(ブラジル代表)の選手が履いていたナイキのモデルは、すごく値段が高いので、履いている人はいませんでした。トッププレイヤーが着用しているモデルを履きたいと思ったこともありますが、高くて買えなかったんです。15歳の頃にお金をためて、ようやく買えました。
加藤:なんというモデルでしたか?
ネット:ナイキの黒いマーキュリアルです。フェノメノ(ポルトガル語で怪物の意味。ロナウドの愛称)が履いていたモデルだったと思います。
加藤:どうやってお金をためたのですか?
ネット:お小遣いを使わずに貯金したり、母親から「洋服を買ってきなさい」と渡されたお金で、安い服を買ってお釣りを残したり。「おやつを買いなさい」といってもらったお金を使わず、友達のおやつを食べたりしてためました(笑)
加藤:ブラジルは税金が高いので、日本でスパイクを買うと、ブラジルの半額ぐらいの値段ですよね。
ネット:そうかもしれません。ブラジルはものを買うときに、税金がすごく高いんです。病院や教育機関に関しても、環境が整っていないにもかかわらず、多くのお金を払わなければいけません。
加藤:ブラジルでは良い靴を履いていると、強盗に狙われると聞いたことがあります。本当ですか?
ネット:場所によっては、バイオレンスなところもあります(苦笑)。ブラジル人はそれをわかっているから、みんなサンダルで歩いています。外は暑いし、サンダルで十分なんですよ。
加藤:ブラジルでは、よく電線に靴がかかっていますよね?
ネット:そうですね。ボロボロになった靴を頭上に投げて、電線に引っ掛けて遊ぶんです。友達がボロボロの靴を履いていたら、電線に向かって「お母さんに新しいのを買ってもらえよって」投げるんです(笑)。リオではかなり多いです。
加藤:ネット選手は映画「シティオブゴッド」が好きだと聞いたことがあります。私もそのシリーズ「シティオブメン」(注・ブラジルの人気ドラマ)が大好きなのですが、あのドラマに、靴のエピソードが何度か出てきましたよね?
ネット:そうですね。貧しい場所が舞台のドラマだったので、そういうエピソードを入れているのかもしれませんね。
加藤:その感覚って、どういうものなのかなと思って。日本では、ドラマのエピソードで靴が取りあげられることって、ほとんどないんです。
ネット:おそらく、ブラジルにあるファベーラ(貧民街)を舞台にしたドラマなので、「シンプルなことがすばらしい」ということを現したいのだと思います。貧しい生活の中で、何を幸せだと考えるか。それをドラマの中で表現したのかもしれませんね。
加藤:ネット選手は小さい頃からサッカースクールに通っていたり、スパイクを買ってもらえたりと、貧しい暮らしではなかったわけですよね?
ネット:そうですね。靴は履けていました。
加藤:友達の中には、靴が欲しくても買えない人はいましたか?
ネット:いましたね。そういう子には、自分のお古やサイズが合わなくなった靴をあげていました。
加藤:そうなんですね。ブラジル人と日本人の間に、靴に対する憧れの違いを感じたことはありますか?
ネット:日本は、子供の頃から将来のことをしっかりと考えて、そのためにいま何をすべきかを考える文化です。でもブラジルには貧しくて、その日を乗り切ることで精一杯の人が多く、そこまで将来のことを考えることができません。だから、自然とサッカー選手にしても、あまりスパイクにこだわりがないというか、履かせてもらえるのであれば、どの靴でもいいという感覚になっているのだと思います。
加藤:そういうものなんですね。もし、ブラジルの子供に「欲しいものを3つ挙げて」と言うと、靴を挙げる子も多い?
ネット:多いと思います。服か靴かスパイクか。おもちゃと言う子もいるかもしれないですけど、まずは選ぶのは洋服や靴など、身につけるものだと思います。(Vol.3に続く)
<プロフィール>
エドゥアルド ネット 1988年10月24日生まれ。ブラジル・バイーア州出身。ブラジルのECバイーア、ボタフォゴ、SCブラガ、ECヴィトーリア、ABC FC、アヴァイFC、ウクライナのSCタフリヤ シンフェロポリでプレーした後、2016年より川崎フロンターレに加入。タイミングの良いボール奪取から、的確なパスで攻撃のリズムを作るボランチ。
加藤理恵(俳優・キャスター)東京都出身。日系ブラジル人の母を持ち、サッカーとJリーグをこよなく愛する。俳優として様々な映画、ドラマ、CMに出演。「totoONE」ではレギュラー予想家として登場(http://www.totoone.jp)。公式ブログ http://ameblo.jp/kato-rie/ Twitter @vi729