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【選手ヒストリー】走力と強肩を活かし2度の“盗塁王”を獲得ー金子侑司(埼玉西武ライオンズ)活躍の軌跡/2024年プロ野球引退選手

金子侑司外野手は立命館宇治高、立命館大を経て、2012年のドラフト3位で埼玉西武ライオンズに入団し、持ち前の俊足を活かし、球団史上4人目の50盗塁以上を記録。盗塁王のタイトルも獲得など活躍を見せた。※イラスト/これ松えむ

Icon kinggear icon KING GEAR編集部 | 2024/11/30

京都府京都市右京区出身の金子侑司は、幼少期から水泳やラグビー、サッカーといったさまざまな競技に取り組み、徒競走に関しては小学校6年生の時に100m走で市大会の4位に入るほどの実力を持っている。

類まれな運動神経を持ち、スポーツ漬けの日々を過ごしていた金子は小学校5年生の時に友人の誘いをきっかけに野球を始め、さまざまなスポーツに触れながら野球の実力も高めていった。京都市立西院中学校入学後には硬式野球チームの京都嵐山ボーイズに所属。バレーボールとの兼部で打撃は両打ちというオールマイティーさを見せつけた。

高校では俊足と強肩を武器に遊撃手や外野手として存在感を示し、チームに貢献

金子の圧倒的な走力と強肩が計8度の甲子園進出に貢献したことのある卯瀧逸夫氏の目に留まったことを契機に、立命館宇治高校に進学。遊撃手や外野手として存在感を示していくこととなる。

金子と立命館宇治高校の縁を作った卯瀧逸夫氏が、2007年に監督に就任した高校2年の春に遊撃手のレギュラーポジションを掴んだ金子は、以後チームの主軸として活躍。持ち前の走力や強肩もさることながら、高校3年間に20本塁打放ち、打撃でもチームに貢献した。

しかし2007年夏の府大会では順調に3回戦まで勝ち進んだものの、京都すばると対戦した4回戦では、金子をはじめとする内野陣のミスが重なって3対6で敗戦。秋の大会では準々決勝進出を果たしたものの、後にセンバツでベスト8入りを果たす平安(現、龍谷大平安)高校との試合では、微妙な判定の影響もあり7対8で敗れて涙を飲んだ。

金子にとって高校生最後の夏となる2008年は、準決勝で因縁深い龍谷大平安高校と対戦。金子は7回の第4打席でランニング本塁打を放ち5対4で雪辱を果たし、立命館宇治は26年ぶりに決勝に駒を進めたが、決勝は福知山成美の前に8対2で敗れて甲子園進出はならなかった。

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イラスト/これ松えむ

大学では関西リーグ優勝に貢献、ベストナインにも選出される

立命館大学に進学後も、持ち前の俊足を武器に1年生の春にリーグ戦初出場を果たすと、秋には先発メンバーとしても名を連ね、関西リーグ優勝に貢献した。

そして1番遊撃手のレギュラーを掴んだ2年生の春には、打率.320の好成績でベストナインにも選出。3年次には大学日本代表入りを果たすなど、大学野球屈指の内野手として評価を高めていった。最終学年で迎えた2012年は、春夏とも打率は2割台前半(春:打率.217/秋:打率.220)低迷したが、春にはリーグ優勝を成し遂げて全日本選手権出場を決めたが、龍谷大に1対4で敗れて2回戦敗退に終わった。

西武ライオンズに入団後は持ち前の俊足を活かしながら2度の盗塁王を獲得

2012年のドラフト会議で3位指名を受け、埼玉西武ライオンズに入団した金子は、ルーキーながらも開幕戦の7番右翼手でスタメン出場を果たすと、94試合に出場し、打率.223/2本塁打/23打点/12盗塁を記録。打撃面での課題を露呈し、度重なる2軍落ちも経験したが、フレッシュオールスターゲームへの出場や9月の千葉ロッテ戦でサヨナラヒットを記録するなど、存在感を示した1年となった。

2年目の2014年も9番遊撃手として開幕戦のレギュラーを勝ち取った金子だが、左打ちに専念した影響などもあり、シーズン途中まで打率が1割台に低迷したが、最終的には打率.247/2本塁打/16打点チーム最多の21盗塁を記録し、自慢の俊足をアピールした。

2015年は不振により57試合の出場にとどまったが、7月に右翼手の定位置を掴んだ金子は、この年に57盗塁を記録。球団史上4人目の50盗塁以上を記録し、盗塁王のタイトルも獲得。打率.265、1本塁打、33打点、53盗塁の成績で、初の規定打席にも到達した。その後も持ち前の俊足で盗塁を量産しつつも、不振の長引くシーズンを過ごしていた金子だが、西武がリーグ優勝を決めた2019年には主に下位打線を任されて、左翼手として自己最多の133試合に出場を果たすと、41盗塁をマークして2度目の盗塁王を獲得した。

打撃不振に苦しみ引退を決意

コロナ禍の影響で6月の開幕となった2020年は、背番号7番に変更し、前年オフにMLBに移籍した秋山翔吾(現、広島)に代わるリードオフマンとしての活躍が期待されたが、打撃不振により良い定着には至らず。

中堅手へのコンバートにも苦戦し、シーズン中盤までは打率1割台の不振に苦しんだ。2021年以降は若林楽人(現、巨人)、岸潤一郎らの若手選手が先発で起用される機会が増え、時折存在感を示すものの、徐々に出場試合数を減らしていくことに。現役最終年の2024年も、開幕戦こそ3年ぶりに1番・中堅手の先発ポジションを掴んだものの、出場はわずか32試合にとどまり引退を決断。12年間の現役生活に幕を下ろした。


プロフィール

名前:金子侑司(かねこ・ゆうじ)
生年月日:1990年4月24日
出身:京都府
ポジション:外野手/内野手
投打:右投両打
身長/体重:179cm/76kg
ドラフト:2012年ドラフト3位

通算成績

1020試合:打率.241/729安打/21本 223打点/225盗塁

獲得タイトル

盗塁王(2016年/2019年)