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【J1第7節】激闘が予想されたFC東京と川崎フロンターレの“多摩川クラシコ” 歴史ある45回目の戦いを制したのは?

2025年3月29日、味の素スタジアムでFC東京vs川崎フロンターレが行われた。両チームにとって新指揮官の下で初めて戦う“多摩川クラシコ”。過去の成績では川崎Fが圧倒する、この歴史ある対決。戦前から激闘が予想されたが、はたしてどんな結果となったのだろうか。※トップ画像出典/Pixabay

Icon kinggear icon KING GEAR編集部 | 2025/04/15

過去44試合では川崎Fが強さを見せる“多摩川クラシコ”

“多摩川クラシコ”の過去44試合の戦績は、FC東京が11勝、川崎Fが24勝、引き分け9となっている。伝統の戦いといわれるものの、成績を比べればどちらが優位かは明らかだ。

45回目となる今戦で、わずかでもFC東京が差を縮められるのか。これまで3戦連続ノーゴール中のFC東京は、松橋力蔵監督の下、最近の試合では鮮やかな崩しも見られただけに、この一戦を機に勢いをつけていきたいところ。対する川崎は、直近10戦9勝とライバルを圧倒中。長谷部茂利監督を迎え、J1最少タイの3失点と守備が安定している。

エース山田には珍しい失敗で前半はスコアレスの展開

ファーストシュートは試合開始6分。スルーパスを受け、ドリブルで進入したFC東京MF俵積田晃太が、ペナルティーエリア手前からシュートを放つも、飛び出してきた川崎GK山口瑠伊が顔面でセーブ。その後、主導権を握ったのは川崎だ。14分、左サイドからMF大島僚太がスルーパス。抜け出したFW山田新が、ペナルティーエリア左から決定的なシュートを放つも、ゴール右に外れてしまう。エース山田にしては、珍しい失敗だ。27分には、川崎が左サイドでFKを獲得。キッカーのDF三浦颯太が、左足でボールを放る。これに反応したDF高井幸大が、ペナルティーエリア中央からヘディングでゴールを狙うが、GK野澤大志ブランドンがセーブ。解説者は「三浦はいい球を放り込んでいる」と評価した。それに応えられなかった高井は、残念そうにグラウンドを叩く。直後にもDF三浦のCKにDF高井がヘディングを叩きつけるが、審判がDFのファウルを取る判定で決定的機会を逃した。前半はスコアレスで終了した。

均衡破ったのは川崎。エース山田と途中出場・伊藤もJ1初得点で続く

後半開始早々、FC東京はペナルティーエリア手前でFKを獲得。キッカーのMF安斎颯馬が右足でシュートを放つが、わずかにゴールを外れてしまう。均衡を破ったのは川崎だ。右サイドからFW家長昭博が放つスルーパスが、ペナルティーエリア内のMF脇坂泰斗につながる。そのボールを受けたFW山田が、ターンでマークを外し、右足でゴールへ流し込む鮮やかなフィニッシュ。FW山田は“多摩川クラシコ”3戦連発と結果を残した。「山田らしい、エースらしいゴール」と解説者も称賛。ラストパスをつなげたMF脇坂のキープ力も光った。勢いに乗った川崎が畳みかける。後半途中出場のFW伊藤達哉がすぐに結果を出した。72分、右サイドからDF佐々木旭がロングクロスをゴール前に上げると、相手DFにクリアされファーサイドへ。流れたボールに詰めていたFW伊藤が逆足でシュートを叩き込み追加点。FW伊藤はJ1リーグ初ゴールとなった。

川崎・脇坂がパスをプレゼント、決めたエリソンは「靴磨きパフォーマンス」

さらに川崎は82分過ぎ、自陣からチャージしボールを奪ったMF脇坂が、中央をドリブルで抜け出す。追いすがる相手DF陣を引き付けてから、途中出場のFWエリソンへ横パスを供給。ブラジルのサンパウロFC出身のストライカーが冷静にネットを揺らし、3点目を叩き出した。FWエリソンは片膝をつきMF脇坂の片足を載せると「靴磨き」のパフォーマンス。このゴールは「プレゼントのようなパス」と実況陣が評するほど、川崎の前線コンビネーションの完成度を示すものだった。ストライカー山田の先制点に始まり、FW伊藤の追加点、FWエリソンのダメ押し弾が重なった。終わってみれば、川崎が3-0でFC東京に完勝。FC東京のホーム・味の素スタジアムに響き渡るブーイングが試合の結末を象徴するなか、川崎がアウェーで圧倒的な攻撃力を発揮した形だ。過去の対戦で24勝を記録する川崎の優位性は、この一戦でさらに拡大。ストライカー層の厚みと中盤の制圧力が、今季の優勝争いの重要な一戦として浮かび上がる結果となるかもしれない。


明治安田J1リーグハイライト【PICK UP MATCH】FC東京 vs 川崎F : 第7節(2025年3月29日配信)より
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