
『勇気と信念が世界を変える』挑戦し続ける高橋藍の原動力
イタリア・セリエAで3シーズンを過ごし、今シーズン、日本で新たに発足したSVリーグに電撃参戦したバレーボール選手・高橋藍。国際大会での躍進と並行して、彼は自己のスタイルを模索し続けてきた。挑戦の舞台は変われど、一貫していたのは“自分を信じること”へのこだわりだった。※トップ画像提供/ NTTドコモ Sports Graphic Number

海外挑戦と“ポジション変更”がもたらした気づき
高校時代に全国制覇を経験し、大学進学後すぐに日本代表入りを果たした高橋は、さらなる成長を求めてイタリア・セリエAに挑戦。世界トップレベルのリーグで、自身のプレースタイルを模索する日々が始まった。
当初はスパイカーとしてプレーしたものの、結果が出せず、途中から守備専門のリベロへの転向を打診された。「もちろん複雑でした。自分はスパイカーとして来ていたので。でも“何か経験して帰ろう”と思って、『やります』って言いました」と高橋は振り返る。
リベロとして出場する中で実感したのは、プレー技術以上に“自己肯定感”の大切さだった。高橋は、「海外だとアジア人が少し下に見られる感覚はある。でも、自分を強く持っていないと海外では戦えない。そういう意味でも、自分という選手に自信を持つことが大事だと気づかされました」と語っている。2年目にはアウトサイドヒッターとしてレギュラーを掴み、チーム2位の300得点をマーク。前年の評価を覆した。
結果を残すことで“信頼される選手”へ
代表戦でも結果を重ね、ネーションズリーグでは銀メダルを獲得。翌年のパリオリンピック出場権も掴んだ。セリエAでの3年目はモンツァへ移籍。当初は3番手としての契約だったが、代表での活躍をきっかけにプレーの評価が一変。レギュラーに定着し、チームを準優勝に導いた。「特にモンツァの場合は、最初は出られないかもしれないと思っていました。でも代表で結果を出したことで、監督の見方が変わった。そこから試合で結果を出せるようになった」と高橋は語る。
ファイナルで得た経験は「勝ち方、メンタルの持ち方を含めて、すべて代表で活かせる」と話し、国内復帰後もさらなる成長へとつなげている。現在はSVリーグのサントリーサンバーズでプレーしながら、「日本のリーグのレベルを証明したい」と意欲を見せる。
「失敗はない」―挑戦し続ける姿勢が支えに
高橋は「勇気と信念が世界を変える」というドラマの言葉を座右の銘としている。イタリア挑戦の際も、「失敗はない」と自らを鼓舞しながら新たな環境に飛び込んだ。「やれることはすべてやろう。常にチャンスをつかみにいく姿勢でいたい」と語るように、今後も国内外を問わず挑戦を続ける覚悟だ。本人は「まだ“挫折”というものには出会っていない」と話す。
「でも、自信が失われた瞬間こそが本当の挫折だと思っている。そのときに強い自分でいられるように、常に新しい自分を求めている」と語った言葉は、未来に向けての明確なビジョンを示していた。日本のエースとして、そしてバレーボール界の未来を背負う存在として―高橋藍の挑戦は、まだ続いていく。
『NumberTV』 挫折地点~あのとき前を向いた理由~
タイトル:#17 髙橋藍
配信日:2024年9月26日(木)0:00~ 全24回配信(月2回配信予定)
内容: トップアスリートの「挫折」と「復活」をテーマにしたドキュメンタリー番組。過去の写真が飾られた特別な空間(Number Room)で、アスリート本人がこれまでの人生を振り返り、挫折の瞬間や前を向けた理由について語る。
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