【イベントレポート】A.L.E14#05 岩政大樹が語る、『常勝軍団の組織論』
5月29日(月)、恵比寿アクトスクエアにて、A.L.E.14#05が行われた。 今回のプレゼンターは、元サッカー日本代表の岩政大樹選手。鹿島アントラーズで活躍し、Jリーグべストイレブンやサッカー日本代表にも選出されたトップアスリートでありながら、数学の教員免許を持つ異色の経歴の持ち主だ。
瀬川 泰祐(せがわたいすけ)
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2017/06/05
現在は東京ユナイテッドFCで選手兼コーチを務め、また独特の視点と表現力を駆使してテレビやWEBメディアなどに活躍の場を広げている。
そんな彼が、いま、何を語ってくれるのか。
満席となった会場には、女子サッカーの永里優季選手や、昨季までFリーグ・バルドラール浦安のトップチーム監督を務めた米川正夫氏らが訪れ、他の競技からも高い注目が集まっていることをうかがわせた。
そして、多くの人々の視線が、身長187cmの大男に注がれるなか、プレゼンテーションはスタートする。
今回のテーマは、「勝てるチームと勝てないチームはどこが違うのか?」と「“読み”は一流の条件か?」の2つ。
その中でも、本記事では、1stセッションで行われた「勝てるチームと勝てないチームはどこが違うのか?」というテーマのプレゼンについて、レポートする。
■「自分たちのサッカー」をすることは正しいのか?
1stセッションのテーマである、「勝てるチームと勝てないチームはどこが違うのか?」。
組織を語るうえでよく通るオーソドックスなテーマのひとつだが、日本のサッカーチームを例にして組織論が語られる機会は、決して多くない。
サッカーの世界では、「自分たちのサッカー」という言葉をよく聞く。チームにはそれぞれ得意なスタイルがあり、その得意なスタイルを、いつしか「自分たちのサッカー」と捉えるようになる。
得意なスタイルで勝っているときはまったく問題ない。
だが問題なのは、チームが勝てなくなった時だ。その時、多くのチームは、「自分たちのサッカーを貫くことが大切だ」と言って、スタイルにこだわる傾向があるという。
シーズン開幕前、どのチームも勝つためにチーム作りをする。他チームを上回るために選手を補強し、戦術を構築する。このときは確かに相手チームが明確に存在している。
だが、シーズンが開幕し、勝ったり負けたりしながらシーズンが進むにつれ、「自分たちのサッカー」をすることが目的だと考えるようになってしまうのだ。 だが、鹿島アントラーズは違うという。
■鹿島アントラーズが行っていた、たったひとつのこと。
岩政大樹さんは、鹿島アントラーズの過去の実績をデータで見せた。
その数字をみれば、鹿島アントラーズが「常勝軍団」と言われる理由がよくわかる。
鹿島アントラーズが獲得した三大タイトルの優勝回数は19回にのぼり、2位ガンバ大阪の8回を大きく引き離している。
なぜ鹿島アントラーズは勝つことができるのか?
鹿島アントラーズが行っていたことは意外にも、単純なことだった。 「ダメなら変える」 たったこれだけだ。
自分たちの得意なスタイルは持っているが、それが相手に通じなかったら、スタイルなんて変えてしまえばいいと割り切って考えることができる柔軟さがあるのだ。
なぜなら、目的はチームが勝つことであり、自分たちの得意なスタイルがあるとすれば、それは勝つための手段でしかないからだ。
つまり、常に勝てるチームとは、選択肢があるということだ。得意なスタイルを捨て、別のスタイルを選択し相手を上回ればいいと考えることができるチームは強い。
サッカーというスポーツの目的が勝つこととするならば、目的のためにスタイルを選択できるチームと、いつしかスタイルを貫くことが目的になってしまったチームとの差は歴然だろう。
常勝軍団、鹿島アントラーズの強さの秘密、それは、「勝つこと」からブレない精神にあったのだ。
目的と手段をはき違えないことの重要性を、データとともに示した岩政大樹選手。現象からその原因を導き出していく手法は、まさに数学そのものだった。
プレゼンテーション終了後に行われた、質問コーナーでは、永里優希選手からの質問に岩政大樹選手が明快に答える場面もあり、2人の深い技術論に場内がおおいに盛り上がる場面も。
そんなA.L.E14#05の詳細は、後日、A.L.E14公式サイトにて公開される動画で確認してほしい。
次回以降の開催について
6月20日(火) 伊藤華英(元競泳日本代表/北京・ロンドン五輪出場)
7月12日(水) 末續慎吾(パリ世界陸上200m銅メダル/北京五輪4×100mリレー銀メダル)
■A.L.E14公式HP:http://ale14.com/
■A.L.E14公式Facebook:https://www.facebook.com/ale14.since2016
取材・文・写真:瀬川泰祐
そんな彼が、いま、何を語ってくれるのか。
満席となった会場には、女子サッカーの永里優季選手や、昨季までFリーグ・バルドラール浦安のトップチーム監督を務めた米川正夫氏らが訪れ、他の競技からも高い注目が集まっていることをうかがわせた。
そして、多くの人々の視線が、身長187cmの大男に注がれるなか、プレゼンテーションはスタートする。
今回のテーマは、「勝てるチームと勝てないチームはどこが違うのか?」と「“読み”は一流の条件か?」の2つ。
その中でも、本記事では、1stセッションで行われた「勝てるチームと勝てないチームはどこが違うのか?」というテーマのプレゼンについて、レポートする。
■「自分たちのサッカー」をすることは正しいのか?
1stセッションのテーマである、「勝てるチームと勝てないチームはどこが違うのか?」。
組織を語るうえでよく通るオーソドックスなテーマのひとつだが、日本のサッカーチームを例にして組織論が語られる機会は、決して多くない。
サッカーの世界では、「自分たちのサッカー」という言葉をよく聞く。チームにはそれぞれ得意なスタイルがあり、その得意なスタイルを、いつしか「自分たちのサッカー」と捉えるようになる。
得意なスタイルで勝っているときはまったく問題ない。
だが問題なのは、チームが勝てなくなった時だ。その時、多くのチームは、「自分たちのサッカーを貫くことが大切だ」と言って、スタイルにこだわる傾向があるという。
シーズン開幕前、どのチームも勝つためにチーム作りをする。他チームを上回るために選手を補強し、戦術を構築する。このときは確かに相手チームが明確に存在している。
だが、シーズンが開幕し、勝ったり負けたりしながらシーズンが進むにつれ、「自分たちのサッカー」をすることが目的だと考えるようになってしまうのだ。 だが、鹿島アントラーズは違うという。
■鹿島アントラーズが行っていた、たったひとつのこと。
岩政大樹さんは、鹿島アントラーズの過去の実績をデータで見せた。
その数字をみれば、鹿島アントラーズが「常勝軍団」と言われる理由がよくわかる。
鹿島アントラーズが獲得した三大タイトルの優勝回数は19回にのぼり、2位ガンバ大阪の8回を大きく引き離している。
なぜ鹿島アントラーズは勝つことができるのか?
鹿島アントラーズが行っていたことは意外にも、単純なことだった。 「ダメなら変える」 たったこれだけだ。
自分たちの得意なスタイルは持っているが、それが相手に通じなかったら、スタイルなんて変えてしまえばいいと割り切って考えることができる柔軟さがあるのだ。
なぜなら、目的はチームが勝つことであり、自分たちの得意なスタイルがあるとすれば、それは勝つための手段でしかないからだ。
つまり、常に勝てるチームとは、選択肢があるということだ。得意なスタイルを捨て、別のスタイルを選択し相手を上回ればいいと考えることができるチームは強い。
サッカーというスポーツの目的が勝つこととするならば、目的のためにスタイルを選択できるチームと、いつしかスタイルを貫くことが目的になってしまったチームとの差は歴然だろう。
常勝軍団、鹿島アントラーズの強さの秘密、それは、「勝つこと」からブレない精神にあったのだ。
目的と手段をはき違えないことの重要性を、データとともに示した岩政大樹選手。現象からその原因を導き出していく手法は、まさに数学そのものだった。
プレゼンテーション終了後に行われた、質問コーナーでは、永里優希選手からの質問に岩政大樹選手が明快に答える場面もあり、2人の深い技術論に場内がおおいに盛り上がる場面も。
そんなA.L.E14#05の詳細は、後日、A.L.E14公式サイトにて公開される動画で確認してほしい。
次回以降の開催について
6月20日(火) 伊藤華英(元競泳日本代表/北京・ロンドン五輪出場)
7月12日(水) 末續慎吾(パリ世界陸上200m銅メダル/北京五輪4×100mリレー銀メダル)
■A.L.E14公式HP:http://ale14.com/
■A.L.E14公式Facebook:https://www.facebook.com/ale14.since2016
取材・文・写真:瀬川泰祐