日本人初!プロのホぺイロになった松浦紀典が語る物への矜持 Vol.7「ストイコビッチ監督が放ったあの革靴でのゴールの裏側」
日本人初のプロのホぺイロとして東京ヴェルディや名古屋グランパスなどで25年に渡り活躍してきた松浦紀典さん。物への矜持や印象に残っている選手のこだわりなどについて約8時間に渡り聞いてきました。Vol7.ではグランパスで印象に残っている選手の話や、今でも記憶に残っているストイコビッチ元監督が革靴で決めたゴールの裏話などを聞きました。
菊池 康平
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2017/07/20
<インタビュー第1回はこちら>
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――グランパスにいた闘莉王選手とかもけっこうこだわりがありそうな印象ですが、いかがですか?
松浦:そうですね、闘莉王選手も本当は28cmの足なんですけど、27.5cmのワンサイズ小さいスパイクを伸ばして自分の型にして履く選手です。
最近の高校生や中学生は成長期を見越して若干大きめのスパイクを履くんですよ。そして、そのままのスパイクでプロに来るんです! 爪先にすごく空間が出てるのに「これで大丈夫です。」って言うんですよ!
これだとキックの精度が落ちるからジャストサイズか0.3mmか0.5mmくらいの誤差の範囲にするのが適正だよって言ってます。
1cmセンチとか1.5cmくらい大きいのを履いたりしている選手がいて、聞くと「蹴りづらいんですよ」って言うんですよ(笑)
メーカーさんに合ったサイズを送って頂いて履かせると「めっちゃ蹴りやすいです」って言って。ここ数年こういうケースは多いですね。
――成長するだろうと思って、大きいサイズのスパイクを履くのは自身も学生時代にしてました(笑)南米とか貧しい国などでも同様なことをしてそうですね。
松浦: そうですね。きつくても履いている外国人の選手もいますね。
――きつくてもOKなんですね?
松浦:「いや、これサイズ違うでしょ?」って言うと、随分と違ったということがよくあります。
エジムンド選手みたいなスター選手だったら、こだわりで26cmを試合で履いて、練習は26.5cmを履くとか、そういう事ができるんですけどね。1足で試合も練習もしなければいけない選手はきつくても我慢して履いてますし、ブカブカでも履いてますしね。
――豊かじゃないとスパイクそのものを履けないですもんね。
松浦: だから日本はいい国ですよね。
――僕は海外でミズノをずっと履いてたんです。すると練習中に現地の選手が「貸してくれ!」って言うんですよ。
紅白戦を3チームでやっていて自身が休んでいる時に「貸せ」って言われて、「俺は次に出るからダメだ!」って返したら「代わりに俺のを履けよ!」って言われて。
「サイズも合わないし絶対に嫌だ!」って返しました。革が伸びちゃったら嫌ですし、そもそも足のサイズが全く違いましたし。
「Made in Japan」って書いてあるスパイクを履くだけで上手くなれると本当に信じ込んでいました。特に南米でよく「貸せ」と言われました。
松浦:私もACLとかで海外に行くとミズノを履いてるんですけど、試合前に整列するじゃないですか。すると相手チームが来るんですよ! 「Hey!Hey!」とか言って。「Made in Japan?」とか言ってきて「YES!」と答えると「ウォー!」って。それで仲良くなっちゃって(笑)
――売ってくれとかなかったですか?
松浦:ありました!
――ありますよね!Made in Japanのスパイクを売ってくれとか。
松浦: じゃあ、アウェイで日本に来た時にお店を紹介するからと言って、名古屋のお店を紹介すると、そこのお店の方から電話をもらって「ありがとうございます!1ヶ月分の売上を1日で売りました!」って言われて(笑)1人で10足とか購入したらしいです。
――やはり良いスパイクなんでしょうね!話は変わりますが、松浦さんは名古屋には14年くらい在籍されてたんですよね?
松浦: 14年いました。
――その中で何かインパクトが残っている選手とかいますか?
松浦: 代表クラスの選手も多くいましたし、玉田圭司選手・闘莉王選手などなど沢山いますよ。
――ストイコビッチは監督としてですね!
松浦:監督としてでしたね。
――彼はプレースタイルからすごくスパイクや物にこだわっている印象がありますが、いかがでしたか?
松浦:やはりフィット感にはこだわっていました。ただ最後は何を履いても技術だ!って言ってました。
――革靴でゴール決めてましたもんね、ダイレクトシュートの。
松浦:あれ凄かったですね~!あの革靴も僕が手入れをいつもしていたんですよ。あの革靴でゴールされた時に偶然にも私は交代選手がいたので、ベンチの真横にいたんですよ。ボールが飛んできて監督が蹴った!入っちゃった!っていう感じでした(笑)
――けっこう間近で見ていたってことですか?
松浦:そうです。すごい音がしたんです。パチーン!って。右のアウトで蹴って。
――アウトサイドでダイレクトは凄いですね!
松浦:ダイレクトで入ったんですよ。あの試合は正直両チーム共に決定的な場面がそんなにない、ちょっとどんよりした試合だったので、その瞬間が一番沸きました(笑)
ーーあの時ってストイコビッチ監督に警告かなんか出されましたっけ?
松浦:いや、退席です(笑)
――やっぱりそうなんですか(笑)
松浦:スタンドに拍手しながら去っていきましたね。次の日に「まっちゃん、磨いておいて」って言われて、またその革靴が来たんですよ。
そしたらアウトサイドの部分にボールの跡がありました。あ~!ここで蹴ったんだと思って。
ストイコビッチ監督のことをミスターって呼んでいたので「ミスター、この跡は取っていいですか?」って言ったら「いいよ!別にまた決めるから」と言ってました(笑)そしたらその日の世界のYouTubeの再生数であの動画が世界一になっていて驚きました。
――確かにYouTubeで拡散されそうな凄いゴールでしたよね。
松浦:そしたらブラジルのネルシーニョ監督の時のヘッドコーチがコリンチャンスに今いるんですけれども、その方から国際電話が来て「お前のところの監督がすごいシュート決めたな!ブラジルで今話題だぞ!」って言っていて。世界中の人が見てたみたいです。
――すごいことですよね、監督のゴールがこんなに話題になるとは!
松浦:ストイコビッチさんが名古屋を離れる時にゴールを決めた革靴は記念に豊田スタジアムのギャラリーにサインを書いて置いておくって言ってたんですけど「やっぱり持って帰るわ」って言って持って帰られました。
vol.8に続く 7月21日公開予定。
松浦紀典さんのオフィシャルブログ
http://blog.livedoor.jp/roupeiro_matsu/
取材協力/株式会社ミズノ
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――グランパスにいた闘莉王選手とかもけっこうこだわりがありそうな印象ですが、いかがですか?
松浦:そうですね、闘莉王選手も本当は28cmの足なんですけど、27.5cmのワンサイズ小さいスパイクを伸ばして自分の型にして履く選手です。
最近の高校生や中学生は成長期を見越して若干大きめのスパイクを履くんですよ。そして、そのままのスパイクでプロに来るんです! 爪先にすごく空間が出てるのに「これで大丈夫です。」って言うんですよ!
これだとキックの精度が落ちるからジャストサイズか0.3mmか0.5mmくらいの誤差の範囲にするのが適正だよって言ってます。
1cmセンチとか1.5cmくらい大きいのを履いたりしている選手がいて、聞くと「蹴りづらいんですよ」って言うんですよ(笑)
メーカーさんに合ったサイズを送って頂いて履かせると「めっちゃ蹴りやすいです」って言って。ここ数年こういうケースは多いですね。
――成長するだろうと思って、大きいサイズのスパイクを履くのは自身も学生時代にしてました(笑)南米とか貧しい国などでも同様なことをしてそうですね。
松浦: そうですね。きつくても履いている外国人の選手もいますね。
――きつくてもOKなんですね?
松浦:「いや、これサイズ違うでしょ?」って言うと、随分と違ったということがよくあります。
エジムンド選手みたいなスター選手だったら、こだわりで26cmを試合で履いて、練習は26.5cmを履くとか、そういう事ができるんですけどね。1足で試合も練習もしなければいけない選手はきつくても我慢して履いてますし、ブカブカでも履いてますしね。
――豊かじゃないとスパイクそのものを履けないですもんね。
松浦: だから日本はいい国ですよね。
――僕は海外でミズノをずっと履いてたんです。すると練習中に現地の選手が「貸してくれ!」って言うんですよ。
紅白戦を3チームでやっていて自身が休んでいる時に「貸せ」って言われて、「俺は次に出るからダメだ!」って返したら「代わりに俺のを履けよ!」って言われて。
「サイズも合わないし絶対に嫌だ!」って返しました。革が伸びちゃったら嫌ですし、そもそも足のサイズが全く違いましたし。
「Made in Japan」って書いてあるスパイクを履くだけで上手くなれると本当に信じ込んでいました。特に南米でよく「貸せ」と言われました。
松浦:私もACLとかで海外に行くとミズノを履いてるんですけど、試合前に整列するじゃないですか。すると相手チームが来るんですよ! 「Hey!Hey!」とか言って。「Made in Japan?」とか言ってきて「YES!」と答えると「ウォー!」って。それで仲良くなっちゃって(笑)
――売ってくれとかなかったですか?
松浦:ありました!
――ありますよね!Made in Japanのスパイクを売ってくれとか。
松浦: じゃあ、アウェイで日本に来た時にお店を紹介するからと言って、名古屋のお店を紹介すると、そこのお店の方から電話をもらって「ありがとうございます!1ヶ月分の売上を1日で売りました!」って言われて(笑)1人で10足とか購入したらしいです。
――やはり良いスパイクなんでしょうね!話は変わりますが、松浦さんは名古屋には14年くらい在籍されてたんですよね?
松浦: 14年いました。
――その中で何かインパクトが残っている選手とかいますか?
松浦: 代表クラスの選手も多くいましたし、玉田圭司選手・闘莉王選手などなど沢山いますよ。
――ストイコビッチは監督としてですね!
松浦:監督としてでしたね。
――彼はプレースタイルからすごくスパイクや物にこだわっている印象がありますが、いかがでしたか?
松浦:やはりフィット感にはこだわっていました。ただ最後は何を履いても技術だ!って言ってました。
――革靴でゴール決めてましたもんね、ダイレクトシュートの。
松浦:あれ凄かったですね~!あの革靴も僕が手入れをいつもしていたんですよ。あの革靴でゴールされた時に偶然にも私は交代選手がいたので、ベンチの真横にいたんですよ。ボールが飛んできて監督が蹴った!入っちゃった!っていう感じでした(笑)
――けっこう間近で見ていたってことですか?
松浦:そうです。すごい音がしたんです。パチーン!って。右のアウトで蹴って。
――アウトサイドでダイレクトは凄いですね!
松浦:ダイレクトで入ったんですよ。あの試合は正直両チーム共に決定的な場面がそんなにない、ちょっとどんよりした試合だったので、その瞬間が一番沸きました(笑)
ーーあの時ってストイコビッチ監督に警告かなんか出されましたっけ?
松浦:いや、退席です(笑)
――やっぱりそうなんですか(笑)
松浦:スタンドに拍手しながら去っていきましたね。次の日に「まっちゃん、磨いておいて」って言われて、またその革靴が来たんですよ。
そしたらアウトサイドの部分にボールの跡がありました。あ~!ここで蹴ったんだと思って。
ストイコビッチ監督のことをミスターって呼んでいたので「ミスター、この跡は取っていいですか?」って言ったら「いいよ!別にまた決めるから」と言ってました(笑)そしたらその日の世界のYouTubeの再生数であの動画が世界一になっていて驚きました。
――確かにYouTubeで拡散されそうな凄いゴールでしたよね。
松浦:そしたらブラジルのネルシーニョ監督の時のヘッドコーチがコリンチャンスに今いるんですけれども、その方から国際電話が来て「お前のところの監督がすごいシュート決めたな!ブラジルで今話題だぞ!」って言っていて。世界中の人が見てたみたいです。
――すごいことですよね、監督のゴールがこんなに話題になるとは!
松浦:ストイコビッチさんが名古屋を離れる時にゴールを決めた革靴は記念に豊田スタジアムのギャラリーにサインを書いて置いておくって言ってたんですけど「やっぱり持って帰るわ」って言って持って帰られました。
vol.8に続く 7月21日公開予定。
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取材協力/株式会社ミズノ