~Neymar Jr’s Five~ “やりきれたのか!”『KING GEAR FCの100日間の戦い 前編』
ブラジルで行われたNeymar Jr's Five World Finalの裏側を実際に現地で戦ってきた菊池康平によるレポートです
菊池 康平
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2017/07/23
「みんな涙を流して悔しがっているってことは、きっとやりきれたってことだよ。」
チーム最年長の宇留野純の言葉が響く。
ベスト8進出を懸けてコソボ代表と戦い、負けた後のMTGでの話だ。 恥ずかしい話だか私はキャプテンであるのに関わらず、感情が崩壊していて最初の言葉が出なかった。
この言葉で我に返った。
今回のテーマは「やりきること」であった。
東京予選の前にチームメンバーを集めることから始めたが、選考のポイントを「やりきれてない選手、まだ戦いたい選手」とした。
そして、ブラジルでの世界大会に出てやりきり優勝する!こんな目標を立てていた。
4月11日の東京予選、6月11日の全国大会(Japan Final)で優勝し、日本代表として7月7日&8日の世界大会(World Final)に進むことになった。
<参考記事>
http://king-gear.com/articles/347
http://king-gear.com/articles/371
国内で優勝を重ねるごとにサポートしてくださる方々が増えていったが「まだ何も成し遂げてないんだから勘違いしないで練習に取り組もう!」と口酸っぱく言い合っていた。
それぞれに仕事を持っていた為、平日の21時から皆が集まる練習を週に1〜2回ほど行い、他の曜日はそれぞれで動くことにした。
ドバイ経由で約30時間をかけてサンパウロに到着。サンパウロから大会の会場であるサントスのホテルにバスで1時間半ほど揺られる。
この車内で事件が起きた。
チーム最年長の宇留野純が体勢を変えた際に腰を痛めたのだ。
「やばい、ギックリ腰だ」
ホテルに着いたのが22時頃。
翌々日に控えた試合の為に、宇留野を除く5人の選手でランニングに出かけた。
30時間以上かけて来て固まってしまった身体をほぐす為だ。
更なる故障者を出さない為にもそれぞれのペースでゆっくりほぐした。
翌日の抽選会の結果、予選リーグの対戦相手が以下の5チームに決まった。
ナイジェリア、ドイツ、クウェート、リトアニア、アルバニアだ。
「どれも強くて楽に勝てそうな相手が無いではないか!」と自身のくじ運の無さを呪った(笑)
初戦はナイジェリアとの試合に決まり大会全体のオープニングゲームとなった。キックオフは午前9時だ。
試合当日の朝は5時40分から全員で散歩をした。治安状況がわからない中、薄暗いサントスの街を歩く。
時差ボケも何もかも関係ない。ここまで来たらあとはやるだけだ!と皆で気持ちを高めた。
6時過ぎに朝食会場へ。53ヶ国中、一番乗りだ。
ナイジェリアは寝ていて食事もしないで試合に乗り込んでくるのでは?と勝手な想像をしていたら、全員揃った格好で6時半頃に現れた。どこも真剣なんだなと改めて感じた。
9時からの試合に備え万全を喫していたと思っていた日本だったが、思わぬハプニングに見舞われる。
ホテルからバスに乗る為に、色々な国の選手が一斉にエレベーターに乗って大混雑となった。
第1試合目の我々は早く降りなくてはと思い、階段で向かうことを選択。
下まで降りるも肝心の扉が閉まっており右往左往することに。
ナイジェリアチームは上手くこの混乱を抜け出した模様で、我々がキックオフ五分前に会場に着いたらウォーミングアップを終わらせ爽やかな汗をかいていた。
対して日本チームはトイレに行ったりユニホームに着替えたり、かなりバタバタしてウォーミングアップ無しで試合に臨むことに。
腰を痛めている宇留野も強行出場。アップが出来てないため腰への負担が心配された。
文字通り試合内容も今までにないくらいにバタバタした。
開始早々に痛恨のPKを取られるも、相手が外してくれて九死に一生を得る。
これでチームの目が覚め、それぞれの身体も温まり5-0で大事な初戦を勝利!
2試合目は優勝候補とも言われているドイツ。試合をして感じたのが凄くおとなしい。 競合いで身体を押しても何も言ってこないし不気味な感じだ。
幸先良くエースの加部未蘭が先制点を挙げる。
相手が1人減り、数的有利になったものの逆にマークが曖昧になり、ズレが出て失点。 その後も失点を重ね1-5で敗戦。
先制したのに逆転されたのは恐らく初めての経験だ。最悪の雰囲気で昼食の時間を迎えた。
「文句を言い合うことはやめて、良い薬になったと思って修正して次の試合に入ろう」
と話し合った。 皆が明るく振る舞おうとしていたが、自身を含めどこかぎこちなかった。 負けたらチームが崩壊しかねない3戦目のクウェート戦。
前日の抽選会などで見たクウェート代表は身体つきがしっかりしていて見た目は強そうな雰囲気だった。 実際やってみると、日本をリスペクトしてか守りに徹してきてなかなか得点が入らない。
この状況を打破しようとチーム最年少の土屋良平がドリブル突破を試みる。
うまく抜けてチャンスだ!と思った瞬間、彼の動きが止まった。
彼が振り向くと尋常ではないくらい顔面から出血をしている。審判がすぐに試合を止める。 相手の頭が顔面に入ったみたいだ。
すぐに病院に向かい縫うことになった。
それでも試合は続く。 土屋の代わりに菅優樹が入り試合再開。 セットプレーから野中来人が決めて1-0で辛勝!この勝利は大きかった。
負傷した土屋の為にも頑張ろうとチームに更なる結束が生まれた。 しかし、土屋の負傷の裏側で、更なる負傷者が出ていたのだ。
後編へ続く
チーム最年長の宇留野純の言葉が響く。
ベスト8進出を懸けてコソボ代表と戦い、負けた後のMTGでの話だ。 恥ずかしい話だか私はキャプテンであるのに関わらず、感情が崩壊していて最初の言葉が出なかった。
この言葉で我に返った。
今回のテーマは「やりきること」であった。
東京予選の前にチームメンバーを集めることから始めたが、選考のポイントを「やりきれてない選手、まだ戦いたい選手」とした。
そして、ブラジルでの世界大会に出てやりきり優勝する!こんな目標を立てていた。
4月11日の東京予選、6月11日の全国大会(Japan Final)で優勝し、日本代表として7月7日&8日の世界大会(World Final)に進むことになった。
<参考記事>
http://king-gear.com/articles/347
http://king-gear.com/articles/371
国内で優勝を重ねるごとにサポートしてくださる方々が増えていったが「まだ何も成し遂げてないんだから勘違いしないで練習に取り組もう!」と口酸っぱく言い合っていた。
それぞれに仕事を持っていた為、平日の21時から皆が集まる練習を週に1〜2回ほど行い、他の曜日はそれぞれで動くことにした。
ドバイ経由で約30時間をかけてサンパウロに到着。サンパウロから大会の会場であるサントスのホテルにバスで1時間半ほど揺られる。
この車内で事件が起きた。
チーム最年長の宇留野純が体勢を変えた際に腰を痛めたのだ。
「やばい、ギックリ腰だ」
ホテルに着いたのが22時頃。
翌々日に控えた試合の為に、宇留野を除く5人の選手でランニングに出かけた。
30時間以上かけて来て固まってしまった身体をほぐす為だ。
更なる故障者を出さない為にもそれぞれのペースでゆっくりほぐした。
翌日の抽選会の結果、予選リーグの対戦相手が以下の5チームに決まった。
ナイジェリア、ドイツ、クウェート、リトアニア、アルバニアだ。
「どれも強くて楽に勝てそうな相手が無いではないか!」と自身のくじ運の無さを呪った(笑)
初戦はナイジェリアとの試合に決まり大会全体のオープニングゲームとなった。キックオフは午前9時だ。
試合当日の朝は5時40分から全員で散歩をした。治安状況がわからない中、薄暗いサントスの街を歩く。
時差ボケも何もかも関係ない。ここまで来たらあとはやるだけだ!と皆で気持ちを高めた。
6時過ぎに朝食会場へ。53ヶ国中、一番乗りだ。
ナイジェリアは寝ていて食事もしないで試合に乗り込んでくるのでは?と勝手な想像をしていたら、全員揃った格好で6時半頃に現れた。どこも真剣なんだなと改めて感じた。
9時からの試合に備え万全を喫していたと思っていた日本だったが、思わぬハプニングに見舞われる。
ホテルからバスに乗る為に、色々な国の選手が一斉にエレベーターに乗って大混雑となった。
第1試合目の我々は早く降りなくてはと思い、階段で向かうことを選択。
下まで降りるも肝心の扉が閉まっており右往左往することに。
ナイジェリアチームは上手くこの混乱を抜け出した模様で、我々がキックオフ五分前に会場に着いたらウォーミングアップを終わらせ爽やかな汗をかいていた。
対して日本チームはトイレに行ったりユニホームに着替えたり、かなりバタバタしてウォーミングアップ無しで試合に臨むことに。
腰を痛めている宇留野も強行出場。アップが出来てないため腰への負担が心配された。
文字通り試合内容も今までにないくらいにバタバタした。
開始早々に痛恨のPKを取られるも、相手が外してくれて九死に一生を得る。
これでチームの目が覚め、それぞれの身体も温まり5-0で大事な初戦を勝利!
2試合目は優勝候補とも言われているドイツ。試合をして感じたのが凄くおとなしい。 競合いで身体を押しても何も言ってこないし不気味な感じだ。
幸先良くエースの加部未蘭が先制点を挙げる。
相手が1人減り、数的有利になったものの逆にマークが曖昧になり、ズレが出て失点。 その後も失点を重ね1-5で敗戦。
先制したのに逆転されたのは恐らく初めての経験だ。最悪の雰囲気で昼食の時間を迎えた。
「文句を言い合うことはやめて、良い薬になったと思って修正して次の試合に入ろう」
と話し合った。 皆が明るく振る舞おうとしていたが、自身を含めどこかぎこちなかった。 負けたらチームが崩壊しかねない3戦目のクウェート戦。
前日の抽選会などで見たクウェート代表は身体つきがしっかりしていて見た目は強そうな雰囲気だった。 実際やってみると、日本をリスペクトしてか守りに徹してきてなかなか得点が入らない。
この状況を打破しようとチーム最年少の土屋良平がドリブル突破を試みる。
うまく抜けてチャンスだ!と思った瞬間、彼の動きが止まった。
彼が振り向くと尋常ではないくらい顔面から出血をしている。審判がすぐに試合を止める。 相手の頭が顔面に入ったみたいだ。
すぐに病院に向かい縫うことになった。
それでも試合は続く。 土屋の代わりに菅優樹が入り試合再開。 セットプレーから野中来人が決めて1-0で辛勝!この勝利は大きかった。
負傷した土屋の為にも頑張ろうとチームに更なる結束が生まれた。 しかし、土屋の負傷の裏側で、更なる負傷者が出ていたのだ。
後編へ続く