DMMが欧州サッカーに描く夢 「vol.5 日本人がチーム経営するにあたり現地の方々の反応は?」
昨年の11月にDMMがベルギー1部リーグのシントトロイデンの経営権を取得した。なぜベルギーのチームを買収したのか?たくさんのなぜをシントトロイデンの会長でDMM.comの取締役を務める村中悠介さんに聞かせて頂いた。最終話であるVol.5 では今後の観客動員の施策や現地のスタッフや住民との関わりなどについて聞きました。
菊池 康平
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2018/05/15
Vol.4はこちらから
―― シントトロイデンの監督が日本人監督になる可能性はありますか?
村中 日本人の監督はライセンスがないんで出来ないんですよ。ヨーロッパのライセンスを持っていないと出来ない。アシスタントコーチは出来ると思うんですけど手続き方法すら違います。でもこの辺は手伝えるようになれたらいいなと思ってます。
―― ユースとかジュニアユースとか育成部門の監督はできるんですか?
村中 育成の監督はできます。ただ、アウェイな環境で言葉も違う国で監督やるのは非常に大変だと思いますね。
―― チームの入場者数はどんな感じでしょうか?
村中 今の平均入場者数は6000~7000人くらいなので、もう少し増やしたいんです。
―― 入場者数が増えているチームはSNSの使い方がうまいとか何か理由があるんですかね?
村中 我々もSNSとかはやっているんですけどね。「チームが強くなったら行くよ」とか「チケットがもうちょっと安くなったら行くよ」とかの声を頂きます。でももうかなり安いんです(笑)
これ以上安くしてどうしたいんだろうって。日本のうまくいった施策は真似て、イベント的なものは、もっともっとやっていきたいです。
ベルギー人のサッカーを観に行く感覚は日本人の感覚と違うんです。街にスポーツがありふれていないから、「野球行こうかな、バスケ行こうかな、サッカー行こうかな」という選択肢がないんです。サッカーしかないので。そこをブランディングしてもダメだなって思っていて。
Jリーグだと「まずサッカーを観に行きましょう、隣の人を誘いましょう」としていますが、そこはもうある程度終わっちゃっているんです。 でも、あんまり子連れが見当たらなかったりするんですよ。キックオフが20時とか遅いので、ちょっと子連れは来にくい。
そういう点を違う方向で考えなきゃなとか、サッカー以外の切り口でいくとか。あそこに行ったら、おもちゃがもらえる、フリマがやっているとか。例えば川崎フロンターレなどは色々な工夫をされてますよね。日本の素晴らしい運営面は学んで実践できればと思っています。
―― その為のスタジアムの改修などは考えているんですか?
村中 スタジアムの権利自体は前オーナーが持っているんですよ。「スタジアムは増強しておくよ」って言ってくださっているので、もちろんそれに合わせます。選手が座るシートが片面だけヨーロッパリーグ仕様じゃないんですよ。背もたれが無く、ありにしなきゃいけないなど改修しなくちゃいけない。
アウェイスタンドは全部改修をかけて、もうちょっと人が入れるようにするのとスタジアムの下に託児所を作って総合施設にしていきたいんです。普段から人が集まる所にしなくてはと考えています。
―― 色々なことを進めていかれていると思うんですが、現地の人とどのように仕事を進めているのですか?
村中 独裁型じゃなくて日本人型でやっています。前は独裁型だったみたいです。良いところもあるので一概にどっちが良いとは言えないですけど。やることを明確にして「これをやってください」って頼めば、それを着実にこなしていける人材は揃っていたんです。
今はその人たちにも責任を与えて「自分でどう思う?とかどうやりたい?」などを聞きながら進めると責任感が出てきて、ここまでやらせてくれるんだとか「僕はこんなことやりたいです」とか良くなってきました。
元々現地にいた人がそこまでやってくれるようになると、強くなっていくと思います。少ない人数でやっていたんでみんな優秀なんですよね。あとは責任をどこまで与えるかというちょっとしたことだと思います。
―― 現地の住民は日本人がチームを経営していることをどのように思われているんですか?
村中 ちょっと悲しかったエピソードがあります。ビジネスクラブっていうのがあるんですよ。ユースのNPOにお金を出している支援者たちで、言ってしまえば地元の名士の集まりです。その食事会に参加したんです。前オーナーは1回も参加したことないらしくて。
初めて誘われて初めて行ったんですよ。「一発目に来てくれましたね」って言われたんですけど。最後に一言、挨拶をしたんですけど、酔っ払っている方から「何でこのチームを買ったんですか?」って質問を受けました。
「この街をよくして、強くして、貢献したいです」って言ったら「金だろ!」ってみんなの前で言われて。
「いや、違いますよ」って答えたんですけど、2~3回同じ質問をされて。1人の方が「まぁまぁもういいんじゃない」って止めてくれて、終わったんですけど悲しかったですね。もしお金のために買っていたら他のチームを買うだろって思って(笑)このチーム赤字だしなって。
なんで金のために買ったって思われているんだろう。まだ我々の想いが浸透していないんだなって思いました。確かに何者かわからない日本人が何しに来たのっていう段階なので。
サッカーで熱を出したいのか、ガセネタもすごい出るんですよね。 そのたびにファンから僕の個人のFacebookにメッセージが来るんですよ。300人くらいの現地の方から申請も来ました。
――生みの苦しみといいますか、現地の方から信用を得ていくことには時間がかかりますよね。
村中 少しずつ出来ることを行って、我々の想いを伝えていくべく進んでいきます。
(了)
写真:菊池康平
STVV(シント=トロイデンVV)日本公式サイト
https://stvv.jp/
―― シントトロイデンの監督が日本人監督になる可能性はありますか?
村中 日本人の監督はライセンスがないんで出来ないんですよ。ヨーロッパのライセンスを持っていないと出来ない。アシスタントコーチは出来ると思うんですけど手続き方法すら違います。でもこの辺は手伝えるようになれたらいいなと思ってます。
―― ユースとかジュニアユースとか育成部門の監督はできるんですか?
村中 育成の監督はできます。ただ、アウェイな環境で言葉も違う国で監督やるのは非常に大変だと思いますね。
―― チームの入場者数はどんな感じでしょうか?
村中 今の平均入場者数は6000~7000人くらいなので、もう少し増やしたいんです。
―― 入場者数が増えているチームはSNSの使い方がうまいとか何か理由があるんですかね?
村中 我々もSNSとかはやっているんですけどね。「チームが強くなったら行くよ」とか「チケットがもうちょっと安くなったら行くよ」とかの声を頂きます。でももうかなり安いんです(笑)
これ以上安くしてどうしたいんだろうって。日本のうまくいった施策は真似て、イベント的なものは、もっともっとやっていきたいです。
ベルギー人のサッカーを観に行く感覚は日本人の感覚と違うんです。街にスポーツがありふれていないから、「野球行こうかな、バスケ行こうかな、サッカー行こうかな」という選択肢がないんです。サッカーしかないので。そこをブランディングしてもダメだなって思っていて。
Jリーグだと「まずサッカーを観に行きましょう、隣の人を誘いましょう」としていますが、そこはもうある程度終わっちゃっているんです。 でも、あんまり子連れが見当たらなかったりするんですよ。キックオフが20時とか遅いので、ちょっと子連れは来にくい。
そういう点を違う方向で考えなきゃなとか、サッカー以外の切り口でいくとか。あそこに行ったら、おもちゃがもらえる、フリマがやっているとか。例えば川崎フロンターレなどは色々な工夫をされてますよね。日本の素晴らしい運営面は学んで実践できればと思っています。
―― その為のスタジアムの改修などは考えているんですか?
村中 スタジアムの権利自体は前オーナーが持っているんですよ。「スタジアムは増強しておくよ」って言ってくださっているので、もちろんそれに合わせます。選手が座るシートが片面だけヨーロッパリーグ仕様じゃないんですよ。背もたれが無く、ありにしなきゃいけないなど改修しなくちゃいけない。
アウェイスタンドは全部改修をかけて、もうちょっと人が入れるようにするのとスタジアムの下に託児所を作って総合施設にしていきたいんです。普段から人が集まる所にしなくてはと考えています。
―― 色々なことを進めていかれていると思うんですが、現地の人とどのように仕事を進めているのですか?
村中 独裁型じゃなくて日本人型でやっています。前は独裁型だったみたいです。良いところもあるので一概にどっちが良いとは言えないですけど。やることを明確にして「これをやってください」って頼めば、それを着実にこなしていける人材は揃っていたんです。
今はその人たちにも責任を与えて「自分でどう思う?とかどうやりたい?」などを聞きながら進めると責任感が出てきて、ここまでやらせてくれるんだとか「僕はこんなことやりたいです」とか良くなってきました。
元々現地にいた人がそこまでやってくれるようになると、強くなっていくと思います。少ない人数でやっていたんでみんな優秀なんですよね。あとは責任をどこまで与えるかというちょっとしたことだと思います。
―― 現地の住民は日本人がチームを経営していることをどのように思われているんですか?
村中 ちょっと悲しかったエピソードがあります。ビジネスクラブっていうのがあるんですよ。ユースのNPOにお金を出している支援者たちで、言ってしまえば地元の名士の集まりです。その食事会に参加したんです。前オーナーは1回も参加したことないらしくて。
初めて誘われて初めて行ったんですよ。「一発目に来てくれましたね」って言われたんですけど。最後に一言、挨拶をしたんですけど、酔っ払っている方から「何でこのチームを買ったんですか?」って質問を受けました。
「この街をよくして、強くして、貢献したいです」って言ったら「金だろ!」ってみんなの前で言われて。
「いや、違いますよ」って答えたんですけど、2~3回同じ質問をされて。1人の方が「まぁまぁもういいんじゃない」って止めてくれて、終わったんですけど悲しかったですね。もしお金のために買っていたら他のチームを買うだろって思って(笑)このチーム赤字だしなって。
なんで金のために買ったって思われているんだろう。まだ我々の想いが浸透していないんだなって思いました。確かに何者かわからない日本人が何しに来たのっていう段階なので。
サッカーで熱を出したいのか、ガセネタもすごい出るんですよね。 そのたびにファンから僕の個人のFacebookにメッセージが来るんですよ。300人くらいの現地の方から申請も来ました。
――生みの苦しみといいますか、現地の方から信用を得ていくことには時間がかかりますよね。
村中 少しずつ出来ることを行って、我々の想いを伝えていくべく進んでいきます。
(了)
写真:菊池康平
STVV(シント=トロイデンVV)日本公式サイト
https://stvv.jp/