フィギュアスケートの鍵山優真選手が、世界選手権で獲得した輝かしい銀メダルを胸に、ファンの前でさらなる飛躍を誓う
3月、カナダのモントリオールが春の訪れを告げる中、世界フィギュアスケート選手権2024が華やかに幕を開けた。その大舞台に、2年ぶりに帰ってきた20歳の若者がいた。鍵山優真。彼の名前は、この舞台で新たな伝説を刻むことを予感させていた。※メイン画像:筆者撮影
壮大なる銀メダルへの軌跡ー2024世界選手権での衝撃的な演技と新たな始まり
世界フィギュアスケート選手権2024のショートプログラムで見せたのは、洗練された演技の連続。音楽と一体となった彼の動きには、観客も審判も息をのんだ。
その結果、彼は見事2位に名を連ねる。そして迎えたフリースケーティング。彼の演技は頂点に達し、会場は静寂に包まれた。音楽の最初の音符が鳴ると同時に、鍵山は氷上を力強く滑り始めた。4回転フリップの跳躍は、公式戦で初めての挑戦。体が空中で完璧に4回転し、見事に着氷すると、会場からは割れんばかりの拍手が沸き起こった。その一瞬、彼の周囲の空気さえも凍りつくかのようだった。
その得点は、驚異の309.65。鍵山がこのシーズンで自己ベストを更新し、生涯で3度目の銀メダルを手に入れたのは、父との二人三脚の賜物だった。小さな頃から、父は彼の最も厳しい批評家であり、最も熱心なサポーターだった。彼らの絆は、彼がスケートリンクの中で孤独に立ち向かう際の力となり、彼を駆り立てた。
「父さん、ありがとう。これも全部、父さんのおかげだよ」と彼はメダルを手にしながら言った。父はただ、うなずきながら涙を隠すことができなかった。
しかし、この銀メダルは終わりではなく、新たな始まりを告げるものだった。2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪での金メダルへの道が今、彼の前に広がっている。鍵山の目はすでにその先に向けられており、彼の旅はまだまだ続くのだった。
2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪への意気込みとは
筆者撮影
そんなフィギュアスケート男子のトップアスリート、鍵山がAlpen NAGOYAで特別なイベントを開催した。このイベントは、彼にとってもファンにとっても特別な意味を持つものとなった。そのイベント後に行われた囲み取材の様子をお届けする。
鍵山はファンの前で、「本当にたくさんの方が集まってくれて感謝の気持ちでいっぱいです。イベントが自分一人のものだったため、実は少し心配していましたが、多くの方が抽選に参加してくれたおかげで、フリースペースでも多くのファンに支えられ、非常に嬉しかったです。イベントは大変楽しく、無事に終えられて本当に良かったです」と述べ、ファンへの感謝を表した。
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また、2026年のミラノ・コルティナ冬季オリンピックに向けての心境を語り、「これからの1年が特に重要になってくると思います。毎年、一戦一戦を大切にしながら競技に臨んでいますが、今年は特に、世界選手権で感じたトップとの差を少しでも縮めることができるよう、点数とパフォーマンスの向上に向けてさらなる努力を重ねていきたいと思っています」と意気込んだ。
鍵山は差を縮めるために「技術だけではなく、メンタルの強化も重要です。練習での高度なパフォーマンスを本番で発揮できるように、精神面も鍛えていかなければなりません。ライバル選手たちも初戦から高いクオリティを見せているので、僕もそれに負けないように努力し続けます」と技術と心の両面からのアプローチを強調した。
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さらに、プログラムに対する取り組みについて「最も後ろの席に座っている子どもたちにも表現が届くように演技をすること」というアドバイスが印象に残っていると述べ、「このアドバイスを受けてから、練習では常に観客を想像しながらスケートをし、ステップの時の顔の角度や表情など、どのように見えるかを意識して取り組んでいます。自分の演技をビデオに録画してチェックすることで、改善すべき点やうまくできている部分を発見することもあります」と話した。
最後に、来シーズンに向けての意気込みを「来シーズンもまずはケガなく、健康に留意しつつシーズンを過ごしたいです。そして、新しいプログラムで初戦から全力を出し切れるように、練習から調整を重ねていきます。観客のみなさまにも、新プログラムに馴染んでいただけるような、心に響く演技をしたいと思っています。どうぞ応援よろしくお願いします」と熱く語り、新たなシーズンへの意気込みをファンに伝えた。
その日、Alpen NAGOYAのイベントスペースでは、“鍵山優真”という一人のスケーターの情熱と努力が、多くの心に火をつけた瞬間を目撃したのだった。