長距離ランナーの御託・藤原新Vol.5グラウンド編「パラメヒコはサッカースパイクでありながら、ランニングシューズに近い」
ロンドン・オリンピックのマラソン日本代表、藤原新選手が選ぶ「10㎞走っても疲れの少ないスパイク」。今回はいよいよグラウンドへ飛び出し、実際に履いてみることに。はたして、サッカースパイクを履いて走ってみた感触は――。
金子 達仁
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2016/10/25
<インタビュー第1回はこちら>
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<インタビュー第4回はこちら>
──神奈川県川崎市にある法政二高のグラウンドにお邪魔しております。藤原さんには、先程ショップでお気に召したスパイクを実際に履いて走っていただき、そのインプレッションをお願いしたいと思います
藤原「了解です。じゃあ最初は‥‥プーマのスパイクから行きましょうか」
──アッパーにカンガルーを使用したクラシカルな名機パラメヒコですね。
藤原「じゃ、行ってきます!」(といってグラウンド周りを息を切らすことなく一周)
──いかがでしょう。
藤原「全然、違和感なく走れますね。あの、サッカーにおける走りっていうのはよくわかんないですけど、陸上長距離の場合、走る時ってできるだけモーションをデカくするんですよ」
──モーション、ですか?
藤原「モーションというか、歩幅を広げるっていうか。アジリティを効かせる小刻みな走りじゃなくて、できるだけストライドを広くして、一歩あたりのエネルギーコストを下げようとするんです。いま、ぼくはいつも以上にそこを意識して走ってみたんですけど、このスパイクはネガティブな干渉をしてこないですね。ショップで選ぶ段階で、そうだろうなとは思ってたんですが、実際に履いてみると、やっぱりいい感じです」
──最近の若いサッカー選手たちは、このスパイクを重いからといって敬遠する傾向があるようなんですが、そのあたりはいかがですか?
藤原「あんまり、というか全然気にならないですね。陸上でも重たい、あるいは重たく感じられるシューズってありますけど、あれって実は重量というよりも形状の問題だったりするんですよ。一つひとつのパーツが厚ぼったかったり、どこかゴツゴツしてたりとか。で、そういうシューズだと確かにスピードは出しにくいんですけど、このパラメヒコにはそういうところがほとんどない。重たいですって聞いてなかったら、たぶん、まったく意識しなかったと思います」
──基本設計30年前のスパイクですけど、古さって感じません?
藤原「デザインはクラシカルだなとは思いますけど、履き心地に関しては全然。できるだけローコストで長い距離を早いスピードで走ろうとした場合、サッカースパイクでありながらランニングシューズに近いものも感じさせてくれました」
──ローコストで走るという発想自体、サッカーの世界ではなかなかなかったような気がします。というか、走っても疲れない、あるいは疲れにくいやり方なんてあるんでしょうか。
藤原「さっき、ローコストで走るためにストライドを広げるって話、しましたよね。じゃあ、ストライドを広げるためにはどうしたらいいか」
──手っとり早いのはジャンプでは? 間違いなくストライドは伸びますよね。
藤原「伸びます。でも、エネルギーコストの観点からすると、最悪の走法(笑)。42・195キロなんかもつわけがない」
──では、どうすれば?
藤原「簡単にいうと、後ろ足を残せばいいんです」
──後ろ足を残す?
藤原「走るときって、後ろ足の踵(かかと)がだんだんと上がって行って、最後、つま先が地面から離れる形になりますよね。この時、離れる瞬間をできるだけ遅らせるっていうか、残すのがポイントなんです」
──なるほど、離れる瞬間を我慢すればするだけ、後ろ足は伸びていきますから、その分、ストライドは伸びますね。
藤原「はい。で、その時に大事になってくるのが、アッパーの柔らかさなんです。伸縮を繰り返す指の付け根部分にストレスがかからないか、足の甲をきれいに包んでくれているか。お店で履いてみたシューズの中には、明らかに腱や皮膚、骨に干渉してくるのがあったんですけど、このパラメヒコってスパイクに関しては、その心配がまったくない」
──ロングライフを誇るモデルには、ちゃんと理由があるってことですね。では、次のスパイク行きましょうか。アディダスのパティークグローロ16・1です。
藤原 「了解。じゃ、行ってきます!」(と走り始めたところで次回に続く)
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──神奈川県川崎市にある法政二高のグラウンドにお邪魔しております。藤原さんには、先程ショップでお気に召したスパイクを実際に履いて走っていただき、そのインプレッションをお願いしたいと思います
藤原「了解です。じゃあ最初は‥‥プーマのスパイクから行きましょうか」
──アッパーにカンガルーを使用したクラシカルな名機パラメヒコですね。
藤原「じゃ、行ってきます!」(といってグラウンド周りを息を切らすことなく一周)
──いかがでしょう。
藤原「全然、違和感なく走れますね。あの、サッカーにおける走りっていうのはよくわかんないですけど、陸上長距離の場合、走る時ってできるだけモーションをデカくするんですよ」
──モーション、ですか?
藤原「モーションというか、歩幅を広げるっていうか。アジリティを効かせる小刻みな走りじゃなくて、できるだけストライドを広くして、一歩あたりのエネルギーコストを下げようとするんです。いま、ぼくはいつも以上にそこを意識して走ってみたんですけど、このスパイクはネガティブな干渉をしてこないですね。ショップで選ぶ段階で、そうだろうなとは思ってたんですが、実際に履いてみると、やっぱりいい感じです」
──最近の若いサッカー選手たちは、このスパイクを重いからといって敬遠する傾向があるようなんですが、そのあたりはいかがですか?
藤原「あんまり、というか全然気にならないですね。陸上でも重たい、あるいは重たく感じられるシューズってありますけど、あれって実は重量というよりも形状の問題だったりするんですよ。一つひとつのパーツが厚ぼったかったり、どこかゴツゴツしてたりとか。で、そういうシューズだと確かにスピードは出しにくいんですけど、このパラメヒコにはそういうところがほとんどない。重たいですって聞いてなかったら、たぶん、まったく意識しなかったと思います」
──基本設計30年前のスパイクですけど、古さって感じません?
藤原「デザインはクラシカルだなとは思いますけど、履き心地に関しては全然。できるだけローコストで長い距離を早いスピードで走ろうとした場合、サッカースパイクでありながらランニングシューズに近いものも感じさせてくれました」
──ローコストで走るという発想自体、サッカーの世界ではなかなかなかったような気がします。というか、走っても疲れない、あるいは疲れにくいやり方なんてあるんでしょうか。
藤原「さっき、ローコストで走るためにストライドを広げるって話、しましたよね。じゃあ、ストライドを広げるためにはどうしたらいいか」
──手っとり早いのはジャンプでは? 間違いなくストライドは伸びますよね。
藤原「伸びます。でも、エネルギーコストの観点からすると、最悪の走法(笑)。42・195キロなんかもつわけがない」
──では、どうすれば?
藤原「簡単にいうと、後ろ足を残せばいいんです」
──後ろ足を残す?
藤原「走るときって、後ろ足の踵(かかと)がだんだんと上がって行って、最後、つま先が地面から離れる形になりますよね。この時、離れる瞬間をできるだけ遅らせるっていうか、残すのがポイントなんです」
──なるほど、離れる瞬間を我慢すればするだけ、後ろ足は伸びていきますから、その分、ストライドは伸びますね。
藤原「はい。で、その時に大事になってくるのが、アッパーの柔らかさなんです。伸縮を繰り返す指の付け根部分にストレスがかからないか、足の甲をきれいに包んでくれているか。お店で履いてみたシューズの中には、明らかに腱や皮膚、骨に干渉してくるのがあったんですけど、このパラメヒコってスパイクに関しては、その心配がまったくない」
──ロングライフを誇るモデルには、ちゃんと理由があるってことですね。では、次のスパイク行きましょうか。アディダスのパティークグローロ16・1です。
藤原 「了解。じゃ、行ってきます!」(と走り始めたところで次回に続く)