男子バスケ代表は不安の中でパリ五輪へ「あってはならない試合」から見えた課題
東京大会に続き2大会連続、自力では48年振りに自力で五輪の切符を掴んだ男子バスケットバボール日本代表(世界ランキング26位)は、日本時間の27日に初陣を迎える。グループBに属する日本は、ドイツ、フランス、ブラジルと対戦。いずれも世界ランキングでは“格上”にあたる相手だが、グループ2位以内、もしくはグループ3位の3チームのうち上位2位以上に入り、目標としているベスト8進出を目指すこととなる。※トップ画像提供/©JBA
6月のオーストラリア戦に1分1敗。7月に東京で行われた韓国代表との壮行試合2試合を1勝1敗で終えた日本代表は、本番でも対戦するドイツ(83-104)、世界ランキング4位のセルビア(100-119)に敗戦。パリ五輪前の強化試合を1勝1分4敗で終えた。
パリ五輪前に日本で行われる最後の代表戦となった韓国(世界ランキング50位)との対戦を1勝1敗で終えたトム・ホーバスHCは「まだまだこのチームが上手にできてない感じ。良いことも悪いこともいっぱいありましたが、まだ時間はある。足りないところを修正しながら目標に到達したいと思います」と選手を鼓舞したが……。その不安を払拭出来ぬままで、本番を迎えることとなった。
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韓国にリードを許す展開が続いた5日の試合は、第4Qの残り48.5秒で同点に追いつき、一時は逆転したものの終了間際にフリースローを奪われて勝ち越しを許した。©JBA
「(敗れた対韓国1戦目の)前半はチームとして一体感に欠けている部分があった」と富永啓生が振り返った試合は、代表メンバー選考を兼ねた1戦だったことや、八村塁と渡邊雄太が出場しなかったことを差し引いても、さまざまな課題が露呈した。
特に顕著だったのが、3Pとリバウンドだ。この日はなった35本の3Pシュートのうち、成功は11本。シュートの決定率とリバウンドの奪取に改善の余地が見られた。
身長やフィジカルで劣る日本代表は、昨季のW杯と同様に速いテンポと3Pシュートで活路を見出したいところだが……。
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韓国戦での敗戦を「あってはならない試合」と評した河村勇輝は、相手に第3クォーターまでに20点差(52-72)をつけられる厳しい展開の中、終盤の第4クォーター1人で16得点をマークし、チームの追い上げを支えたが……。健闘も僅かに及ばず84-85での敗戦に「この試合から学ばなければ本当に無駄になってしまう」と本番に向けて危機感を覗かせた。
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初戦で2本の3Pシュートを含む11得点を挙げた比江島慎は「フィジカルだったりは完全に向こう(韓国)が上回っていたし、こんな試合内容ではオリンピックではまず勝てない。あり得ない試合をしてしまったと思う。シューティングから本当に良くて、ほかのシュートに関しても入ったかなという感覚がありましたが、後半に決め切れなかった」と反省しきり。思うように結果が出せなかった理由については、「ディフェンスで流れをつかむチームなのに、良いディフェンスから(相手チームを)崩して繋げることができなかったと思う」と分析。「まだまだ時間があるので修正していきたい」とリベンジを誓った。
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思うような結果が残せていない日本代表は、パリ五輪で格上との対戦を控えているが……。厳しい状況の中、あえて明るい材料はホーバスジャパンに初招集の八村塁(レイカーズ)と、怪我から復帰の渡邊雄太の存在だろう。
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セルビア戦では3桁失点(100-119)と課題が残ったが、攻撃面では八村が5本の3Pシュートを決め、日本の3P成功率を46%に引き上げた。チームと共に戦った時間が少ない点は懸念されるが、日本チームの“補強”には頼もしい存在だ。
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そして、左ふくらはぎの負傷の影響が心配された渡邊雄太もセルビア戦で先発に復帰。全治8週間の怪我を「オリンピック前に死ぬ気で治す」と話していた思いを爆発させたかのように約15分の出場で10得点を奪い、存在感を見せた。本番の直前に役者が揃った男子バスケットボール日本代表は、7月27日のドイツ戦に初陣を迎える。いずれも世界ランキングでは日本を上回る“難敵”揃いのグループリーグだが、「史上最強」と呼び声高いチームはどのような戦いを見せてくれるのだろうか?
7月30日:フランス(FIBAランキング9位)
8月2日:ブラジル(FIBAランキング12位)
【パリ五輪男子日本代表ロスター】
2 . 富樫勇樹 (PG) 167cm/69kg 千葉ジェッツ
4 .ジェイコブス晶 (SF) 203㎝/101kg ハワイ大
5. 河村勇輝 (PG) 172㎝/75kg 横浜ビー・コルセアーズ
6 .比江島慎(SF) 191㎝/88kg 宇都宮ブレックス
12.渡邊雄太(SF) 195㎝/90kg メンフィス・グリズリーズ(NBA)