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長距離ランナーの御託・藤原新Vol.8 グラウンド編「モレリア2はコスト重視の走りができる」

ロンドン五輪のマラソン日本代表、藤原新選手が選ぶ「10㎞走っても疲れないスパイク」。今回トライするのはミズノの『モレリア2』。多くの選手が愛用する、名品の評価はいかに…?

Icon kaneko 金子 達仁 | 2016/12/28
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――続いてはミズノのモレリア2について、お願いします。  

藤原走ってみて思ったんですけど、プーマのパラメヒコ、アディダスのパティーク・グローロ、アンダーアーマーのクラッチフィットと履いてきて、これだけ味が全然違うんですよ。  

――味が違う?

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藤原ベロの形状のせいなのかもしれませんけど、このスパイクだけ、圧倒的に長距離クルージング用っていうか。  

――長距離クルージングとは?  

藤原サッカーって、ダッシュをしなきゃいけない場面と同じぐらい、あるいはそれ以上に、巡行速度での移動っていうか、スプリントしなきゃいけないポジションに移動するためのランニングもあるじゃないですか。  

――はい。  

藤原さっき履いたアンダーアーマーのクラッチフィットは、スプリントをするには申し分ないんだけど、そこに移動するまでのランニングがストレスになるんじゃないか。そんな気がしたんです。でもモレリア2はランナー的な物言いをさせてもらうと、コスト重視の走りができそうで。  

――コスト重視の走り、ですか。

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藤原要は、A地点からB地点に移動するために必要なエネルギーが少なくて済むってことです。つまりは疲れにくいってこと。サッカーの場合、結果的に無駄になってしまうランニングも多いでしょうから、そこでのエネルギー消費を最小限にするのって、結構大事だと思うんですけど。  

――もちろん大事です。ただ、サッカーをやっている人間で、ランニングの際のエネルギー消費を最小限にするという発想は、ほぼ誰にもないと思います(笑)。それよりも、もっと走れるようにしなきゃと考えるばっかりで。  

藤原走り方次第で、エネルギーの使い方ってずいぶん変わってくるんですけどね。それこそ、走りながら休むこともできるようになりますし。  

――以前からおっしゃっていましたよね。歩くより走る方がラクだとか、身体が空中にあるコンマ何秒間は休むことができるとかって。  

藤原そうなんですよ。地面との戦いという観点からすると『歩き』というのは、ずっと力を入れていなければならない移動方法なんですけど、『走り』の場合は、ゼロになっても移動できている瞬間がある。それが空中にある時なんです。  

――わかったような、わからないような(笑)

  藤原イメージしてもらいやすいのは自転車かな。自転車を漕ぐ時、常に力を入れ続けているわけではないですよね。片足が踏み込んでいる時、もう一方の足は休めています。水泳にしてもそう。力を入れて水を掻いている瞬間と、そうでない瞬間がある。でも歩くという作業には、そういう瞬間がないんですよ。休む瞬間がある移動方法と、ない移動方法。エネルギー効率、時間の効率を考えると、どちらがラクかはわかっていただけますよね。  

――おお、やっとわかってきた気がします。で、このモレリア2はそうしたランニングに適していると?

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藤原そう思います。これだけアッパーがしなやかだと、走っているうちに足に食い込んでくる心配をしなくてよさそう。一番大きいのは、このスパイクがスピードの出る『踵(かかと)着地』がしやすい形状をしているってことかな。  

――スピードの出る踵着地?

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藤原走法には大まかにいうと爪先着地と踵着地があって、爪先着地といえどもスプリント・オンリーではないし、踵着地=ゆっくり走ると決めつけられないところもあるんですけど、マラソンランナー藤原新としては、スピードの出るタイプの踵着地が自分の走り方なわけです。で、このモレリア2だと、意識しなくても普段の自分の走り方ができる。シューズのタイプとしては、アンダーアーマーと対極にある一足かな、と。  

――なるほど。  

藤原爪先走りがダメだってわけじゃないんですよ。ぼくみたいなタイプのランナーにとってはあまり必要ないというか、それこそ前を走っているランナーが転んだとき、それを避ける時に必要なぐらいで。あ、ぼく、それも割と得意なんですけどね(笑)  

<vol.9に続く> 1月4日公開予定