
【J1第10節】浮上のきっかけをつかむのはどちらか―新潟と横浜FC激闘の90分
2025年4月13日、デンカビッグスワンスタジアムでアルビレックス新潟 vs 横浜FCが行われた。現在20位と最下位に沈む新潟は、前節の神戸戦で球際と切り替えの強度を高め、惜しみないハードワークを発揮して待望の今季初勝利を挙げたばかり。現在11位の横浜FCとの勝ち点差は3で、今節勝てば肩を並べられるチャンスでもある。ホーム初勝利と今季初の連勝を懸けた一戦で、新潟はどのような戦いを見せたのか。※トップ画像出典/Pixabay(トップ画像はイメージです)

新潟は白星メンバー継続、横浜FCは1人を変えて挑む
ホームの新潟は、今季初白星を挙げた前節と同じ11人をスタメンに起用。フォーメーションは4-4-2で、センターバックにはオーストラリア代表のDFジェイソン・ゲリアと大卒ルーキーのDF稲村隼翔を配置。前線にはFW小野裕二、トップ下にはチーム最多の4得点を挙げているFW長谷川元希が入った。対する横浜FCは、前節・清水戦から1人を入れ替え、DF鈴木準弥が5試合ぶりに先発出場し、右ウィングバックに入った。フォーメーションは3-4-2-1で、こちらも今季初の連勝を狙う。
新潟が主導権を握るも両者譲らず
試合序盤はホームの新潟がボールを保持し、主導権を握る。前半17分には、稲村の縦パスを起点に一気に仕掛けた。小野が長谷川へワンタッチパスを送り、長谷川が右へ展開。これをMF藤原奏哉が受けて、クロスを供給したが、ゴール前に詰めていた2人の前にMFユーリ・ララが懸命に戻ってクリアした。その後も新潟のペースが続き、20分が経過した時点でのボール支配率は新潟71%、横浜FC29%と圧倒的な差が付いた。23分には素早いカウンターから、FW谷口海斗がドリブルで持ち上がり、DFの間を通すスルーパス。それを受けた長谷川が角度のない位置からシュートを放つも、ゴール枠を外れた。27分には谷口が振り向きざまに強烈なミドルシュートを放つも、GK市川暉記にキャッチされる。
苦しい状況が続く横浜FCは、セットプレーからチャンスを狙う。36分、鈴木準弥のFKにFW鈴木武蔵がヘディングで合わせようとしたが、GK藤田和輝が競り合いながらなんとかクリア。こぼれ球にララが詰めたが、藤田がキャッチして得点を許さなかった。新潟は41分、背後を突いたFW小見 洋太にロングパスが渡り、絶好のチャンスを迎えるも、ループシュートはゴール上へ外れる。前半終了間際の43分には、横浜FCが市川のロングキックからDF福森晃斗が競り勝ち、DF伊藤槙人が絶妙なクロスを供給。FW山田康太がヘディングで狙うも、ゴールとはならず。両チームともにチャンスを作りながらも決めきれず、前半はスコアレスで折り返す。
新潟が攻勢も、横浜FCの堅守が光る展開に
後半も新潟が引き続きボールを保持。60分にはMF星雄次が左サイドから切り込み、ミドルシュートを放つもゴール左へと逸れる。このサイドからの攻撃を警戒して、横浜FCはFW駒沢直哉とMF山根永遠を投入し、前線から守備の強化を図った。76分には、途中交代したばかりのMF新井瑞希が得意のドリブルからカットインしてシュートを放ったが、藤田にキャッチされる。両チーム交代枠を使いながらゴールを目指すものの、なかなか1点が遠い。こう着状態が続くなか、後半終了間際の90分、新潟にビッグチャンスが訪れる。稲村の縦パスをMF笠井佳祐がワンタッチで落とすと、MF奥村仁がドリブルで駆け上ってクロスを供給。ゴール前で小見が粘りFW矢村健にパスをつなぐと、ワントラップからシュートを放ちゴールネットを揺らす。しかし、これはハンドの判定で幻のゴールに。アディショナルタイムまで攻撃を続けた新潟だったが、横浜FCの堅守を崩しきれず、スコアレスドローで試合終了となった。
それぞれの持ち味が交錯、今後への兆しが見えた一戦
新潟はボール保持で主導権を握り、前線の谷口や長谷川を軸に多彩な攻撃を展開。稲村や奥村の縦パスで幾度も好機を作ったが、フィニッシュの精度が課題として残った。一方の横浜FCは、藤田の好セーブやララ、福森の献身的な対応もあり、守備の精度が高く最後まで粘り強くゴールを許さなかった。得点には至らなかったものの、途中出場の選手たちもインパクトを残した。両チームとも連勝とはならなかったが、総力戦で勝ち点1をつかみ取った。この結果、新潟は19位に浮上し、横浜FCは順位を一つ下げて15位に。それぞれの持ち味と今後に向けた課題が明確になった試合となり、浮上のきっかけをつかむ一戦となった。
DAZN「明治安田J1リーグハイライト新潟 vs 横浜FC:第10節」(2025年4月13日)より
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