日本人初!プロのホぺイロになった松浦紀典が語る物への矜持 Vol.9「スパイクの磨き方を教えます!」
日本人初のプロのホぺイロとして東京ヴェルディや名古屋グランパスなどで25年に渡り活躍してきた松浦紀典さん。物への矜持や印象に残っている選手のこだわりなどについて約8時間に渡り聞いてきました。Vol9.では成功する選手としない選手の差や、実際に私が使用しているスパイクを磨いてもらいながら磨き方の秘訣を教えてもらいました。
菊池 康平
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2017/07/25
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――成功する選手としない選手の差は何だと思いますか?松浦さんはいろんな選手と接してきているので聞いてみたいです。
松浦:これは子供達にも機会があったら伝えているんですけども、物を大切にする選手は成功しています。代表にも入っていますし、やはりスパイクって自分の体の一部になる大事なアイテムなので、そういう物を大切にするっていうのは自分の体も大切にしてるし、サッカーができる環境とかも大切にするので。
――物を大切にすることは全部に繋がっているんですね。
松浦:そうですね、物を大切にする選手は成功します。
――そういう選手は人も大切にしているんでしょうね。
松浦:そうですね、あと感謝の気持ちっていうのは絶対に持っているので、それは物に対してもサッカーを提供してくれる場所とか環境とかそういうことに対しても、感謝の気持ちを持っている選手が成功していますね。
逆に代表選手でも物にあたる選手はいる訳ですよ。クーラーボックスをガーンって蹴飛ばして凹んだりするんですよ。
失敗してその興奮している選手に何を言ってもダメなので、落ち着いた時に「これさ、この前に試合で蹴ったけど、どう?これ蹴って勝てるなら毎回蹴っていいよ」って言って。「そんなことないです、すみません」みたいな。
そこで人としても成長してもらえますし、そういう所が教育ではないですけど、人生の先輩として何か伝えられるかなっていう思いがあります。
――20年に渡り選手と接してこられて、選手のメンタリティって変わってきましたか?ジェネレーションギャップなど、世代によって全然考え方などが違うじゃないですか?
松浦:世代の違いっていうのはありますよね。名前は出せないんですけどJリーグが始まった頃だと調子の悪い選手に対して監督さんが「そんなんじゃもう帰れ!」と檄を飛ばすと「もう1度やらせて下さい!」って選手は応えてましたが、ある年を境に指導者が同様に「そんなんじゃ帰れ!」って檄を飛ばしたら本当に帰っちゃうんですよ!
――同様なことは会社などでもあるみたいですね。
松浦:監督がJリーグの試合の時にハーフタイムに檄を飛ばして、調子が悪い選手に「そんなんじゃダメだからお前帰れ!交代だよ」って言ったらハーフタイム中にシャワー浴びてロッカーから出ちゃったんですよ。
私は選手達を送り出さなきゃいけないのですが、監督に呼ばれて「まっちゃん、あの選手どうなったか見てきて」って言われて、電話して探しました。
選手を見つけて話すと「タクシーが全然来ないんですよ」とか言っていて。
「落ち着いて聞いて。監督は奮起して欲しいから言ったんだよ!」って言うと「いや、でも帰れと言われたから僕帰ります!」と。
「それじゃダメだから試合が終わるまでいよう」って言いましたが、時代は変わったんだなってその時に思いましたね。
「監督に言われたから、監督の指示通りに動いているだけで何が悪いんですか!」みたいな風に選手から言われましてね(笑)
――物に対するこだわりってどうですか?
松浦:どの年代にもこだわりがある選手ももちろんいます。「これじゃなきゃダメだ!」という選手が少なくなってきたと同時に企業努力というか時代の流れもあり、スパイクもどんどん良いものが出てきてるので、そこまでこだわらなくても意外と履けちゃうっていうのもあるんですよね。
――なんか嬉しいような寂しいような気もしますね。物を大事にする話が先ほどありましたが、実際にスパイクを磨く時に子供達は磨く道具を揃えてないじゃないですか。雑巾で拭いたらいいよとか身近にあるような物で代用できる物ってありますかね?
松浦:ありますよ!雑巾も十分使えますよ。これはメンテナスキッドで私とミズノの共同開発で作ったんですけど、これがあれば全部できるっていうふうになっているんですよ!
毎日のケアが簡単にできる様に。それをコンセプトに各ケア用品に番号がついています。これが01とか、ブラシが04とか。
――付いている番号は磨く順番なんですね。
松浦:はい。順番通り使っていくとプロと同じようなケアが毎日お手軽に出来ますよっていうものです。
――磨き方のアドバイスとかって何かありますか?言葉で伝えるのは難しいと思いますが。
松浦:付いた汚れは全部取る。私が学生達に「サッカーをして終わったら何するの?」って良く聞くんですよ。
「家帰ったら何するー?」って聞くと「うがい、手洗い、宿題とか」色々あるんですけど「着てたウエアどうする?」って聞くと「洗濯!」、「では体は?」と聞くと「お風呂入って綺麗になる!」と。
「じゃあスパイクは?」って聞くと「あっ!」みたいな。
――なるほど、スパイクだけケアを忘れるんですね。
松浦:スパイクだけ忘れるんですよ。ウエアは洗濯して綺麗になります、汚れた体はシャワーで綺麗になります、一緒にプレーした靴はどうするの?って言ったら、「じゃあ磨こうか」ってそこから入るんですよ。
――スパイクも汗をかいているということですね!
松浦:そうなんですよ。
――そして乾かす。
松浦:はい、1度着用するれば汚れは絶対に付着するので、例えば5分だけ選手が着用しても私がケアをするんです。5分だからいいよって言うんですけど、1回着用したら汚れはついちゃうからということで。
必ず使ったらまず汚れは取ります。次に絶対に濡れるので乾燥させます。最後にクリームなどで栄養を与えて休ませますっていう工程をするんですよね。
よくみんなピンと来ないんですけど、イメージは女性の洗顔と一緒なんですよ。男性もそうですけど1日活動して汚れました、洗顔しますよね?
そのままだと突っ張っちゃたりするじゃないですか?それを化粧水とか乳液で整えますよね?それと同じ様に汚れを取って乾かして、しっかり栄養を与えるっていうのを靴にも行います。
――洗顔だけしかしていない自身が恥ずかしくなってきました(笑)
松浦:このキットにはしっかりタオルも入っているので雑巾でも良いですし、ハンドタオルでも良いので、まずは汚れを取ることが大事です。お店にあるお絞りとかでも良いので。
いきなりクリーナーからされちゃう方もいるんですけど、クリーナーは確かに汚れも落ちるんですけど、革に与えといた栄養分も一緒に取ってしまうんですよ。
クリーナーで拭いて終わりだと洗顔したままなんです。結局突っ張ったりカサカサになったりしますよね。それだと靴にも良くないので。
ただクリーナーが悪いって訳じゃないんですけど、せっかく与えている栄養分も全て取っちゃうのでクリーナーは僕はほとんど使わないです。
クリーナーでしか取れない汚れもあるので、さっきの菊池さんのスパイクのように人工芝が裏についてますよね?あれは濡れ雑巾で落とせるのもありますし、落ちないのはクリーナーでやらないと落ちないんです。
――実際に私が履いているスパイクを持参したので磨いて貰ってもいいですか?
スパイク手入れ動画は、こちらをご覧ください。
――磨く前と磨いた後は全く違いますね。個人的に大事に使ってきたはずだったんですが反省です。これを機にスパイクも物ももっと大事に扱っていきます。
長時間に渡りありがとうございました。
松浦紀典さんのオフィシャルブログ
http://blog.livedoor.jp/roupeiro_matsu/
取材協力/株式会社ミズノ
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――成功する選手としない選手の差は何だと思いますか?松浦さんはいろんな選手と接してきているので聞いてみたいです。
松浦:これは子供達にも機会があったら伝えているんですけども、物を大切にする選手は成功しています。代表にも入っていますし、やはりスパイクって自分の体の一部になる大事なアイテムなので、そういう物を大切にするっていうのは自分の体も大切にしてるし、サッカーができる環境とかも大切にするので。
――物を大切にすることは全部に繋がっているんですね。
松浦:そうですね、物を大切にする選手は成功します。
――そういう選手は人も大切にしているんでしょうね。
松浦:そうですね、あと感謝の気持ちっていうのは絶対に持っているので、それは物に対してもサッカーを提供してくれる場所とか環境とかそういうことに対しても、感謝の気持ちを持っている選手が成功していますね。
逆に代表選手でも物にあたる選手はいる訳ですよ。クーラーボックスをガーンって蹴飛ばして凹んだりするんですよ。
失敗してその興奮している選手に何を言ってもダメなので、落ち着いた時に「これさ、この前に試合で蹴ったけど、どう?これ蹴って勝てるなら毎回蹴っていいよ」って言って。「そんなことないです、すみません」みたいな。
そこで人としても成長してもらえますし、そういう所が教育ではないですけど、人生の先輩として何か伝えられるかなっていう思いがあります。
――20年に渡り選手と接してこられて、選手のメンタリティって変わってきましたか?ジェネレーションギャップなど、世代によって全然考え方などが違うじゃないですか?
松浦:世代の違いっていうのはありますよね。名前は出せないんですけどJリーグが始まった頃だと調子の悪い選手に対して監督さんが「そんなんじゃもう帰れ!」と檄を飛ばすと「もう1度やらせて下さい!」って選手は応えてましたが、ある年を境に指導者が同様に「そんなんじゃ帰れ!」って檄を飛ばしたら本当に帰っちゃうんですよ!
――同様なことは会社などでもあるみたいですね。
松浦:監督がJリーグの試合の時にハーフタイムに檄を飛ばして、調子が悪い選手に「そんなんじゃダメだからお前帰れ!交代だよ」って言ったらハーフタイム中にシャワー浴びてロッカーから出ちゃったんですよ。
私は選手達を送り出さなきゃいけないのですが、監督に呼ばれて「まっちゃん、あの選手どうなったか見てきて」って言われて、電話して探しました。
選手を見つけて話すと「タクシーが全然来ないんですよ」とか言っていて。
「落ち着いて聞いて。監督は奮起して欲しいから言ったんだよ!」って言うと「いや、でも帰れと言われたから僕帰ります!」と。
「それじゃダメだから試合が終わるまでいよう」って言いましたが、時代は変わったんだなってその時に思いましたね。
「監督に言われたから、監督の指示通りに動いているだけで何が悪いんですか!」みたいな風に選手から言われましてね(笑)
――物に対するこだわりってどうですか?
松浦:どの年代にもこだわりがある選手ももちろんいます。「これじゃなきゃダメだ!」という選手が少なくなってきたと同時に企業努力というか時代の流れもあり、スパイクもどんどん良いものが出てきてるので、そこまでこだわらなくても意外と履けちゃうっていうのもあるんですよね。
――なんか嬉しいような寂しいような気もしますね。物を大事にする話が先ほどありましたが、実際にスパイクを磨く時に子供達は磨く道具を揃えてないじゃないですか。雑巾で拭いたらいいよとか身近にあるような物で代用できる物ってありますかね?
松浦:ありますよ!雑巾も十分使えますよ。これはメンテナスキッドで私とミズノの共同開発で作ったんですけど、これがあれば全部できるっていうふうになっているんですよ!
毎日のケアが簡単にできる様に。それをコンセプトに各ケア用品に番号がついています。これが01とか、ブラシが04とか。
――付いている番号は磨く順番なんですね。
松浦:はい。順番通り使っていくとプロと同じようなケアが毎日お手軽に出来ますよっていうものです。
――磨き方のアドバイスとかって何かありますか?言葉で伝えるのは難しいと思いますが。
松浦:付いた汚れは全部取る。私が学生達に「サッカーをして終わったら何するの?」って良く聞くんですよ。
「家帰ったら何するー?」って聞くと「うがい、手洗い、宿題とか」色々あるんですけど「着てたウエアどうする?」って聞くと「洗濯!」、「では体は?」と聞くと「お風呂入って綺麗になる!」と。
「じゃあスパイクは?」って聞くと「あっ!」みたいな。
――なるほど、スパイクだけケアを忘れるんですね。
松浦:スパイクだけ忘れるんですよ。ウエアは洗濯して綺麗になります、汚れた体はシャワーで綺麗になります、一緒にプレーした靴はどうするの?って言ったら、「じゃあ磨こうか」ってそこから入るんですよ。
――スパイクも汗をかいているということですね!
松浦:そうなんですよ。
――そして乾かす。
松浦:はい、1度着用するれば汚れは絶対に付着するので、例えば5分だけ選手が着用しても私がケアをするんです。5分だからいいよって言うんですけど、1回着用したら汚れはついちゃうからということで。
必ず使ったらまず汚れは取ります。次に絶対に濡れるので乾燥させます。最後にクリームなどで栄養を与えて休ませますっていう工程をするんですよね。
よくみんなピンと来ないんですけど、イメージは女性の洗顔と一緒なんですよ。男性もそうですけど1日活動して汚れました、洗顔しますよね?
そのままだと突っ張っちゃたりするじゃないですか?それを化粧水とか乳液で整えますよね?それと同じ様に汚れを取って乾かして、しっかり栄養を与えるっていうのを靴にも行います。
――洗顔だけしかしていない自身が恥ずかしくなってきました(笑)
松浦:このキットにはしっかりタオルも入っているので雑巾でも良いですし、ハンドタオルでも良いので、まずは汚れを取ることが大事です。お店にあるお絞りとかでも良いので。
いきなりクリーナーからされちゃう方もいるんですけど、クリーナーは確かに汚れも落ちるんですけど、革に与えといた栄養分も一緒に取ってしまうんですよ。
クリーナーで拭いて終わりだと洗顔したままなんです。結局突っ張ったりカサカサになったりしますよね。それだと靴にも良くないので。
ただクリーナーが悪いって訳じゃないんですけど、せっかく与えている栄養分も全て取っちゃうのでクリーナーは僕はほとんど使わないです。
クリーナーでしか取れない汚れもあるので、さっきの菊池さんのスパイクのように人工芝が裏についてますよね?あれは濡れ雑巾で落とせるのもありますし、落ちないのはクリーナーでやらないと落ちないんです。
――実際に私が履いているスパイクを持参したので磨いて貰ってもいいですか?
スパイク手入れ動画は、こちらをご覧ください。
――磨く前と磨いた後は全く違いますね。個人的に大事に使ってきたはずだったんですが反省です。これを機にスパイクも物ももっと大事に扱っていきます。
長時間に渡りありがとうございました。
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取材協力/株式会社ミズノ