上野裕一郎の走ることへのこだわり「Vol.3長距離選手のメンタルとは」
横浜DeNAランニングクラブに所属している上野裕一郎選手。トレードマークであるサングラスと華のある走りで有名な選手だ。今話ではトレーニングの1日の流れや、走る際のメンタルについて聞きました。
菊池 康平
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2017/12/04
上野 若い頃はストレッチなどもあまりするほうではなかったんですけど、今はトレーナーさんについてもらって若い頃にやらなかった腹筋、背筋以外の筋トレを覚えて徹底的にやっています。
やっぱりそういうのは大事だなって思います。若い頃は何もしなくてもイメージ通りに走れるから余計なことをしたくなくて、今やっている最低限のことで充分だろうと思い終わってしまうんですけど、その当時に今やっているトレーニングをやっていたら、もっと速かったんじゃないかなと感じます。
そこは悔いが残りますが、そのトレーニングをこの年齢になってでも覚えられたことは凄く良いことだと思います。今は怪我の状態もジョギングが出来るぐらいまでは戻ってきたんですけど、本格的な走る練習が出来るまでまだ時間がかかるので。
徹底的に筋力を鍛える時期と決めて、月曜日から土曜日までトレーニング施設に昼から夜までこもってトレーニングしています。
徹底的に筋力を鍛える時期と決めて、月曜日から土曜日までトレーニング施設に昼から夜までこもってトレーニングしています。
ーーほぼ毎日がトレーニングですね。
上野 普通に走れている時は基本的に朝練して、午前か午後にメイン練習をして、空いた時間にウェイトトレーニングしたり、治療に行って体のメンテナンスをしたり色々するんです。
怪我をしている時は体のケアをしたり、心肺機能が落ちないようにバイクを使って低酸素運動をしたり、プールに入ったり、ランニングが出来るようになったらそこにランニングが入ってきたりします。
怪我をしている時は体のケアをしたり、心肺機能が落ちないようにバイクを使って低酸素運動をしたり、プールに入ったり、ランニングが出来るようになったらそこにランニングが入ってきたりします。
ひとつの項目を1時間行うとしたら最低でも6~7時間やることになるんです。それを月曜日から土曜日までやっているので、むしろ怪我をしていない時よりも怪我をしている時のほうの時間の使い方が大切なんじゃないかなと思います。
怪我がなく走れている時は走ることに集中してしまいますし、実際走れているので、これが今いい状態なんだと思ってしまいがちなんですか、怪我をしていざウェイトを始めたりすると、物凄く筋肉痛になったりして、走れている時でもウェイトをやらないとダメだなという思いになります。
ーー練習以外のメンタルの話も聞かせてください。特にメンタルトレーナーを付けたりはしていないんですか?
上野 特に付けてはいないです。どこを強くしていかないといけないとかは、自分で見つけて自分で強化することのほうが大切だと考えてます。他人に言われて何かをやるのは好きではないし、自分で見つけて徹底的に強くなろうと妥協せずに故障期間を乗り切らないとダメだと思うんです。
でも、日曜日以外の週6のトレーニングを1ヵ月続けるのは難しいから、あらかじめ日曜日以外のオフを決めて、そこまでは徹底的にトレーニングを続ける。そこもメンタルの強さがないと続かないと思っています。
ーーやりきるメンタルっていうことですね。
上野 走っている時もメンタルが重要で、横浜DeNAランニングクラブの国近(友昭)監督はそういうところを気にしてくださっていて、身体面だけでなくメンタルの部分でもいい状態に持っていってもらえてます。
僕は考え過ぎてしまう傾向があるので、練習でもやれば出来るのに自らリミッターを付けて、出来なくしてしまっていることがあるので、そこの部分を国近監督には助けてもらっています。
個人的には長距離選手はメンタルが大事だと思っていて、どんなに練習で出来ていても試合の際にメンタルが弱いとプレッシャーに負けて、いつもの力が発揮できないとか、練習で良くて試合がダメっていう選手が多いと思うんですよ。 結局そこはメンタルが鍛えられていないからだと思います。
ーー逆に本番だけ滅法強い選手はいるんですか?
上野 いますけど、長距離の場合は練習がしっかり出来てないとダメですので。それがあってこそメンタルの強さも発揮できると思います。
ーー土台がしっかりしていないとダメということですね?
上野 一番わかりやすいのはプレッシャーのかかった試合では全くダメで、練習だからって出場した試合で自己ベストを出すのがそれですね。