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平昌五輪メダリストたちが語る、ファンへの感謝と新たな決意Vol.1【日本代表帰国報告会〜スキー選手編〜】

平昌五輪の日本代表選手団は2月27日、東京・六本木の東京ミッドタウンで一般観衆約5000人を集めて開催された帰国報告会に臨んだ。振り返れば、日本は今大会で金メダル4個を含む13個のメダルを獲得。1998年長野大会の10個を上回る、冬季五輪史上最多のメダル数となった。日本オリンピック委員会(JOC)は今大会の応援テーマを「冬を、燃やせ。とどけ!勇気2018」とし、選手たちを激励。その結果、日本は空前のメダルラッシュに沸き、一人ひとりの戦った姿は国民の心に深く刻まれた。今回は、そんな感動を与えてくれた選手たちのファンに対する感謝の言葉と、次なるステージへ向けたそれぞれの想いをお届けする。

Icon 1482131451808 佐藤 主祥 | 2018/03/08
「俺たちみんな、チーム、ニッポン!!熱くなってきたね。みんなこれから、こんな感じでいくよ!」

少し肌寒い六本木の東京ミッドタウン。平昌五輪の選手たちを一目見に集まったファンたちを、日本代表の応援団長・松岡修造さんが一際大きな声をあげ、会場を温めていた。

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この日は韓国から帰国した平昌五輪日本代表選手団が、10競技・種目別に分かれてステージに登壇し、2月9日から17日間行われた異国での戦いを、5000人のファンの前で報告する。

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日本代表選手団の前に、JOCの齋藤泰雄団長、山下泰裕副団長、伊藤秀仁総監督、そして日本代表選手団の主将を務めた小平奈緒選手、旗手の葛西紀明選手が登壇。

代表して前に立った小平選手は、燦然と輝くメダルを2つ首にかけながら、集まったファンに向けてメッセージを送った。

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「みなさん、平昌五輪では温かい声援を送っていただき、本当にありがとうございました。長野五輪を超えるメダル獲得数と入賞数ということなんですけれども、日本代表全員が全力を尽くし、戦い抜いた結果だと思っています。そして、この後の平昌パラリンピック、2020年東京五輪の選手たちに届くように、引き続きご声援よろしくお願いします。また、今回の平昌五輪をきっかけに、冬季スポーツにも興味を持っていただいて、たくさんの方々に会場に来ていただければいいなと思います。今回は本当にありがとうございました」

あいさつを終えた主将に続いて旗手の葛西選手は、開会式での感想を問われ、こう答えた。

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「このような大役を命ぜられまして、『選手にパワー届け!』と、全力で旗を振ってきました。結果として、本当にたくさんのメダルを取ることができましたし、みなさんの熱い声援のおかげでこういった素晴らしい成績につながったと思います。本当に良かったです」

葛西選手は日本勢最年長の45歳。メダル獲得は叶わなかったものの、五輪単独最多8度目の出場を果たし、レジェンドとして新たに伝説を残した。

4年後の北京五輪で50代を目前にした体でも、いつもと変わらずに飛ぶ姿をまた、見せてくれるはずだ。

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そして、いよいよ日本代表選手団が入場。

最初にスキー競技のクロスカントリー、ジャンプ、そしてフリースタイルの選手がステージに上がり、ファンから「待ってました」と言わんばかりの大声援と拍手で迎えられた。

まずはじめにインタビューに呼ばれたのは、スキージャンプ女子ノーマルヒル個人で自身初の銅メダルを獲得した、高梨沙羅選手。

五輪の感想や、悲願のメダルに対する想いを聞かれると、少し謙虚な、高梨選手らしい言葉が返ってきた。

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松岡:沙羅さんはメダルを取ってから先に日本へ戻られましたけど、どんな想いで他の選手の活躍を見ていたんですか?

高梨:自分の競技が終わった後から、テレビでずっと日本チームの活躍を見させていただいて、元気と感動をもらいました。なので、自分もそういう選手になっていきたいなと思いましたね。

松岡:なったじゃん。なれるようにじゃなくて、なったでしょ!?ソチ五輪での悔しい想いがあったから、ここまで来れたんですよ。沙羅さんは自分に勝ったんです。そんな今回の五輪、どうでした?

高梨:最後の最後で自分の中で楽しみながら飛べたので、思い出に残る試合になりました。でも目標の金メダルには届かなかったので、正直悔しい思いもあるんですけど、次の4年後に切り替えて頑張っていきたいと思います。

松岡:最後に、沙羅さんにとって、五輪はどのような場所ですか?

高梨:そうですね。特別な場所ですし、たくさんのことを学ばせてもらえました。本当に貴重な経験をさせていただきましたね。

松岡:僕らにとっても、沙羅さんは特別だ。ありがとうございます!


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悔しさを堪えながらも、今回の結果を前向きに捉え、既に4年後を見据えている高梨選手の姿が、そこにはあった。

ジャンプの男女を通じて歴代単独最多タイの通算53勝を挙げている高梨選手だが、平昌五輪前のシーズンではまさかの未勝利。そんな中でも彼女は表彰台に上り、4年前にはあと一歩届かなかったメダルを手にすることができた。

そのメダル授与式で見せた笑顔は、首にかけたメダル以上に輝いて見えた。

続いて呼ばれたのは、日本勢で第1号の銅メダルを獲得した、フリースタイル男子モーグルの原大智選手。

日本代表選手団に勢いをもたらしたのは、間違いなく彼だろう。

あどけない笑顔が印象的な20歳の青年は、松岡さんの問いに対し、当時の気持ちを素直に語った。

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松岡:いやぁ実は、僕は本当に申し訳ないことを原選手に言ってしまったんです。最初にメダルを取ったとき、「正直ほとんどの方がメダル取れるとは思ってなかった」って…。でもそれは多分、周りは正直な気持ちだったと思います。自分自身はどうでしたか?

:やはり成績がよくなかったので、それは当たり前だと思っていました。でも、自分の中では「絶対やってやろう!」っていう気持ちがありましたね。

松岡:ただ原選手は、「金メダルしか狙っていない」ということも言っていました。実際この色のメダルを見て、今はどんな気持ちでいるんですか?

:金メダルは欲しかったですけど、初めての表彰台が五輪っていう大きな舞台だったので、本当にメダルの色は関係なく嬉しかったです。

松岡:しかも男子モーグル界にっては初のメダル獲得だそうですよ。快挙です!これでさらに前に進んでいける、そんな想いがあるんじゃないですか?

:もう本当にこのまま突っ走っていけたらなと、そう思っています。

松岡:それに、これだけ歓迎されたことって人生で初めてだと思うんです。

:はい、本当にすごいなと思います。こんなにたくさんの方々が見に来てくれるっていうのは本当に嬉しいなって思いますね。みなさん、ありがとうございました。

松岡:もう原さんスマイル素晴らしい!メダルおめでとう!!

そしてスキー競技の最後に、クロスカントリーの石田正子選手がマイクを握った。

2006年のトリノ五輪から4大会連続出場を果たしている37歳は、全種目を通じて日本代表女子の最年長。葛西選手と共に日本のスキー界をここまで引っ張ってきた第一人者だ。

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松岡:クロスカントリースキー女子30キロメートルクラシカルは大会最終日の一番最後の競技でした。本当に頑張りましたよね。どんな五輪になりましたか?

石田:本当に最後の最後に30キロを滑ったので、日本選手団のためにもいい形で締められるような成績を出したいなと思ったいたんです。入賞には届かなかったんですけど、しっかり締められるような走りはできたと思うので、良かったです。

松岡:クロスカントリーは忍耐力が一番必要だなと思うんですよ。何でここまで頑張れるのか、その魅力をお伝え下さい。

石田:あの、自分で言うのもなんですけど、私こう見えて37歳なんですよね(笑)。それでも葛西さんにずっと付き従って長くやってこられたっていうのは、本当にクロスカントリースキーをやってたからだと思うんです。この競技をやってみれば結構、体型は引き締まるので、良かったら是非やってみてください。

松岡:もう葛西さんと共に永遠に五輪出続けてください。ありがとうございました!

<Vol.2はこちら>
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