打撃力を上げるための野球スパイク!ミズノ『グローバルエリート』『ミズノプロ』新入生向けスパイク『プライムバディー』とは。
100年以上にも渡り、日本野球界に数々の功績と歴史を刻んできたミズノ株式会社(代表取締役社長:水野明人) は、あらゆる野球製品を展開し続けている。今回は、野球選手にとって重要なアイテム「スパイク」の企画開発を担当している田林氏に、新スパイクの機能性等について話を伺ってみた。
佐久間秀実
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2018/04/13
ミズノは、多くのプロ野球選手や部活生から様々なヒアリングを繰り返しながらスパイク作りを進め、多くの野球人たちから強い信頼を得ている。 最先端の技術を駆使してスパイクを作り込む職人「クラフトマンシップ」の存在が、ミズノにとっての1番の強みだ。
ミズノ株式会社
グローバルフットウェアプロダクト本部
企画デザイン部 クリーツ企画課
田林正行氏
――野球スパイク市場の現状について
田林:現在、軽くて速く動きやすいシューズを求めている選手たちが非常に多いですね。市場では、こういった商品が溢れていまして、選手たちからすると、それらの違いが非常に分かりにくいということをミズノは認識しています。
このような傾向を踏まえ、野球・ミズノの強みを活かして、今までにはない新しいコンセプトのものを出すことができないかと模索し続けてきました。
――野球人が求めているもの
田林:ミズノは、一旦原点に戻りました。野球をこれから始める人たちや毎日野球をやっている人が、いったい何を求めているのかを徹底的に追求したのです。そこで我々は、次の3点について徹底的にフォーカスを当ててみたのです。
①選手は、どう上手くなりたいのか?
②選手は、何を実現したいのか?
③選手は、どうやって試合に勝ちたいのか?
――より遠くへ打ちたい
田林:野球でのプレーは、大まかに打撃・守備・走りの3つに分けられます。ミズノが選手たちに試合中どういったプレーをしたいのかを確認すると、半数以上の選手たちがチームに打撃で貢献したく、とにかく打つことが好きであるということだったんですよね。
私は野球をやってきましたが、振り返ってみると、バッティング練習がとにかく楽しかったという思い出があります。決して得意ではなかったですが、ボールを遠くへ飛ばすために、いつもチャレンジをしていました。これはバッターでしたら誰もが思うことでしょうし、スパイクの力で実現することができるのではないかと閃いたのです。
――新スパイクが誕生
田林:世の中には軽量スパイクばかりがあり、スパイクが打撃にどれだけの力を与えることができるのかを実証するのか非常に難しかったですね。ですが、ミズノだからこそ必ずできると信じ抜いて、プロ野球選手たちを中心にヒアリングを開始して、新たなスパイク開発に乗り出すようになったのです。
従来の金具のみが取り付けられたスパイクは、打撃のスイング時に金具がグランドの土に引っかかります。そうすると、バランスを崩してしまい動作が不自然となります。そこで、バッティングで踏み込んだ時に、金具が土を噛んでからの一連の動作をスムーズにさせることに趣を置くようになりました。
そして、サンプルを沢山作って選手たちに実際に履いて動いてもらうテストを繰り返した結果、金具とポイントを融合させたスパイク「ミズノプロ」と「グローバルエリート」を新たに開発することができました。
「ミズノプロ」
「グローバルエリート」
――特長について
田林:第一に立っている時の安定感が大事になります。しっかりと構えてからのスウィング動作なので、安定感を重視しています。次にスウィングで踏み込んだ時に足が止まり、必要なグリップ力に関しては、金具が土にグサっと突き刺さるようにしています。
それからバッドを後ろから前へ振り出す際に、つま先を回転させます。その動作をスムーズにさせるために、 金具ではなく接地面が大きいポイントを取り付けることにしました。
高校生のスパイクは黒で統一しなければならないというルールがあり、どのスパイクも同じように見えますが、ミズノは今までのものとは違い、インパクトを与えられるような外観にしました。
足入れの箇所もよりフィットするように一体化しています。
「プライムバディー」
――「プライムバディー」について
田林:主なターゲットは、小学校を卒業して初めて金具のポイントスパイクを履き始める中学1年生たちとなります。中学生になると年齢の変化とともに大人に仲間入りするという心境の変化もあります。また、環境が変わり新しいメンバーと野球をするようになり、グランドも広くなって動きや守備など求められる質が高くなります。
――特長について
田林:動きの中で選手に力を与えることができるようにしています。
ソールは、足に負担がかかりにくくしています。練習時間が長いので、大きなポイントが足への負担を軽減します。
アッパーを新しくし、より動きやすく馴染みが出るような柔らかさを実現しました。
――今後の展望について
田林:時代が変わればプレースタイルも変わりますから、選手へのヒアリングをし続けることが大切になってきています。
私は、金具のスパイクを初めて履いて、土に刺ささった瞬間に感動したあの日の記憶が今でも鮮明に残っています。
色々チャレンジできる環境にありますので、非常にやり甲斐を感じています。これからも、選手にとって何が1番大切なのかを考えながら開発に取り組んでいきます。 (了)
ミズノ野球
https://www.mizuno.jp/baseball/
取材協力/ミズノ株式会社
写真提供/ミズノ株式会社
取材写真/佐久間秀実