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2020 東京五輪注目競技! 7 人制ラグビーって、どんなスポーツ? 「究極の鬼ごっこ」

2019 年、自国開催のワールドカップでベスト 8 進出の快挙を成し遂げた、ラグビー日本代表。チームスローガンの「ONE TEAM」が2019年の流行語大賞に選ばれ、巷に「にわかファン」があふれるなど、日本はかつてないラグビー熱に包まれています。来る夏に開催される東京オリンピックでは、7 月 27 日から 8 月 1 日にかけての 6 日間、もう 1 つのラグビー「7 人制ラグビー」が行われます。一般には馴染みの薄いこの競技。その日本代表として最多出場記録を持つ、「ミスターセブンズ」坂井克行選手に、その見どころを語って頂き ました。

Icon     白鳥純一 | 2020/03/11
――まず、坂井選手ご自身の競技歴を教えて下さい。

ラグビーを始めたのは、高校生の時でした。中学までサッカーをやっていたのですが、そこで挫折しました。サッカーで全国大会に出場したかったのですが、僕の実力では、地元三重県トップの実力校である四日市中央工業高校に行っても、レギュラーになれないと思いました。

でも、人生の中で、思い出として全国大会に出たい、1 勝ぐらいしてみたいとも思っていました。そこで選んだのがラグビーです。

三重県では、ほぼ全員が高校からラグビーを始めます。実際、中学までサッカーで万年ベンチだった兄ですら、高校からラグビ ーを始め、レギュラーになりました。そこで、「これならいけるんじゃないか?」と思ったのがきっかけでした。

――7 人制ラグビー日本代表となった経緯について教えて下さい。

毎年春、YCAC(YOKOHAMA COUNTRY & ATHLETIC CLUB)という、横浜のクラブ が、7 人制の大会を開催しています。その大会に、大学 4 年生の時に出場しました。

2010 年のことですが、その時、当時 7 人制日本代表の監督だった村田亙さんから、代表の合宿 に参加してくれないかと声をかけられたのが最初の切っ掛けです。

それ以前は、遊びや、 部内マッチのような形や、15 人制の練習の一環としてやったことがあるという程度で、本格的に取り組んだことはありませんでした。

――代表に声をかけられた時の感想は?

「……まさか……」、本当にそんな感じでした。
その前年の 2009 年に、2016 年のオリンピ ック競技として採用されることが決定していたので、もしかしたらオリンピアンになれるのではないかとも思いました。

漠然としたイメージしか浮かんできませんでしたが、「まさ か」と思うのと同時に、オリンピックを想像したことを、今でも覚えています。

――15 人制と 7 人制の違いについて教えて下さい。

基本的なこととして、15 人制と同じ広さのフィールド(※通常は 100m×70m)を使い、1 チーム 7 人でプレーします。ほぼルール同じです。試合は 7 分ハーフで行われます。前半 7 分、ハーフタイム 2 分、後半 7 分です。スクラムや、選手同士のぶつかり合いは、ラグビーの魅力だと思います。

ですが、7 人制の魅力で、15 人制との大きく違うのは、相手との抜きあいが多く、ゲームのスピードが速いことだと思います。それでいて、15 人制ラグビーの魅力である、ぶつかりあいの要素も兼ね備えています。「究極の鬼ごっこ」、これがセブンズラグビーです。
 
――15 人制と同じ広さのフィールドを、少ない人数で使う。かなりきつそうです。

初めてやった時は、地獄の 7 分間だと思いました(笑)。ある程度プレーが続き、笛がなっ て時計を見たら、「まだ 3 分しか経っていないのか!」と。

もう 7 分を超えたぐらいの感覚なのに、まだ半分も経過していませんでした。それなのに、もう自分はバテバテ。「こんなスポーツがあるのか!?」と思いました。
 
――特にハードなのは、どういったところでしょう?

15 人制の場合、トップスピードで走る距離は意外と短く、大半の場合、長くても 20m から 30mぐらいだと思います。ですが、セブンズの場合、それは最低距離であって、60m や 70m 走る時もあります。15 人制で走る倍の距離を、しかも、より速いスピードで走ります。

15 人制の場合だと、6 割、7 割のスピードで走ることが多いですが、セブンズでは 8 割 9 割、 場合によってはトップスピードでその距離を走らなければなりません。まさに地獄の 7 分 間となるわけです。
 
――選手の特性も違ってきますね。

15 人制では、お相撲さんに近い体型の選手もチームに何人かいますが、7 人制には、細身で足が速く、体力のある選手が適しています。身長の高い選手が向いているポジションもあります。

――ご自身は、最初から 7 人制向きだったのでしょうか? それとも、プレーを続ける中で、 変わっていったのでしょうか?

元々、人を抜いたり、ちょこまか動いてディフェンスを翻弄したりするプレーが、15 人制 でも得意でした。最初に 7 人制代表に声をかけてもらった時、そうしたプレーを期待されているのだなと思いました。

――7 人制で「特にここが面白い!」と思うところを教えて下さい。

プレーが継続する時間、インプレー時間と呼ぶのですが、これを長くするルールが採用さ れています。

例えば、15 人制では、2015 年の W 杯後、五郎丸選手のゴールキックが話題となりました。あのゴールキック、15 人制では、ボールをセットしてから 60 秒以内に蹴るというルールがあります。セブンズの場合、ドロップキックと言って、ボールを地面に落としてバウンドさせ、それを蹴るのがルールです。なぜかというと、時間を短縮させるた めです。
それも、トライ後 30 秒以内に蹴らなくてはなりません。

会場のビジョンにカウン トダウンが表示され、厳密に計測されます。更に、このトライ後のゴールキックを蹴り終わってから 30 秒以内に、次のプレーのキックオフをしなければなりません。その秒数もカウントダウンされます。これが守られなければ、相手ボールになってしまいます。僕は、ここが 1 番大きなルールの違いかなと思っています。

――昨年の W 杯で、「にわかファン」と呼ばれる層が増えました。7 人制は、にわかファンが見ても楽しめる競技でしょうか?

にわかファンには、持ってこいのスポーツだと思います。ボールを持って走り、相手を抜くのは、見ていて誰もが凄いと感じるプレーだと思いますが、逆に、トップスピードで足の速い相手の選手に追いついて止めるのも、見ていてわかりやすい面白さだと思います。まさしく、にわかファンの観戦にピッタリのスポーツです。
 
――会場の雰囲気は、いかがでしょう?

日本では、静かにラグビーを見る文化が定着しています。いい文化だなと思います。ですが、セブンズの場合、どちらかというと、お祭り騒ぎです。ハーフタイムには凄い音量で音楽が流れますし、試合中のトライ後にも音楽が流れ、凄く盛り上がります。

世界の大会では、どこの国を応援するというわけでもなく、みんなビールを片手に、今行われている 試合そのものを応援する、そんな文化があります。
 
――1 日中試合が続き、しかも 2 日 3 日かけて大会が行われますね。

1 日に何試合も行われるのがセブンズですので、強いチームの試合を、1 日に何試合も見ることができます。また、セブンズは番狂わせが起こりやすいとも言われていて、ボロ負けしたチームが、2 時間後、3 時間後の試合に勝ってしまうということも起こります。応援している特定のチームが 1 度負けても、その試合を再び見ることができます。1 日中ラグビー を楽しめることも、セブンズの魅力の 1 つだと思います。

――ご自身は、15 人制と 7 人制、どちらがやっていて楽しいですか?

僕はセブンズです(笑)。僕の最も得意な分野が活きることが、15 人制よりも 7 人制の方が 多いという気がしています。それは、抜き去るプレーや、自分から仕掛けてディフェンスを混乱させたりするプレーです。


vol.2に続く。 http://king-gear.com/articles/1231 

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PROFILE
坂井 克行 (さかい かつゆき)
7 人制ラグビー日本代表
1988年9月7日生まれ 三重県出身
身長 172cm/体重 85kg
三重県立四日市農芸高校でラグビーを始め、早稲田大学に進学、現在は豊田自動織機シャ トルズに所属。
2010 年、大学 4 年時に召集されて以来、10 年以上に渡り 7 人制ラグビー日本代表で活躍す る「ミスターセブンズ」。ピンポイントで蹴り上げるキックオフのドロップキックなどを武 器に、2016 年リオ五輪では日本代表の 4 位入賞に貢献した。
7 人制日本代表での出場試合数は歴代最多。


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