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友として、ライバルとして。江村美咲と向江彩伽の2人が切磋琢磨し続けた先に見据える未来【後編】

既存のマイナースポーツの概念を一蹴するエポックメイキングな出来事となった第71回全日本フェンシング選手権。中でも、女子サーブル決勝で剣を交えたのは、幼い頃から切磋琢磨してきた江村美咲と向江彩伽だった。第1話では、全日本選手権の決勝の舞台にたった時の印象などを訊いた。第2話では、彼女に、自らの課題や2020年東京五輪へ向けた抱負を語ってもらった。

Icon segawa.taisuke1 瀬川 泰祐 | 2019/01/09
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確かに、フェンシングは、剣の動きがあまりにも早いので、どっちにポイントが入ったかが、わかりにくかったりしますよね。サーブルの場合、攻撃権もありますし。

 (向江)サーブルは、上半身全体が攻撃対象で、しかも、突くだけではなく、切っても得点になるんです。フルーレもエペも突きだけなんですけど、サーブルは切りがあるので、剣がどこから出てくるかわからない分、他の種目よりも、剣を振っていることが多いので、動きが早いのが特徴かもしれません。

       個人的には、切るっていう行為は、剣をイメージしやすい動作ですし、切ると言う動作が入るだけで、これだけ他の種目と変わるのかという驚きがありましたが、お二人のフェンシングのスタイルはどのようなものなのでしょうか?できればお互いを説明しあってもらってもいいですか? 

(向江)美咲は攻守ともにバランスがよく、一つ一つの技も正確で、しかも技のバリエーションが豊富なので、なんでもできるフェンサーですね。

(江村)めっちゃ褒めるね(笑)。向江選手はタイミングがうまいですね。動きがめちゃくちゃ早いとか、パワーがあるとかじゃないんですけど、カウンターのタイミングがいいです。あと、あまり大きな動きはしないですけど、コンパクトな動きで、剣先の使い方が器用です。

(向江)普段、フェンシングの話はほとんどしないので、なんか新鮮ですね。

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では、それそれ、ご自身の課題をどうお考えですか?

(江村)感情に流されず、冷静に試合をすることが課題です。昨年は、怪我をして休んでいたため、復帰してからはワールドカップには1回しか出ていないんですけど、その試合は、本当に重要な時にミスが出てしまいました。相手がどうというより、自分のミスでポイントを取られることが多かったんです。自分自身がもっと冷静になって試合ができれば、そのようなミスも減ると思います。絶対に勝てない選手はいないと思っているので、課題を克服してどんな相手でも勝てるという自信をつけていきたいです。

(向江)練習で出来ても試合でできる技が少ないという課題があるので、バリエーションを増やしていくというのが課題ですね。また、フィジカル的にも上半身が弱く、パワーが足りないですし、メンタル面でも、感情のコントロールができずに負けてしまうことも多いので、日々感情のコントロールは意識するようにしています。この前の全日本選手権で、少し自信はついたんですけど、まだまだ自信持ってフェンシングができないことの方が多いので、まずは自信を持ってフェンシングができるようにならないといけませんね。

       しっかり自己分析できているのは強みですね。では、2020の東京へ向けてどんな絵を描いていますか?

 (江村)2019年の4月から2020年の3月までのランキングでオリンピックの出場権が決まってくるので、その1年間は安定して上位に食い込んで、世界ランキング5位に入りたいと思っています。あと、今は団体戦でなかなか上位に行けていないのですが、団体戦で出場権を取れれば、4人でオリンピックに出られるので、チーム力を高めたいですね。チームのメンバーは年齢差があって、私は年齢が下なので、これまでは遠慮してたわけじゃないですけど、周りに合わせすぎていたところもあるので、もう少し積極的に動いて行きたいと思っています。

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(向江)私も、今は全然ポイントもないですし、世界ランクも下なので、まずは世界でベスト64、32と継続的に入れるようにしたいです。団体戦でも、まだメンバーに入っていないので、まずはそこに入っていけるように、4月から始まるオリンピックレースに向けて、勝っていくしかないなと思っています。ただ、今回の全日本選手権では、練習している時から、自分が気合入っているなっていうのを感じていたので、これを海外の大会に向けても行なっていければと思っています。

       二人とも全日本選手権が良いきっかけにつながったようですね。これからの活躍を期待しています。 

(江村)はい、ありがとうございました。

(向江)ありがとうございました。 


約束の取材場所に現れた2人は、フェンシングという格闘技の世界に身を置くアスリートとは思えないほど、静かで柔和な佇まいの女性だった。その後、取材は、終始穏やかな雰囲気で進んだのだが、時折みせる彼女らの真剣な眼差しに、いよいよ東京五輪選考レースの本番が間近に迫っているアスリートなのだなと改めて気づかされた。昨年は怪我に泣かされて思うように競技に集中できなかった2人だが、怪我から復帰し、自らの持つポテンシャルの一端を証明したのが全日本選手権だったのかもしれない。それぞれ浮上のきっかけをつかんだ2人は、2019年、どんな飛躍を見せてくれるのだろうか。今後、スポーツ界でも人気が出そうな2人の若き美人フェンサーの活躍に注目したい。
 


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文・写真:瀬川泰祐