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〔スパイク・ウォーズ/エピソードⅥ・カンガルーカンガルーの逆襲⑦〕「下手くそは履けない。履いちゃいけないモデルだと思う」

東京ヴェルディの永井秀樹選手が「スパイクの履き比べ」をする「スパイク・ウォーズ」。今回は天然皮革の中から、カンガルー革のスパイクのみを履き比べ。マスター永井はプーマの『パラメヒコ』に、どんな評価をくだすのか?

Icon kaneko 金子 達仁 | 2016/12/09
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──プーマのパラメヒコとアディダスのコパ・ムンディアルを左右別々に履く。たぶん、世界広しと言えどもやったことのあるプロ・サッカー選手は一人もいなかったと思います。というか、パラメヒコは日本専用モデルですから、間違いなく誰もいないでしょう。さあ、マスター・ナガイ、感想をお願いします。

マスター永井「びっくりした」  

──何が?


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マスター永井
「全然問題ない。このまま試合に出たっていい。ていうか、出てみようかな。右にアディダス、左にプーマ。最近、左右色違いにして履いてる選手がポチポチ出てきたけど、それより話題になるでしょ(笑)」  

──普通、契約上の問題がありますからねえ。さしもの浦和レッズ・槙野選手も無理でしょう(笑)。ちなみに、コパムンとパラメ、違いみたいなものは見えてきましたか?

マスター永井「うん。コパの方が足の幅が狭いね。これ、コパムンがメイド・イン・ジャーマニーで、パラメヒコがメイド・イン・ジャパン、日本人専用の足型を使用しているからだと思うんだけど」  

──でしょうね。日本専用モデルが発売されるまでのプーマは、とにかく足幅が狭いっていうイメージのあるメーカーでしたから。トップモデルのベルトマイスターなんかも、狭すぎて履きたくないって代表選手、いましたからね。

マスター永井「ま、コパムンに関しては足幅が狭いって言ってもまったく気にならないレベルだけどね」  

─他に違いは?


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マスター永井
「なんて言うんだろ、見た目からして明らかに違うのに、履いてみると不思議なぐらい違和感がないんだよね。これはマジで甲乙付けがたいし、人間、左右で足の形って微妙に違うわけでしょ。実際、左右で違うサイズのスパイクを履く選手もいるみたいだし、もし許されるのであれば、いま俺がやったみたいに、コパとパラメ、左右別で履きたいって選手出てくるかもよ」  

──共通項は?

マスター永井「アッパーのしなやかさかな。ただ、この点に関しては、若干コパの方が上かもしれない。パラメヒコよりしっとりしてるんだよね。ステッチひとつとっても、何一つ無駄がない。初めていうけど、こういうスパイクを作り続けてるアディダスって偉い、偉すぎる(笑)」

──ですよねえ。日本でもおそらくはFC東京の前田選手だけ。世界でも履いている選手はほとんど見当たらなくなりましたが、依然として製造を続けてるわけですからね。それも、人件費の高いドイツでメイド・イン・ジャーマニーとして。なんかこう、老舗のプライドというか、クラフトマンシップの矜持みたいなものを見せてもらったような気がします。

マスター永井「存在が気高いよね。パラメヒコもそうだけど、このスパイクも、下手くそは履けないというか、履いちゃいけないモデルだと思う。これを履くには、スペシャルな存在でないと」  

──たとえば?

マスター永井「世界でいったら、思い当たるのは一人しかいない。イニエスタ。もし許されるのであれば、まあ絶対に許されないんだろうけど(笑)、彼にこのスパイクを履いてもらいたいし、感想を聞いてみたいなって思う」  

──日本でだったら?


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マスター永井「前に、ディアドラのスパイクをウチの井上潮音に履かせたいって言ったんだけど、やっぱ、これにします(笑)。コパを履いて、世界に名を轟かせるスペシャルな選手になってもらいたい」  

──改めて聞くのもなんですが、パラメヒコについて何か気づかれたことは?


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マスター永井
「これまで、2~3カ月に一足のペースで履いてきたモデルだからね。いまさら新しい発見と言われても‥‥あ、あった。ていうか、コパムンディアルを見てて気づいた。ほら、コパの方はつま先部分に鋲を打ってソールとアッパーをくっつけてるんだけど、パラメヒコにはそれがない。だから何って言われると困るんだけど、この部分ってスパイクにとって一番の泣きどころっていうか、各メーカーが一番知恵を絞るところらしいんだよね。地味にすごいと思うよ、これ」
 

──履かせてみたい選手は?

マスター永井「絶対に無理だってわかってるんだけど、俺としてはやっぱりメッシにはプーマのトップモデルを履いてもらいたいなあ。ケンペス、マラドーナときたら、やっぱメッシでしょ。アルゼンチンのスーパースターはプーマじゃないと。申し訳ないけど、アグエロじゃ、違うんだよね(笑)」  

──どうでもいいことかもしれませんが、先日日本と対戦したラグビー・アルゼンチン代表の10番はプーマ履いてました。パッと見た限り、チームの中ではニコラス・サンチェスというその選手だけ。あれってきっとマラドーナが好きだったからなんだろうなあ、とか発起人Kが申しておりました。


マスター永井「たぶん、世界中で達ちゃんしかしてない妄想だと思う(笑)」

  ──でしょうね(笑)。では、すべてのシューズの採点に参りましょうか。

取材協力/東京ヴェルディ1969
写真/㈱カルーテ 菅優樹