Large gettyimages 2165130613

団体戦で日本が躍進!フランス破り、初メダル獲得フェンシング・サーブル~プレイバックパリ五輪2024~

パリオリンピックで行われたフェンシング・サーブルでは、女子サーブル団体で日本チームが世界ランキング1位で自国開催のフランスを破り銅メダルに輝いた。日本がこの種目でメダルを獲得するのは初の快挙だった。※トップ画像出典/Getty Images

Icon kinggear icon KING GEAR編集部 | 2024/12/11

パリ五輪“フェンシング・サーブル”のおさらい

Thumb e382b5e383bce38395e38299e383ab

イラスト/これ松えむ

フェンシングは3種類の種目があり、そのなかの1つが「サーベル」である。サーベルは、上半身全体、特に頭や腕も有効面に含まれる点が特徴であり、剣の「突き」だけでなく、「斬り」も得点になる。また「優先権」という概念があり、攻撃の優先権を持つ選手がポイントを得る権利を持つ。たとえば、両者が同時に有効面を突いたもしくは斬った場合は、優先権を持っている選手のポイントとなる。防御側は、剣をたたいたり払ったりして相手の攻撃を阻止すると優先権が入れ替わる。サーベルで使用する剣は軽量で、500g以下、長さも105cm以内とコンパクトであり、選手の身体能力や反射神経が重要となる種目だ。個人戦では、15本先取した選手が勝者となる形式で、3分×3セットで試合が進行される。

一方、団体戦では3人1組で戦い、9試合の総当たり制となる。合計得点が45点に達するか、9試合が終了した時点で多く得点したチームが勝利となるルールだ。団体戦ではチームワークや作戦も重要な要素で、いかに相手のペースを崩し、自分たちのリズムを作るかが勝敗を左右する。

プレイバックパリ五輪2024ホットな瞬間

Thumb gettyimages 2165139469

出典/Getty Images

準々決勝で日本女子チームが世界ランキング2位のハンガリーチームを45対37で破った瞬間は、大会を通して大きな注目を集めていた。

日本チームは第1ピリオドを5-3、第2ピリオドを5-6とし、合計10-9でリードに成功するが、第3ピリオドに出場した福島史帆実選手が1-6と逆転を許し、一気に劣勢に立たされた。しかし、第5ピリオドにも出場した福島選手が9-0と第3ピリオドの雪辱を晴らし、再度逆転に成功する。その後は両者譲らぬ戦いを見せ、40-37と日本チームがリードする形で最終第9ピリオドを迎えた。

Thumb e6b19fe69d91e981b8e6898b

提供/公益社団法人日本フェンシング協会

日本チームが最後に送り出したのは、エースの江村美咲選手。同選手は世界選手権2連覇中で、個人種目では金メダル候補に挙げられたが、まさかの3回戦敗退を喫していた。この試合でも、第2ピリオドと第6ピリオドに出場していたがいずれもリードを奪うことはできず。その悔しい思いを晴らすかのように、江村選手は果敢な攻めを見せ、5-0と本来の力を発揮し相手をねじ伏せた。この結果、最終スコアを45-37とし、日本チームの快勝で準決勝へと駒を進めた。

Emura

女子サーブルの江村美咲がワールドカップ大会が銅メダルを獲得

>

プレイバックパリ五輪2024【日本選手メダル獲得の瞬間】

準々決勝でハンガリー代表を破った日本チームは、準決勝でウクライナチームと対戦するも、32-45と完敗。悲願のメダルをつかむため、3位決定戦で世界ランキング1位の地元フランスと対戦した。試合はフランスが地元の声援を背に序盤から優勢に進めていたものの、第3ピリオドでリザーブの尾崎世梨選手が8-3とし、合計スコアを15-13とする。その後はフランスチームに再逆転を許すものの、第7ピリオドで高嶋理紗選手が6連続ポイントを奪い、再び35-30とリードする展開に。第9ピリオドでは、フランスの観客が国歌を歌うなか、エースの江村美咲選手が冷静にポイントを重ね5-3と突き放す。最終スコアを45-40とし、日本チームは完全アウェイの地で見事に勝利を果たし、日本がサーブル種目でオリンピック初となるメダルを獲得した歴史的な瞬間となった。

パリ五輪2024キングギア編集部が注目したホットな瞬間「韓国 男子サーブル団体戦」

Thumb gettyimages 2164678840
出典/Getty Images

男子サーブル団体では、韓国チームが圧倒的な強さを見せつけ、2012年のロンドン、2020年の東京大会に続き、アジア勢初となる3大会連続の金メダルを獲得した(2016年リオデジャネイロでは、種目ローテの関係上男子サーブル団体戦が行われなかった)。チームは、エースの呉尚旭(オ・サンウク)、具本佶(ク・ボンギル)、朴相遠(パク・サンウォン)、都憼東(ト・ギョンドン)の4人で構成されており、強靭なチームワークと卓越した技術で試合をリードする。特に決勝戦では、強豪ハンガリーを相手に、攻撃的なプレースタイルを貫き、45-41で勝利。なかでも、呉選手は個人でも金メダルを獲得し、韓国フェンシング史上初の2冠達成という快挙を成し遂げた。

【日本女子チーム】パリ五輪の戦績

★準々決勝 ハンガリー代表/◯45-37

第1試合:高嶋理紗5-3
第2試合:江村美咲 5-6
第3試合:福島史帆実 1-6
第4試合:高嶋理紗 5-5
第5試合:福島史帆実 9-0
第6試合:江村美咲 5–5
第7試合:福島史帆実 5-8
第8試合:高嶋理紗 5-4
第9試合:江村美咲 5-0

★準決勝 ウクライナ代表/●32-45

第1試合:高嶋理紗 3-5
第2試合:江村美咲 5-5
第3試合:福島史帆実 3-5
第4試合:高嶋理紗 9-2
第5試合:福島史帆実 2-8
第6試合:江村美咲 3–5
第7試合:尾崎世梨 4-5 (OUT→福島史帆実)
第8試合:高嶋理紗 2-5
第9試合:江村美咲 1-5

★3位決定戦 フランス代表/◯45-40

第1試合:江村美咲 4-5
第2試合:高嶋理紗 3-5
第3試合:尾崎世梨 8-3
第4試合:高嶋理紗 5-5
第5試合:江村美咲 3-7
第6試合:尾崎世梨 6–5
第7試合:高嶋理紗 6-0
第8試合:尾崎世梨 5-7
第9試合:江村美咲 5-3

Gettyimages 2165139469

【解説】日本史上初の快挙!“フェンシング女子サーブル団体”銅メダル

>

※記事内の情報は配信時点の情報です