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世界で活躍する日本の若き守護神・鈴木彩艶ーー成長を続けるサッカー人生の軌跡とは
イタリア最上位リーグセリエAのパルマ・カルチョに所属する鈴木彩艶は、日本代表のゴールキーパーだ。元サッカー日本代表の内田篤人がさまざまなサッカー選手をゲストとして招く『内田篤人のFOOTBALL TIME #193』では、鈴木選手をゲストに招き、サッカー人生や日本代表で活躍するためのルーティン、ゴールキーパーの技術論まで、いろいろなテーマで彼の魅力を掘り下げた。※トップ画像出典/NurPhoto via Getty Images
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順調なサッカー人生を歩む鈴木彩艶の軌跡
ガーナ人の父と日本人の母を持つ鈴木選手は、190センチの恵まれた体格と抜群の身体能力が武器の21歳。小学生時代から浦和レッズアカデミーで育ち、そのまま浦和でプロデビュー。23年夏にはプレミアの名門リーグであるマンチェスターユナイテッドからのオファーがありながらも、出場機会を求めてベルギーリーグのシントトロイデンに移籍。いきなりレギュラーを勝ち取る活躍をみせた。その実績が評価され、2024年夏、セリエAの古豪パルマカルチとの契約を締結。順調なサッカー人生を歩んでいる。
小学1年のころには「グローブを着けるのに憧れていた」と、気づけば定位置はゴールの前だった。高校2年のころに浦和レッズとプロ契約を果たしたが、そこでの先輩たちの技術に驚かされた。「キャッチの技術が全然違うんです。こぼさない。落とさないボールのつかみ方をしていました」ボールを取りに行くのでなく、ボールの形に手を当てはめるようにしていた。それでも、自分とのレベル差に引くのではなく、自身も取り入れることで成長を促した。このメンタルの強さが、鈴木の武器の1つだ。
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内田篤人が唸る鈴木のゴールキーパーとしての特徴
ビックセーブだけではない。ゴールキーパーとしてはめずらしい、脚を使ったプレーもできるところに鈴木の特徴がある。ロングキックの飛距離が出せるところも長所の1つで、内田は「鈴木が加わることによってできる戦術がある。ゴールキックはオフサイドがないから、オフェンスラインを他のキーパーの時とは違って格段に前に付けることができる。そうすれば、向こうのディフェンスラインも下げることができますし、サッカーを変えることができるのが魅力」と評した。
元日本代表トッププレイヤーも絶賛する技術を持つ鈴木だが、現状には満足していない。今後成長させたい点を問われると「“キャッチ”か“はじく”のかといった、判断部分を成長させたいです」と話した。続けて「はじくならどの方面なのか。弱くはじいて自分が取りに行くのか、強くはじいて相手も取れないようにするのか。細かいところまで一瞬で判断するようにしたいです」と具体的な理想像を挙げた。この解像度の深い目標を持つことが、成長するアスリートの特徴と言える。
代表戦で勝利に導くために鈴木が行う“力を最大限発揮させるためのルーティン”とは
注目が集まる日本代表としての試合出場。鈴木はアジア最終予選に初めて臨む。その中で高いパフォーマンスを発揮するために、鈴木には欠かせないルーティンがある。1つ目は「夕方・夜ゲームだったら朝は走る」ゲーム開始までの時間が長いことから、体を動かして体を起こす目的があるという。だからこそ、散歩ではなく走ることが大事だ。2つ目は瞑想。「無になるのではなく、これからの試合に入り込むんです。そこでいいプレーだけを想像します。悪いプレーは一切想像しません」1人の空間を作り、椅子に座って行う。時にはホテルの同部屋の選手を追い出してまで行っているそうだ。「これはすごく大切ですね。いいイメージを持って試合に臨みたいので」と、最大限の準備に力を注いでいると話す。
オーストラリア戦の本田圭佑のど真ん中へのPKは忘れられないシーンの1つだ。そんな憧れていた場所に、自分も立つ。鈴木は心境について「楽しみですし、やはりそこのピッチに立って結果を出したいですね。ワールドカップに直接つながるので」と、自分の力で代表を世界へ連れていくんだという意気込みのもと、前を向いた。
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鈴木が教えるゴールキーパーの大切な技術と考え
鈴木はゴールキーパーの技術で大事なポイントを明かした。まずはキャッチング。特に“ボールを入れてあげる”意識を高く持つ。「(ボールを母親だと想像して)お母さんを捕まえる、お母さんを抱きしめるようにするんです。前からお母さんがきて、(手のひらで)勢いよくつかみに行こうとしたら怪我をさせちゃう。そういうキャッチングはダメ」手の形は、両手の親指と人差し指で三角形を作るイメージが大切だと付け加えた。さらに、ボールをこぼしがちな人への意識の持ち方も伝授した。「指を意識してみてください。手のひらではなく、指への意識を高めればボールをこぼす確率は減ると思います」それ以外にも、低いボールは腕で捕りに行くのではなく、懐を作って受け止める意識を持つことが大事だと話した。
最後に、鈴木が子どものころに大切にしていたことを教えてくれた。「浦和レッズの練習を見に行って、その映像が頭に焼き付いたまま近くの公園に行って練習していました。映像ではなくて、実際に見てほしいです。試合に見に行くときも、練習のアップから見てほしいです。見て、真似して、それを自分の色にしていく。それが大事だと思います」
順調なサッカー人生を歩めたのは、小さい頃の努力があったから。その努力を今も続ける鈴木のこれからには、希望の未来が待っているだろう。
DAZN『内田篤人のFOOTBALL
TIME#193 : いざセリエAへ!守護神
鈴木彩艶初登場!』より
配信日:2024/08/01
※記事内の情報は放送当時の内容を元に編集して配信しています