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【木村沙織×髙田真希】リーダーシップと成長の秘訣~国際女性デー特別対談

バスケットボール日本代表のキャプテンを務めた髙田真希と、バレーボール日本代表のキャプテンを務めた木村沙織。二人が経験したリーダーとしての苦悩、そしてそこから得た学びについて語った。※トップ画像撮影/松川李香(ヒゲ企画) 

Icon       池田 鉄平 | 2025/03/14

リーダーは孤独、それでも前に進むために

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撮影/松川李香(ヒゲ企画)

――キャプテンを経験されて、どんなことを感じましたか?

髙田:私は冬季オリンピックに向けた約5年間、日本代表キャプテンを務めました。それが私にとって初めてのキャプテン経験だったのですが、正直なところ、その期間はずっと苦しかったです。

もともと人前で話すのが苦手で、リーダー気質でもありませんでした。だからこそ、最初は「自分に務まるのだろうか?」と不安ばかりでした。でも、チームの目標を達成するためには、そんな自分の性格を理由に後悔したくなかった。だから、「自分の思ったことはしっかり伝えよう」と決めました。

しかし、リーダーという立場には葛藤がつきものでした。「この発言をしたらどう思われるだろう?」と考えてしまったり、なかなか踏み出せないことも多かったです。誰かを参考にしたわけではなく、キャプテンとして過ごす中で自分なりに試行錯誤しながら、必要なことを伝える力を身につけていきました。

特に感じたのは、「リーダーは孤独である」ということ。先頭に立ってチームを引っ張ることは、自分にとって大きな挑戦でした。ついてきてくれる選手もいれば、なかなかついてこられない選手もいる。でも、それは個性の違いであって、どちらが正しいというわけではない。だからこそ、誰一人取り残さずに全員で進むためには、各選手のペースに寄り添うことが大切だと気づきました。

最初から完璧なリーダーになれたわけではありません。でも、経験を積むことで、「やり続けることで仲間はついてきてくれる」という確信が持てるようになりました。

リーダーシップとは、姿勢を見せること

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撮影/松川李香(ヒゲ企画)

――木村さんも、キャプテンを経験されて同じような苦悩がありましたか?

木村:まさに、今の髙田さんのお話を聞いていて、すごく共感しました。私も2012年のオリンピックで初めてキャプテンを任されたのですが、それまでキャプテンの経験はなく、正直なところとても悩みました。

小さい頃からバレーボールを続けていましたが、人前で話すのが苦手で、引っ張るタイプでもなかったんです。実際、キャプテンに指名されたときも、「自分には無理かもしれない」と思いました。緊張すると声が震えてしまい、みんなの前で話すことに強いプレッシャーを感じていました。

ただ、監督に「キャプテンをやってみないか」と言われたとき、私はあることを決めていました。それは、「選択肢があるなら、挑戦する方を選ぶ」ということ。女性アスリートは、キャリアの中でたくさんの選択を迫られます。結婚、仕事、競技生活…どれも選ばなければならないもの。そんな中で私は、「ワクワクする方を選びたい」と思っていました。

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撮影/松川李香(ヒゲ企画)

だからこそ、キャプテンを引き受ける決断をしました。でも、実際にキャプテンになってみると、本当に大変でした。リーダーとして先頭に立つことの重みを痛感し、孤独を感じることも多かったです。それまでは先輩たちに引っ張ってもらっていたので、「自分が先頭に立つ側になると、こんなにも大変なのか」と思いました。

でも、私は言葉で引っ張るよりも、姿勢を見せることを大事にしたいと思いました。プレーの姿勢、練習に向き合う時間、チームへの取り組み方。言葉では伝えきれないことも、行動で示すことで伝わることがある。そうやって、少しずつ自分なりのリーダー像を築いていったように思います。

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撮影/松川李香(ヒゲ企画)

――キャプテンになったことで、私生活やプレーにどのような影響がありましたか?

髙田:リーダーを経験したことで、苦手だった人前での発言が苦にならなくなりました。思ったことを口に出すことの大切さを学びましたね。リーダーを経験したことで、先頭に立つことの難しさも楽しさも知ることができました。

キャプテンを務める中で「やり遂げた」という達成感を得られたことは、自分を大きく成長させてくれました。もちろん、孤独を感じる瞬間も多かったですが、その経験があったからこそ、今ではキャプテンを務める他の選手の気持ちを理解できるようになりました。それが今の自分の役割の一つにもなっていると感じています。

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撮影/松川李香(ヒゲ企画)

木村:私もすごく共感します。私も2012年のオリンピックで初めてキャプテンを任されましたが、それまでキャプテンの経験はなく、正直なところすごく悩みました。

リーダーという立場は、単に先頭に立つだけでなく、チーム全体を見渡し、時には支え、時には厳しく導く役割を担います。でも、私はもともと引っ張るタイプではなく、人前で話すのも苦手だったので、キャプテンとしての責任を重く感じました。

ただ、その時に「選択肢があるなら挑戦する方を選ぶ」と決めていたので、思い切って引き受けました。最初は戸惑いもありましたが、試行錯誤しながら自分なりのリーダー像を見つけていきました。

キャプテンとしての学びと人間的成長

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撮影/松川李香(ヒゲ企画)

――リーダーとしての経験は、ご自身の考え方やキャリアにどんな影響を与えましたか?

木村:キャプテンを務めたことで、「人に頼ることの大切さ」を学びました。バレーボールはチームスポーツなので、一人ですべてを抱え込むことはできません。でも、キャプテンになった当初は「自分が全部やらなきゃ」と思い込み、必要以上にプレッシャーを感じていました。

でも、ある時から「チームはみんなのもの」と考えるようになり、仲間を頼ることを覚えました。すると、気持ちが楽になり、プレーにも集中できるようになりました。リーダーとして完璧である必要はなく、それぞれが役割を果たすことが大切なんだと気づいたんです。

髙田:私もまったく同じです。最初は「キャプテンだからみんなを引っ張らなきゃ」と思い込んでいましたが、リーダーの役割は「すべてを一人で抱え込むこと」ではなく、「チームをまとめること」だと気づきました。人に頼ること、周りと協力することが、より良いチーム作りには不可欠なんですよね。

アスリートから学ぶ「リーダーとは?」

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撮影/松川李香(ヒゲ企画)

キャプテンという役割は、想像以上に大変なものだ。孤独を感じることもあれば、プレッシャーに押しつぶされそうになることもある。でも、その経験を乗り越えた先には、確かな成長と達成感が待っている。

髙田と木村の対談からは「リーダーは完璧でなくてもいい」「自分なりのスタイルで導けばいい」というメッセージが伝わってきます。これからリーダーの役割を担う人たちにとって、大きなヒントになるだろう。

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撮影/松川李香(ヒゲ企画)

※記事内の情報は配信時点の情報です

Photo:Rika Matsukawa