
英雄たちが愛した歴史的スパイクVOL.10『W杯得点王のゴールデンブーツ』編
前回大会の得点王に送られたゴールデンブーツは、以前もご紹介した3マテリアルソールのアディダス・ワールドカップの金色バージョンでした。しかし、このモデルは82年大会の時ぐらいから製造されており、少し時代にそぐわないような気がします。各大会のゴールデンブーツはどうだったのか調べてみました。

(スパイクブログ始めました。https://maradonaboots.com/)W杯得点王にゴールデンブーツが贈られるようになったのは82年スペイン大会からだそうですが、近年の受賞者に贈られた物は前回のワールドカップと違い、その時の最新モデルをモチーフにしていたようです。
一応、各大会のゴールデンブーツのモデルになったそれらしきスパイクを載せてみましたが、平成以降のスパイクについては全くの門外漢ですので、間違っていたらご容赦下さい(図1、2)。
それにしても、2002年大会のロナウド選手に授与された物は随分レトロな感じです。たまたま的確な画像が見つけられなかっただけかもしれませんが、いくらなんでも古すぎるような気がします。 どうやらこのゴールデンブーツは当時のW杯通算最多得点記録に並んだ特別バージョンだったようです。
その年のシルバーブーツ(リバウド選手、図1右上端)は、やはりその時の最新モデルがモチーフになっていたようです。

図1 2002年から2010年W杯の得点王の方々。各ゴールデンブーツ(右はシルバー)のモデルスパイクを下に載せましたが、私には新しすぎてモデル名は存じ上げません。
しかし、このお三方のW杯通算得点数はすごいですね。 最新サッカースパイク事情は、以下の方々のHPがお薦めです。http://blog.livedoor.jp/koheisblog/http://blog.livedoor.jp/shoishi0014/
98年から90年大会のゴールデンブーツも、その当時のモデルがモチーフのようです(図2)。
ちなみに得点王の方々が大会当時履いていたスパイクメーカーは2014年:アディダス、2010年:アディダス、2006年:アディダス、2002年:ナイキ、1998年:ロット、1994年:クロノス及びリーボック(多分)、1990年:クロノス(?)、1986年:アディダス、1982年:ランサー(?)、1978年:プーマ、1974年:アディダス、1970年:アディダス、1966年:プーマ、それ以前は未調査。
特に規則性はなさそうですね。こちらも間違っていたらご容赦ください。
図2 1990年から1998年W杯の得点王の方々。各ゴールデンブーツのモデルスパイクを下に載せましたが、これらも私には新しすぎてモデル名はわかりません。
90年大会で活躍したスキラッチ選手は、当時登場したクロノスというメーカーのスパイクを履いていたと思いますが、ソールはアディダスのようです(図3右)。
やはり新しいメーカーよりも老舗の方が安心だったのかもしれません。ただ、使っていたのはゴールデンブーツのモチーフだったイタリア大会モデル(図2右下、多分メイドインフランス)ではなく、定番モデルだったようです。
図3
90年大会得点王のスパイクは取替え式(ワールドカップ)も、固定式(コパムン)もアディダスだったようです。
さて、94年大会得点王はサレンコ選手とストイチコフ選手が同時受賞でしたが、ストイチコフ選手が持っているゴールデンブーツは(図4左)、図2中央のサレンコ選手のモデルとは違うようです。
しかし、サレンコ選手も同じ型のスパイクを手にしている画像がありました(図4中央)。どちらが本物なのでしょうか? さらに86年大会のリネカー選手がお持ちのゴールデンブーツも同じモデルのようです(図4右)。
この2大会のゴールデンブーツのモチーフに使われたモデルは、アディダス・ワールドカップのようですが、よく見ると異なります。
図4
86年(右、リネカー選手)と94年大会のゴールデンブーツは同じモデルのようです。図3のスキラッチ選手が持つモデルとも似ていますが、よく見ると異なります。ストイチコフ選手(左)は94年大会ではクロノススパイクで活躍されたと思います。
ゴールデンブーツについて調べていると、ややこしいことにW杯得点王とは別に、毎年欧州年間得点王に贈られるゴールデンブーツ(現在はゴールデンシュー)も、割と長い間このモデルだったようです。
図4のストイチコフ選手はそちらの受賞時(89-90年シーズン)の写真だったのかもしれません。
ところで、最近、このゴールデンブーツに似た物が海外オークションに出品されています(図5右)。ソールはアディダス・ワールドカップと同じ3マテリアルソールですが、アッパーデザインはや はり異なるようです。
図5 欧州年間得点王のゴールデンブーツは1968年から授与されているそうです。最初の受賞者はポルトガルのエウゼビオ選手ですが、最近はポルトガル、アルゼンチン、ウルグアイの英雄が毎年のように受賞され、左下のブーツが贈られています(今年は違う国の選手のようです)。
このモデルは2000年ぐらいから変わっていないようです。その前のモデルは図4と同じタイプです(左上は97年のブラジルのロナウド選手の物)。
本物かはわかりませんが、とてもよく似た物(右)が現在(5月25日時点)海外オークションに出品されています(ebayで、adidas、golden bootsで検索すると見ることができると思います)。 スタッドは外せるようです。
W杯ゴールデンブーツは最初からこのモデルだったのでしょうか?
初めてW杯のゴールデンブーツを贈られたのは82年大会のロッシ選手ですが、またまたややこしいことに、この時のモデルは図4、5とは違うモデルでした。
図6 82年W杯の表彰選手。手にしているスパイクは白黒でわかりにくいですが、おそらく挿入写真のモデル(84年欧州年間得点王のラッシュ選手の物)と同じだと思います。
どうやら図4~6の80年代にゴールデンブーツのモデルになった物は、フランス製のアディダススパイクだったようで、いずれも図7右下の将軍が愛用されたモデルでした。
ジュール・リメ杯、バロンドールなど、サッカー界の権威ある賞はフランス由来の物が多いようですが、ゴールデンブーツも昔はフランス色が強かったようです。
フランス製アディダススパイクは私の中でナゾが多いのですが、これについてはいずれご紹介したいと思います。
図7 80年代のゴールデンブーツのモデルになったと思われるスパイク。AA2763(左上)、AA2361(イベリカ、右上)。
フランスの英雄、プラティニ選手が84年EUROで左のスパイクを、82年W杯でイベリカを履いていました。どちらも高級モデルでしたが、決してメジャーなモデルではなかったと思います。しかし、なぜかゴールデンブーツのモデルに採用されていたようです。 90-91年シーズン欧州年間得点王のパンチェフ氏(下左)が、紆余曲折の末、15年後に表彰された時、プラティニ氏からゴールデンブーツが贈られました(下右)。
今回ご紹介した選手の中にはW杯最多通算得点の方もおられますが、日本人でW杯の個人記録を塗り替えることができる方は、将来的にもそうそうおられないと思います。
残念ながらロシア大会のメンバー入りはなりませんでしたが、久保選手(FC東京)がもし出場していれば、最年少出場記録を更新できた可能性がありました。
次回はそれらのことについて書きたいと思います。 (写真は当時のサッカーマガジン、イレブン及びゲッティイメージズなどより引用)
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『神に愛された西独製サッカースパイク』
80年代に数々の伝説を生んだサッカー界のスーパースターを足元から考察した論考。
一応、各大会のゴールデンブーツのモデルになったそれらしきスパイクを載せてみましたが、平成以降のスパイクについては全くの門外漢ですので、間違っていたらご容赦下さい(図1、2)。
それにしても、2002年大会のロナウド選手に授与された物は随分レトロな感じです。たまたま的確な画像が見つけられなかっただけかもしれませんが、いくらなんでも古すぎるような気がします。 どうやらこのゴールデンブーツは当時のW杯通算最多得点記録に並んだ特別バージョンだったようです。
その年のシルバーブーツ(リバウド選手、図1右上端)は、やはりその時の最新モデルがモチーフになっていたようです。

図1 2002年から2010年W杯の得点王の方々。各ゴールデンブーツ(右はシルバー)のモデルスパイクを下に載せましたが、私には新しすぎてモデル名は存じ上げません。
しかし、このお三方のW杯通算得点数はすごいですね。 最新サッカースパイク事情は、以下の方々のHPがお薦めです。http://blog.livedoor.jp/koheisblog/http://blog.livedoor.jp/shoishi0014/
98年から90年大会のゴールデンブーツも、その当時のモデルがモチーフのようです(図2)。
ちなみに得点王の方々が大会当時履いていたスパイクメーカーは2014年:アディダス、2010年:アディダス、2006年:アディダス、2002年:ナイキ、1998年:ロット、1994年:クロノス及びリーボック(多分)、1990年:クロノス(?)、1986年:アディダス、1982年:ランサー(?)、1978年:プーマ、1974年:アディダス、1970年:アディダス、1966年:プーマ、それ以前は未調査。
特に規則性はなさそうですね。こちらも間違っていたらご容赦ください。

図2 1990年から1998年W杯の得点王の方々。各ゴールデンブーツのモデルスパイクを下に載せましたが、これらも私には新しすぎてモデル名はわかりません。
90年大会で活躍したスキラッチ選手は、当時登場したクロノスというメーカーのスパイクを履いていたと思いますが、ソールはアディダスのようです(図3右)。
やはり新しいメーカーよりも老舗の方が安心だったのかもしれません。ただ、使っていたのはゴールデンブーツのモチーフだったイタリア大会モデル(図2右下、多分メイドインフランス)ではなく、定番モデルだったようです。

さて、94年大会得点王はサレンコ選手とストイチコフ選手が同時受賞でしたが、ストイチコフ選手が持っているゴールデンブーツは(図4左)、図2中央のサレンコ選手のモデルとは違うようです。
しかし、サレンコ選手も同じ型のスパイクを手にしている画像がありました(図4中央)。どちらが本物なのでしょうか? さらに86年大会のリネカー選手がお持ちのゴールデンブーツも同じモデルのようです(図4右)。
この2大会のゴールデンブーツのモチーフに使われたモデルは、アディダス・ワールドカップのようですが、よく見ると異なります。

ゴールデンブーツについて調べていると、ややこしいことにW杯得点王とは別に、毎年欧州年間得点王に贈られるゴールデンブーツ(現在はゴールデンシュー)も、割と長い間このモデルだったようです。
図4のストイチコフ選手はそちらの受賞時(89-90年シーズン)の写真だったのかもしれません。
ところで、最近、このゴールデンブーツに似た物が海外オークションに出品されています(図5右)。ソールはアディダス・ワールドカップと同じ3マテリアルソールですが、アッパーデザインはや はり異なるようです。

図5 欧州年間得点王のゴールデンブーツは1968年から授与されているそうです。最初の受賞者はポルトガルのエウゼビオ選手ですが、最近はポルトガル、アルゼンチン、ウルグアイの英雄が毎年のように受賞され、左下のブーツが贈られています(今年は違う国の選手のようです)。
このモデルは2000年ぐらいから変わっていないようです。その前のモデルは図4と同じタイプです(左上は97年のブラジルのロナウド選手の物)。
本物かはわかりませんが、とてもよく似た物(右)が現在(5月25日時点)海外オークションに出品されています(ebayで、adidas、golden bootsで検索すると見ることができると思います)。 スタッドは外せるようです。
W杯ゴールデンブーツは最初からこのモデルだったのでしょうか?
初めてW杯のゴールデンブーツを贈られたのは82年大会のロッシ選手ですが、またまたややこしいことに、この時のモデルは図4、5とは違うモデルでした。

どうやら図4~6の80年代にゴールデンブーツのモデルになった物は、フランス製のアディダススパイクだったようで、いずれも図7右下の将軍が愛用されたモデルでした。
ジュール・リメ杯、バロンドールなど、サッカー界の権威ある賞はフランス由来の物が多いようですが、ゴールデンブーツも昔はフランス色が強かったようです。
フランス製アディダススパイクは私の中でナゾが多いのですが、これについてはいずれご紹介したいと思います。

フランスの英雄、プラティニ選手が84年EUROで左のスパイクを、82年W杯でイベリカを履いていました。どちらも高級モデルでしたが、決してメジャーなモデルではなかったと思います。しかし、なぜかゴールデンブーツのモデルに採用されていたようです。 90-91年シーズン欧州年間得点王のパンチェフ氏(下左)が、紆余曲折の末、15年後に表彰された時、プラティニ氏からゴールデンブーツが贈られました(下右)。
今回ご紹介した選手の中にはW杯最多通算得点の方もおられますが、日本人でW杯の個人記録を塗り替えることができる方は、将来的にもそうそうおられないと思います。
残念ながらロシア大会のメンバー入りはなりませんでしたが、久保選手(FC東京)がもし出場していれば、最年少出場記録を更新できた可能性がありました。
次回はそれらのことについて書きたいと思います。 (写真は当時のサッカーマガジン、イレブン及びゲッティイメージズなどより引用)
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『神に愛された西独製サッカースパイク』
80年代に数々の伝説を生んだサッカー界のスーパースターを足元から考察した論考。